「MAQUIA」5月号では、何年先もぶれない美を手に入れるための“内臓美容”を大特集。新型コロナの流行で注目される「肺」について、ドクターが正しい知識を教えます。
健康こそが最高の美容法♡
内臓美容100BOOK
呼吸器内科専門医
宮崎雅樹先生
みやざきRCクリニック院長。肺の機能を高める生活の重要性を広める。近著は『長生きしたけりゃ肺を鍛えなさい』(エクスナレッジ)。
酸素を取り込み
二酸化炭素と交換
肺
新型コロナウイルスで注目される肺。感染症などのトラブルを予防するために正しい知識を。
肺自体を
鍛えることはできない
「肺は自ら動いて空気を吸ったり、吐いたりすることができません。隣接する肋間筋や横隔膜の動きによって、膨らんだりしぼんだりし、呼吸しています。なので肺自体を鍛えることはできませんが、生活習慣や運動などによって肺の機能を高めることはできます」
呼吸機能がアップしても
痩せやすくならない
「肺が膨らみづらい病気になると1回の呼吸に必要なカロリーが大幅に増えるため、痩せていきます。逆に呼吸機能がよくなったからといって痩せやすくなることはありません」
呼吸筋を鍛えるには
口すぼめ運動を
「口すぼめ運動とは鼻から息を吸った後、口をすぼめて長く息を吐く方法。気管支に圧がかかって広がり、楽に息ができるように。階段などで息切れしやすい場合などに効果的」
日本人の10人に1人がぜんそく持ち
と言われている
「肺の病気で一番多いのがぜんそく。ただの風邪と見過ごされてしまいがちです。小児ぜんそくの経験があったり、風邪にしてはせきが長引くと感じるなら早めに呼吸器内科へ」
健康な人も
感染症に注意
「呼吸によってウイルスが体内に入り込むと、ごくまれに健康な人でも免疫の暴走が起こり、感染症が重症化するケースも。長引くせきや痰、高熱が続く場合は早めに受診を」
肺機能は
20歳がピーク
「健康な人でも加齢とともに肺機能は低下します。しかし、悪くなるという意味ではありません。低下速度は生活習慣や呼吸器の病気の有無などによっても大きく異なります」
太ももの運動不足は
肺機能低下の原因に
「下半身の筋肉は呼吸と関係ないと思われがちですが、呼吸筋とつながっているものも多くあります。とくに全身の筋肉で一番大きい太ももの大腿四頭筋は肺への影響大です」
糖質は肺に負担が
かかる栄養素
「食事で摂った栄養素は酸素を使って燃焼され、体のエネルギーに。酸素が使われた後には二酸化炭素が残り、肺が処理します。糖質は二酸化炭素の排出量が多く、肺の負担に」
ハードな筋トレより
ストレッチやヨガを
「深呼吸や腹式呼吸を取り入れるストレッチやヨガは自律神経の副交感神経の働きを高め、免疫力アップにつながるといわれます。一方、ハードな運動は交感神経を優位にし、逆効果に」
マラソンや水泳など
持久系のスポーツは
肺の負担になることも
「ぜんそくの人は気管支の粘膜が敏感に。体調が万全でない時に有酸素運動をすると勢いよく空気が入り込み、さらに気管支を刺激。健康な人が運動のし過ぎでぜんそくになるケースも」
水分不足で
風邪をひきやすくなる
「のどの粘膜が乾くとバリア機能が低下し、肺に雑菌などが入りやすくなります。その結果、風邪をひきやすく。トイレが近くなるからといって水分を控えるのはやめましょう」
Try Exercise!
腹式呼吸が
免疫力アップにつながる
「腹式呼吸は副交感神経の働きを優位にする効果が。副交感神経が優位になると、ウイルスなどを防ぐ免疫力が高まるといわれます。また、腹式呼吸にはストレスを緩和する効果があることもわかっています」
1 仰向けに寝て息を吸う時はお腹の中の風船を膨らませることをイメージ。お腹の上に辞書などおもしを置き、それを浮かすように息を吸うのもよい。2 吐く時は口をすぼめて、ゆっくりと長めに。
口呼吸は
肺を弱らせる
「鼻には細かい毛や粘膜があり、空気中を浮遊しているウイルスや細菌をキャッチするフィルターの役目を果たします。ところが、口呼吸では病原体が直接気管支に入るため、感染症にかかりやすくなり、肺を弱らせます」
口呼吸は
口臭や虫歯の原因に
「唾液には酵素が含まれていて口内の細菌の増殖を抑える働きがあります。しかし、口呼吸で口の中が乾くと酵素の働きが悪くなり、口臭や虫歯の原因になることも。子どもの頃から口呼吸をしていると歯並びにも影響が」
風邪のひきはじめの
運動はNG
「風邪のひきはじめは免疫力も低下しているので、体に負担をかけないことがベスト。電解質が効率よく摂れるスポーツドリンクを飲んで、十分な睡眠を取るようにしましょう」
肺にもっとも
よくないのはタバコ
「肺の病気のほとんどは喫煙習慣があると発症しやすく、悪化しやすいことがわかっています。最近では副流煙の出ない新型のタバコもありますが、そのリスクが科学的に証明されるまで数十年かかるといわれています」
スマホで
呼吸しづらい体に
「スマホに熱中することで猫背になったり、長時間同じ姿勢でいることで筋肉が硬くなりがち。すると肺を動かす周りの筋肉も影響を受け、肺が膨らみにくくなることが考えられます。時々ストレッチをするなど対策を」
肺機能の差は
40歳くらいから現れる
「悪化するとせきや息切れなどが強くなり、生活に支障を来す慢性閉塞性肺疾患(COPD)という病気があります。多くは40代から発症し、喫煙など生活習慣が大きく影響します。肺は一度悪くなるとよくはなりません」
眠る前の腹式呼吸が
いい睡眠につながり、肌も美しく
「質のよい睡眠を取っている人ほど風邪をひきにくいことがわかっています。肺のトレーニングにつながる腹式呼吸を眠る前に行うことで、副交感神経が優位に。寝る1〜2時間前にぬるめのお湯につかるのも効果的です」
MAQUIA 5月号
撮影/彦坂栄治〈まきうらオフィス〉 ヘア&メイク/木部明美〈PEACE MONKEY〉 スタイリスト/櫻井かおり モデル/朝比奈 彩 イラスト/德丸ゆう 取材·文/中木 純〈デジタルライツ〉 構成/萩原有紀(MAQUIA)
最終更新日: