6人組グループ・ SixTONESが、2023年4月21日に行った、グループ初となる単独東京ドーム公演。CDデビューから約3年がたつSixTONESだけれど、いい意味で“初めて”を感じさせない、魅力と貫禄があふれたライブだった。スタートからアンコールまで、こだわり、才能、ファンへの愛が詰まっていたライブの魅力をMAQUIA的視点で深掘りしていく。
SixTONESのライブの魅力①過去と今、すべてを取り込むセットリスト
今年1月に発売されたアルバム『声』を引っ提げ、1月から3月までアリーナを巡っていた『慣声の法則』ツアー。その集大成として位置づけられたのが今回のドーム公演。
「Gook Luck!」「ふたり」などのヒットシングルや、「Boom-Pow-Wow!」「Outrageous」などの高揚感のあるアルバム曲を盛り込んだ最新アルバム『声』は、メンバーも「ずっとこれからのライブで歌い続けていく曲が詰まったアルバム」と位置付けるほど粒ぞろいの名盤。アリーナツアーでは、アルバムをベースとした素晴らしいセットリストで会場を沸かせていた。
そして掴んだ念願の単独ドーム公演では、アリーナツアーのセットリストをベースに、2015年5月の結成から2020年のCDデビュー、そして現在までの彼らの歩みを象徴するような楽曲が加わった。
トップを飾った『Amazing!!!!!!』はまさにその代表で、音源化されていない楽曲にも関わらず、ファンからの熱い支持を受ける楽曲。全員があぐらをかいて座るフォーメーションはJr.時代から歌ってきた『Amazing!!!!!!』ならではの入り方で、最初の1曲にも関わらず、会場は一気に大きな歓声の渦へ。
他にも、同じく未収録の『IN THE STORM』や、ジェシーさんのおなじみギャグ「せーの、ズドン!」から生まれたユーモアあふれる『Mr.ズドン』、そして『彗星の空』など、グループの軌跡を感じさせるJr時代からの名曲が随所に散りばめられていた。
セットリストの構成からも、彼らのどの時代からのファンにも寄り添う、粋な優しさを感じられた。
SixTONESのライブの魅力②心が高揚し、染み入る音楽性
全編通して曲がかかるたびに感じられたのは「とにかく楽曲が素晴らしい」ということ。どの楽曲も耳心地がよく、自然と体がメロディに合わせて揺れていく。彼らのライブに初めて参加したとしても、飽きることなく音楽にグッと引き込まれるはず。
さらに、取材日には、なんと彼らのデビュー曲『Imitation Rain』を提供したYOSHIKI(X JAPAN/THE LAST ROCKSTARS)さんがサプライズとして登場!YOSHIKIさんが弾くピアノの生演奏で聞く『Imitation Rain』も、しみじみと、彼らが持つ楽曲の強さを感じさせられた。
SixTONESのライブの魅力③生歌の醍醐味を味わえる、6人の声
冒頭の挨拶で「“意外と遠いじゃん”と思った人、大丈夫です。思い出になるようなライブになるので」と言っていた松村(北斗)さん。その言葉に説得力を持たせていたのは、やはり彼らの歌声。
『ふたり』や『Again』といったバラード曲では、ジェシーさんの温もりを感じるやさしい歌声や、京本(大我)さんの、心を芯からとらえるような高音がドーム中に響いていく。ライブならではのアレンジやフェイクの入れ方も見事だった。
けれど声の良さを感じるのは、歌声に聴き入りやすいバラード曲だけではない。『オンガク -声ver.-』では伸びやかな歌声や軽やかなラップパートで、爽やかに明るく魅せ、最新アルバムの話題曲『人人人』では、吊るされたマイクを持ってメンバーが高速ラップを繋ぎ、グルーヴ感を作っていく。歌いながらメンバー同士が楽しそうに目を合わせたり、肩を組んで歌い上げる場面も、いっそう会場を盛り上げた。
彼らの歌声がどんな会場でもダイレクトに心に響くのは、音楽に対する情熱と愛が、歌声に込められているからかもしれない。
SixTONESのライブの魅力④ボケ渋滞で笑いに包まれるMC
4月に発売されたばかりの新曲であり、攻撃的なアッパーチューンの『ABARERO』が終わると、SixTONESのやんちゃさとおもしろさが炸裂するMCコーナーへ。ボケが大渋滞する中、田中(樹)さんが、それを高い瞬発力のツッコミで捌いていく。
センターステージの中央にベタ座りした6人。念願の東京ドームだからとグループの思い出話に浸るでもなく、他愛もない世間話をテンポ良く話す彼ら。
例えば、森本(慎太郎)さんが「東京ドームに来たらやりたいことあったんだよね!」と前置きをしながら突如始めた“ペッパーミル”ポーズ。そのポーズの下で(パスタの)皿を両手で持つジェスチャーをする松村さん。華麗に連続するボケに、田中さんが瞬時に「ダサッ」とキレのいいツッコミ。
また、ふと田中さんが「話変わって申し訳ないんだけど」と言うと、ジェシーさんが「全然いいんだよ、変えてこうぜ!」と堂々と言い放ち、田中さんが「時代を変えるテンションで言うのやめて?」とすぐさま突っ込んだりと、ひとつの発言からどんどん話題が広がっていく。心から会話を楽しんでいる様子から、仲の良さを存分に感じ、会場全体が終始笑い声に包まれた。
まるで男子高校生が屋上で休み時間を過ごしているようなラフなMCで、先ほどまでクールなパフォーマンスをしていた彼らとの心の距離を縮めてくれた。
SixTONESのライブの魅力⑤“これぞ SixTONES”を感じるアガるメドレー
オーラを際立たせる真っ赤な衣装にチェンジして『S.I.X』から始まったメドレーは、どの曲もワイルドなワルさを感じる曲ばかり!『Special Order』では会場がクラブになったかのようで、メンバーが攻撃的なダンスで客席を煽っていく。『フィギュア』、『Telephone』、『RAM-PAM-PAM』、『Outrageous』と、息つくヒマを与えないHIP HOPナンバーが続くと会場中のペンライトが大きく揺れ、ドームのボルテージが急激に上がっていく。
どんな大きさの会場さえも一つにしてしまう、セクシーで力強いパフォーマンスは、 SixTONESの唯一無二のもの。
SixTONESのライブの魅力⑥6人とファン、会場にいる全員が“team SixTONES”
田中さんが公演の序盤に「今日はこの夢の東京ドームで、俺たち6人の声とみんなの声しかないから。最高でしょ?」と言ったように、約3時間のライブに6人だけでステージに立った彼ら。そして、彼らの歌声に合わせて熱い声援を送り、カラダを踊らせたSixTONESのファン。それは、メンバーがさまざまな場所で「ファンも合わせてteam SixTONES」と言っている意味を体感することのできる空間だった。
特にメンバーとファンの絆を感じられたのが、アンコールで披露された『この星のHIKARI』と『彗星の空』。『この星のHIKARI』は、Jr.時代に彼らが初めてもらったオリジナルソング。メンバーがマイクを客席に向けると、淀みなくファンの歌声が広がる。
そしてラジオで田中さんが「この曲に近いエモさがある」と話していたのが、続く『彗星の空』。「不確定不安定なんて超えていける」という歌詞に代表される、SixTONESの今までの歴史と強い未来への希望を感じさせる楽曲だが、その途中、〝SixTONESの支柱〟であるジェシーさんが涙ぐむ場面も。その様子にすぐに京本さんが笑顔で駆け寄り、肩を抱く姿には胸が熱くなった。最後までメンバー全員がジェシーさんを微笑ましく見守りながら、6人で肩を組んで歌う姿は、まさに星のように輝いて目に映った。
結成から8年、CDデビューから3年。一緒に横並びで歩いてきた、彼らとそしてファン=team SixTONESが見せてくれた圧巻のライブ。これからも輝きを増していくその光に、期待せずにはいられない。
撮影/詫間由佳 取材・文/上村祐子