ミュージカルや舞台、演劇などで、“生の演技”“生の表現”をし続けている俳優・佐藤流司さんが、2月6日から始まる舞台『私立探偵 濱マイク -遥かな時代の階段を-』にて、主人公の濱マイクを演じる。すでに何度か演じたこともある濱マイク役にかける想いや、一発勝負の舞台で常にブレることのない最高の芝居を届けるための秘訣を教えてもらいました。

- “濱マイクが仲間を大切に思う熱量は自分に通じるものがある”
- “役を演じる時は演出家や監督とのディスカッションを大切にしている”
- “自分の顔の中で一番こだわっているのは眉”
- ハードな日々に欠かせない愛用品
- 2月6日より舞台『私立探偵 濱マイク -遥かな時代の階段を-』が上演
- 佐藤流司さんのオフショットもCHECK

1995年1月17日生まれ。宮城県出身。2011年『仮面ライダーフォーゼ』の佐竹輝彦役で俳優デビューを果たす。2013年ミュージカル『忍たま乱太郎』の田村三木ヱ門役で初めて舞台に出演し、それ以降、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンやライブ・スペクタル『NARUTO-ナルト-』、ミュージカル『刀剣乱舞』など、さまざまな舞台作品へ参加。また、2018年1月にはバンドプロジェクト『The Brow Beat』のRyujiとしても歌手活動中。主演を務める舞台『私立探偵 濱マイク -遥かな時代の階段を-』が2月6日~11日の期間東京都・サンシャイン劇場にて、15日、16日は大阪府・COOL JAPAN PARK OSAKATTホール、22日、23日は愛知県・ウインクあいちにて上演予定。

“濱マイクが仲間を大切に思う熱量は自分に通じるものがある”
–––今回演じる濱マイクとご自身が似ていると感じる部分はありますか?
「自分で言うのもあれなんですけど、自分を慕ってくれている仲間、自分を大事に思ってくれている相手に対しては、同じくらいの熱量で死ぬまで大切にしようと思うスタンスが同じだなと思います」
–––主役を演じるにあたって、どのようなところに気合を入れていますか?
「まんま演じているというか、最近よく思うんですけれど、なりきらないといけない役って、正直あまりなくて。これまで自分というものを消すことが芝居だ! と散々言ってきましたが、最終的にはどうやったって自分なんですよね(笑)。結局、自分らしく、自分が思うがままに演じることが自分の存在意義なのかなと思うようになりました。なので今回の濱マイク役も気負いはないですね。自信があると言ってしまえばそれまでなんですが、こういうアウトローな作品に関して、自分以上にハマっている役者はいないと自負しています」

–––『私立探偵 濱マイク』は約30年前に生まれた作品ですが、現代ならではの表現方法など考えていますか?
「基本的には、どんな作品も普遍的なものだと思うんですよね。シェイクスピアなど歴史的な劇作家が描いた作品も、人間同士の感情がぶつかり合って、目の前の問題を乗り越えていくというようなテーマのものも、観ているお客様たちが求めているものはひとつで、とにかくその作品が観たくて観に来ている。それがエンターテインメントだと思っているので、何十年も経った作品でも特に変える必要はないと思っています。約30年前でももちろんダメですけど(笑)、この作品ではピストルで撃ち合ったり、ナイフで刺し合ったり。武道をしていたので殴られる傷みはある程度分かるんですけど、そういう桁違いの痛みは経験がないので、その部分はどうしても想像の範疇を超えないのは悔しいなと常々思ったりしています。濱マイクは毎日、痛みの連続で、そうして生き抜いているサマがカッコよくて、そこも長年にわたり愛され続けている所以なんだと思います」

–––濱マイクは佐藤さんにとってアタリ役だと周囲も認めていますよね。今回は2021年の朗読劇、2022年の舞台とは異なる濱マイクを演じるのでしょうか?
「みなさんが思い描いている通りの濱マイクでいこうと思っています。というのも原作がしっかりあり、どういう作品なのか前情報もあり、観に来てくださる人たちを変に裏切っても面白くなることはないと思うので。“得意分野の作品!”と豪語させてもらっているくらいなので、自分自身もそうですし、お客様も想像している通りの濱マイクを演じることが、この作品で求められていることだと思っています」

“役を演じる時は演出家や監督とのディスカッションを大切にしている”
–––役者 佐藤流司として譲れないもの、大切にしている信念はありますか?
「正直、譲れないことしかないです! しっかり信念を持って演じることで、その芝居に深みが生まれてカッコよく見えるんですよね。今回の作品はもちろんですが、自分が携わる作品では、演出家や監督とのディスカッションを大切にしています。その際、言われた通りに演じる役者でいるのか、それとも自分の思いの丈をぶつけて両者が納得したうえで演じるのか、自分は後者であり続けたい。プライベートでは、本番が近づいたり、作品がひと区切りついたりした時には必ず、鰻を食べに行きます。それは子供の頃からの習慣で、空手で優勝したり、昇段した時などの“ゲン担ぎ”の食事だったので、今でもその習慣は続けています」
–––生の演技の場に立つことの難しさと喜びを教えてください。
「映画やテレビとの違いは、映像は噛んでしまっても動きを間違えてしまっても撮り直しがきくところかな。生の演技は噛んだら“今、噛んだな”って思われるし、セリフを飛ばしてしまったら誰かが瞬時にフォローしなければならない。絶対に失敗してはいけないという緊張感を味わえるのが舞台の醍醐味。役者によっては、初日から千秋楽に向かって演技力を高めていく人もいますが、自分は初日と千秋楽の演技が全く違うのはあまりよくないと思っていて。最初から最高のクオリティを届けるのがプロの役者。なので、毎公演、全力で演じ切っています。毎回、カーテンコールやみなさんが拍手してくださっている時に、その日の評価が如実に出るので、お客様の表情を見回しながら、本当に喜んでもらえたんだなと思えた瞬間が一番うれしいですね」
–––稽古期間中に大変だと思うことは?
「1か月間、同じことをし続けることがツラいですね(笑)。演技に正解があるわけではないけれど、外したなと思うことはあるので、それを潰す確認をしながら作品を作り上げていく。その繰り返しが想像以上にハードで。でもカーテンコールの瞬間に報われるんですけどね」

“自分の顔の中で一番こだわっているのは眉”
–––30代に突入して、初舞台が『私立探偵 濱マイク -遥かな時代の階段を-』ですが、プライベートで挑戦したいことはありますか?
「夜は大好き、昼は苦手で太陽が嫌いなインドア派なので、海やキャンプなどのアウトドアに挑戦してみたいですね。30代でやらなかったら、一生やらなさそうだしと思って(笑)。海もキャンプもですが、一人行動が苦手で孤独にも耐えられないので、誰かと一緒にできたら嬉しいです。これまで長時間外にいることはあまりなかったのですが、クリスタルトマトという美白サプリメントは何十年も飲み続けています。日焼けする機会もないので、正直、今のところ効果は感じていませんが、肌トラブルが起きないのはこのおかげなのかも。アウトドアの時に実感できることを楽しみにしています」
–––演じるには体力も必要だと思いますが、日頃から行なっているトレーニングやメンテナンスを教えてください。
「不調をきたすことはほぼないので、体のメンテナンスは特にしていません。稽古中や舞台中は週2~3回程度、アクション少なめの現場だったら週5回程度、ジムで筋トレをします。基本的に背中、胸、脚のローテーションで鍛えていますが、本番中は脚の筋トレは控えています。脚を鍛えすぎてしまうと歩けなくなってしまうんです。ほかの部位は違う筋肉で補えるんですけど、脚だけは脚の筋肉でしか補えないので、ジムでいじめすぎてしまうと使い物にならなくなってしまう。なので筋トレを1時間半行い、その後、40分ウォーキング。脂肪燃焼はウォーキング開始20分後から始まるので、最初の20分は脂肪を燃焼するための準備、それ以降の20分が脂肪燃焼の本番。余談ですが以前、規則正しい生活に切り替えて、禁酒もして、楽屋ではしっかりストレッチなどをしたことがあるんですが、本番を迎えたらストレスで爆発してしまって(笑)。無理なことはしない、自分らしくが大事だと、その時に学びました」
–––無理はしない、自分らしくが大事だとおっしゃいましたが、地方を回る時も同じスタンスですか?
「そうですね。地方のホテルに宿泊する時は、加湿器は借りるかも。喉を壊してしまったらお芝居にならないので。睡眠も2時間寝られれば十分ですし、意識的に美容や健康に目を向けていることもなく……。あ、でも、毎日720mlの食塩無添加のトマトジュースを1本飲んでいるかも! そのきっかけはヨーロッパのことわざ『トマトが赤くなると医者が青くなる』というのを知ってから。飲む前よりは今のほうが断然、調子はいいですね」
–––眉がとても印象的ですが、こだわりはありますか?
「何年も自分で整えています。まずは4.5mmのバリカンで眉全体を剃るんですよ。それから眉山を引っ張った状態のまま、カミソリで眉の上下を直線に剃ったら完成! 昔から太眉は好きではないので、10代の頃からずっとこのやり方で、自分の顔の中で一番こだわっているのは眉。細いほうがいかようにもメイクで変えられることができますしね」
ハードな日々に欠かせない愛用品

「シャンプーはホテルの備え付けのものを使いますが、トリートメントは髪がきしまないように日頃から愛用している『プルント リライト レッドワイントリートメント』を持参します」

「今、化粧水はコンビニで購入した『肌ラボ 極潤ヒアルロン液』を使っていて、スキンケアはそれのみ。今は特に肌悩みはないので、プチプラで十分!」
2月6日より舞台『私立探偵 濱マイク -遥かな時代の階段を-』が上演

出演/佐藤流司、長田光平、矢部昌暉(DISH//)、小泉萌香、七木奏音、井澤巧麻、八木ましろ、なだぎ武、大浦龍宇一、凰稀かなめ
原作/林 海象
脚本・演出/西田大輔
永瀬正敏さん主演で人気を博したハードボイルド探偵シリーズ、映画『私立探偵濱マイク』シリーズ。シリーズ3部作の第2弾となる『私立探偵 濱マイク -遥かな時代の階段を-』が、第1弾から引き続き、佐藤流司さん主演で2025年2月に上演される。
●2025年2月6日(木)~2025年2月11日(火・祝)
東京都 サンシャイン劇場
●2025年2月15日(土)〜16日(日)
大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
●2025年2月22日(土)~2025年2月23日(日・祝)
愛知県 ウインクあいち

早朝の冷えた空気の中、寡黙に撮影に挑んでくれた佐藤さん。インタビューの受け答えからも、常に与えられた役に真摯に向き合い、着実にキャリアを重ねてきた自信が垣間見えました。
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/有藤 萌 スタイリスト/高山良昭 取材・文/佐藤 梓 企画・構成/有住美慧(MAQUIA)
佐藤流司さんのオフショットもCHECK
公開日: