眉目秀麗な登場人物やキャッチーなストーリーが話題を呼び、ここ数年ですっかり人気が定着してきたタイドラマ。その人気に応じるように、2023年は毎月のように俳優陣が来日。彼らの気さくな人柄が伝わるイベントが各地で開催され、ファンの心を鷲づかみにしてきました。
マキアオンラインでもたびたびタイ俳優の方々をご紹介していますが、今回はドラマ『Lovely Writer The Series』や『Step By Step』に出演したUpさんがビューティ撮影に挑戦！ NARSのイメージキャラクターを務めるなど、美容業界からも熱い視線を浴びている彼にメイクのこだわりや仕事に対する思いを語っていただきました。
清涼感の中に大人の色気が滲む、魅惑の初恋系男子・Up
涼やかな目元と情熱的な唇が混在する顔立ちがUpさんの魅力。ふにゃっと微笑む姿は29歳とは思えないほどあどけないけれど、ふとした表情や眼差しにゾクッとするような妖艶さが覗く。
初主演ドラマ『Lovely Writer The Series』（2021年）でBL小説家を演じ、爽やかなルックスと至高のツンデレ役で一躍注目の存在となったUpさん。2023年配信の『Step By Step』では主人公の元恋人を演じる一方でプロデューサーとしても名を連ね、多才な一面を発揮。2024年にはメインキャストを務めたホラー映画『Hoon Payon』の日本公開が控えており、俳優としてさらなる活躍が期待されています。
役を離れた素顔は、いたって穏やか。周りにいる誰もがふんわり笑顔になってしまうほど柔和なUpさんは、自身の性格をどう捉えている？
「楽しくて、ハッピー（笑）。子供の頃からこういう性格なのですが、それは母のおかげかもしれません。母はとても優しい人で、子供の頃から何かするたびに『すごいね』と言って褒めて育ててくれたんです。とはいえ、いくらハッピーな性格でも気分のアップダウンはもちろんありますよ。人間だったらそういう時もあるでしょう？ でもね、僕の仕事って毎日のように仕事で新しい人に出会うんですよ。それってすごくラッキーなことだなって感じるんです。一つ一つの出会いは偶然が重なって生まれるものだから、すごく感謝したいなって。新しい人と接するのは多少緊張もするけれど、どちらかといえば“会えたことが嬉しい”っていう気持ちの方が大きい。その感謝の気持ちが、ポジティブでいられる秘訣なのかもしれないですね」
「今日のスタッフの方々と会えたことも嬉しいです」と少しはにかみながら語ってくれたUpさん。出会いをとても大切にしていることは、大学時代の先輩が彼のマネージャーを担当していることからも伝わってきます。そんな彼が人間関係で大切にしていることとは？
「人を決めつけることはしないようにしています。例えば、ちょっといかつい顔をしている人がいても、勝手に“怖い”と決めつけない。相手のことをちゃんと知ってから判断しないといけないなって。なので、人に対して壁を作らないことも大切。相手から話しかけてこなければ、自分から話しかけるようにしていますね」
好きなスポーツは、ゴルフ、テニス、バスケットボール。たまにジムに通って鍛えることもあるそう。
「シックスパックは別にいらないかな。丈夫で、病気にさえならなければそれでいいです」
2024年に日本公開予定の映画『Hoon Payon』は、タイの魔術をモチーフにしたホラー映画。お寺で育てられた青年・Taeを演じたUpさんは、恐ろしい人形や見えてはいけない何かを直視せずにすむように、あえてコンタクトレンズを外して撮影に臨んでいたそう。
「映画内では魔術に使用する本物の土人形を使っているのですが、その人形は人間の遺体の一部を入れて作るんです。（日本語で）コワ〜イ‼︎ 撮影中は怖くて１人ではどこにもいけず、トイレも誰かと一緒にいっていました（笑）。元々すごく怖がりなタイプで、ホラー映画もたまにしか観ません。お化けが怖いというより、（音や衝撃に）驚きやすいので。でも、またホラー系の仕事が来てもOKですよ。撮影中は周りにたくさん人がいるから、そこまで怖くはない……はず（笑）」
10年後の自分なんて、今は想像もつきません。
タイの俳優陣は多才な方が多く、中にはドクターやパイロットなどの肩書きを持つ人も。知性派で知られるUpさんは、タイの名門・チュラロンコン大学在学中に俳優活動を始め、卒業後にイギリスに留学。現在は、華やかな芸能活動と並行して大学院で国際開発学を学んでいるそう。
「国際関係に興味を持ったのは、大学3年生の頃。単位がだいぶ揃って時間ができたので読書に耽っていたら、ある本に出会ったんです。歴史上の戦争について書かれた本で、それを読んだ時に”いま世界で起きている問題は、過去の出来事が原因となって現代に繋がっているんだ”と思いました。それと同時に、“この世界はひとつのもので、言語の制限はあっても世界中の人とコミュニケーションをとることは可能なんじゃないか”という思いも芽生えて。そこから外交学などを専攻するようになりました。今までの学びで得たのは、第三者の視点で物事を見ることの大切さ。物事は右と左だけで捉えるのではなく、その真ん中にいるように努力すると、いろんな解釈ができるようになると思います」
“物事を俯瞰する視点は、俳優やプロデューサーとして仕事する際にも役立ったのでは？”と尋ねてみると、意外な答えが。
「裏方の仕事に活かせると思います。でも、実際のところ『Step By Step』に関してはマネージャーが大部分を担当していたんです。その様子を見ながら裏方の全体像を学んだのですが、その際に感じたのは、予算や再生回数といった数字がいかに大切かということ。高校の頃から数学は避けてきたのですが（笑）、そろそろ向き合わなければいけない気がしています。ただ、今後もチャンスがあればプロデュース業に挑戦していきたいけれど、出演もしながらやるのは正直難しいかも。２つを同時にやるとどちらかにミスが生じる可能性があるので、１つのことに集中したいですね」
12月4日に29歳の誕生日を迎えたUpさん。30歳という節目を前に考える、10年後の自分とは？
「とても難しい質問ですね。今の段階では、10年後の自分なんて想像もつかないです。もちろん達成したい目標はあるけれど、そこにこだわっていると日々訪れる新たなチャンスを逃してしまう。僕は道の途中にある幸せを見逃したくないんです。それに、その目標だって“○歳までに必ずやり遂げなきゃいけない”という気持ちは特になくて。人にはそれぞれ適切なタイミングがあるから、他の人より早いとか遅いっていうのは関係ないと思っています」
NARSの名品受賞コスメを纏う
メイクが映える端正な容貌の持ち主であるUpさんは、タイ本国ではNARSのイメージモデルとしても活躍中。今回の撮影では、MAQUIAのベスコス受賞アイテムが集結したビジュアルにチャレンジしてくれました。ほのかに上気した頬と血色感のあるリップが艶っぽく、好青年な素顔とは裏腹な危うい色気がチラリ。指でリップを拭う仕草をお願いするとたちまち退廃的なムードを漂わせ、俳優としての集中力の高さを感じたのでした。
「僕にとって、メイクは自信をくれるもの。今日のメイクは派手すぎず、ナチュラルさがあるところが気に入りました。普段メイクをする時にこだわるパーツはリップかな。最後に塗ってメイクを完成させることが多いと思うので、顔の印象を決めるアイテムだと思います。今回使用したリップは個人的にも好きなカラーで、真っ赤ではないけれどすごくパワーを感じるんです。また機会があれば、目元が強いファッショナブルなメイクにも挑戦してみたいですね」
Upさんが今回使用したコスメ
(上から)なめらかに伸び、唇にピタッと密着するマットリップ。洗練ムードが漂うくすみローズは、Upさんのご指名カラー。唇の中央をたっぷりめに塗り、ふっくらとした立体感を強調している点にも注目を。パワーマット リップスティック 111 ￥4840、2023年を代表するアイテムとなったリキッドチーク。ディープトーンの血色カラーを高めの位置に広くぼかしこむことで、ぽわんと上気したような頬に。アフターグロー リキッドブラッシュ 02804 ￥4620、美容好きの間で大人気の通称“リフ粉”は、タイビューティでも欠かせないアイテムのよう。ふわっと肌にかぶせるだけで、毛穴レスな肌に仕上がる。ライトリフレクティングセッティングパウダー プレスト N 5894 ￥5830、スキンケア成分を70%配合したファンデーションは、光の反射を利用して肌トラブルをカバー。素肌そのものがキレイになったような仕上がりに。ライトリフレクティング ファンデーション 02178 30ml ￥6930／NARS JAPAN
クローズアップしても美しい、キメ細かな肌を保つ秘訣は「水をたくさん飲んでいます」とのこと。
「1日３ℓは飲むようにしていて、常温で飲むのがこだわり。元々は乾燥肌なのですが、水分をたっぷり摂るようにしたら改善しました。あとは、ビタミンCと亜鉛のサプリを摂るのも日課のひとつに。そして、一番大事なのは寝ること！ 1日6〜８時間寝るのが理想だけれど、普段はあまり足りていない気が。ちなみに、枕は硬めのタイプが好きですね。30代に向けて強化したい美容ですか？ う〜っ(Upさんは近頃“30歳”という年齢に敏感になっているそう)。最近目元に少しシワが出てきたんですよね。以前、知人から『Upは全然肌のお手入れをしてないな。30代になれば重要性がわかるよ』って言われたんですよ。もし時間を巻き戻せるなら、アイクリームを塗って目元に栄養を与えてあげたいです」
最後に、Upさんが思う“美しい人”とはどのような人なのか尋ねてみました。
「新しい視点を見せてくれる人。主に内面についてになりますが、話をしていて“こういう考え方もあるのか”と気づかせてくれる人はすごく魅力的だなと思います」
撮影／柴田フミコ スタイリスト／藤長祥平 ヘア／Pathinya Orcharoen メイク／Napanut Bavontadtaverat
取材・文／真島絵麻里 通訳／高杉美和 構成／木下理恵（MAQUIA）
コート¥99000、ジャケット¥64900、パンツ¥31900／ラッド ミュージシャン 原宿（ラッド ミュージシャン） 右耳のイヤーカフ¥14300、左耳のイヤーカフ¥22000、ネックレス¥29700、右手のリング¥147400、左手のリング¥20900、ブレスレット¥31900／e.m. 青山店（イー・エム） その他／スタイリスト私物
MAQUIA2024年4月22日発売号
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