摂り方次第で体や肌にマイナスにもプラスにも働く「塩」。正しい摂り方を知って味方につけて、キレイと健康を手に入れよう! 今回は、健康との関係を深掘りします。
この2つを制すれば美肌力も健康力もアップ!
「糖」と「塩」のQ&A
総合病院、女性クリニック、企業などで18000人以上の栄養相談を行った経験を生かし、現在、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティング、講演など多方面で活躍中。
塩のプロを育成する一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表。塩の魅力を伝えるエバンジェリストとしても活動。著書は『免疫力を高める 塩レシピ』(あさ出版)など。
肌にも体にも不可欠なミネラルの宝庫 「塩」編
塩ってどんなもの?
Q そもそも塩って何ですか?
A ナトリウムを主体とした ミネラルの塊
「塩は海水が結晶化した、ミネラルの塊です。塩にはナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどの私たちが生きていくうえで欠かせない必須ミネラルが多く含まれています。調味料としても味付けの基礎として欠かせません」(青山さん)
Q 塩にはどんな種類がある?
A 海水塩 、岩塩 、湖塩 、藻塩 などさまざま
「塩には原料の違いにより海水塩、岩塩、湖塩、藻塩、地下塩水塩などがあります。また、輸入塩ににがりなどを加えた再製加工塩、ハーブなどを混ぜた調味塩、輸入塩に炭酸マグネシウムを添加した精製塩や食卓塩、塩化ナトリウムが99%以上の食塩などがあります」(青山さん)
主な塩の種類
海水塩
特徴:海水を何らかの方法で濃縮し、結晶化させたもの。食塩も海水塩の一種です。
藻塩
特徴:海藻に海水を含ませてできた塩水から作る塩。海藻の旨みが凝縮された味が特徴。
地下塩水塩
特徴:岩塩が伏流水で溶かされるなどしてできた、地中を流れる塩水の川や地底湖の塩水から製造。
湖塩
特徴:塩分濃度の濃い湖で採取される塩。乾季に塩が結晶になるので、それを掘り出して採取。
岩塩
特徴:太古の昔に地中に閉じ込められた海水が結晶化したもの。土壌の違いにより味や色が異なる。
再製加工塩
特徴:精製塩や輸入塩ににがりや海水を添加したもの。「伯方の塩」や「赤穂の天塩」などがある。
調味塩
特徴:塩にハーブやスパイスなどの素材をブレンドした塩。「クレイジーソルト」などが有名。
「塩」と「健康」
Q 塩の体での働きとは?
A 浸透圧の調整、血圧の調整、筋肉の収縮や神経伝達のサポートなど
「塩に含まれるナトリウムはカリウムとともに体内の細胞外液を均一に保てるように浸透圧を調整する働きがあります。また、血圧を調整したり、筋肉の収縮や、神経伝達、栄養素の吸収などを助ける働きも」(浅野さん)
Q どんなミネラルが含まれている?
A ナトリウム、カルシウム、マグネシウムが特に多く、それぞれに効果が
「特に多いのがナトリウム。ほかに骨や歯の構成成分になるカルシウム、代謝を司る酵素の働きを保つマグネシウム、過剰なナトリウムの排出を促すカリウムも豊富。種類によりさらに多くのミネラルを含む塩も」(青山さん)
Q 1日にどれくらい摂るといいの?
A 1日あたり6.5g未満に抑えて
「1日の塩分摂取量の基準は、女性の場合、1日あたりの目標量で6.5g未満とされています。ただし日本人は1日に平均8〜10gもの塩分を摂っているとされていて、摂り過ぎ傾向なので、なるべく控えめに」(浅野さん)
Q 塩分の多い要注意の食品とは?
A ラーメンやパン、漬物、干物など
「インスタントラーメンをはじめ加工食品には塩分が多いものが多いです。また、漬物や干物、梅干しなど日本の昔ながらの食事にも塩分が多いものが多数。意外なところではパンにも塩分が多いので注意」(浅野さん)
Q 塩を摂り過ぎると、体にどんな不調が起こる?
A むくみや血圧上昇を招く
「むくみや血圧上昇の原因に。ただ、塩を摂っても血圧が上がる人と上がらない人がいます。とはいえ脳卒中や心筋梗塞などは塩分摂取が多い地域に多いので塩分過多は血管系疾患につながると考えられます」(浅野さん)
Q 健康のためにはどんな塩を選ぶといい?
A ナトリウム以外のミネラルが多い塩がおすすめ
「ナトリウム以外のミネラルを多く含む塩がおすすめ。市販の塩には食塩相当量(100g中のナトリウム量)が記載され、これが低いものはナトリウム以外のミネラルが多いということなのでチェックを」(青山さん)
青山さんおすすめの多くのミネラルを含む塩。A 沖縄県粟国村のミネラル豊富な海水から作られた塩。粟國の塩(釜炊) 250g ¥864/沖縄海塩研究所 B 一般の食塩より塩分が25%も低く、21種類のミネラルを含有(現在注文後約2カ月半待ち)。ぬちまーす 250g ¥1242/ぬちまーす C ミネラルを多く含む地下海水を原料にした粉雪のような塩。雪塩(パウダー) 120g ¥756/パラダイスプラン
Q 塩が不足すると体にどんな悪影響がある?
A 疲労感、筋肉の痙攣、脱水症状による頭痛、吐き気などが起きやすく
「塩は基本的に不足しませんが炎天下で運動をして汗をかいたときなどに水しか摂らないとナトリウムが不足し、疲労感や筋肉の痙攣が起きたり、脱水症状になり頭痛、吐き気、尿量減少、体温上昇を招くことが」(浅野さん)
Q 塩分の摂り過ぎを防ぐ食べ方のコツって?
A オイルや酢、レモン、出汁などを上手く活用して
「オリーブオイルやごま油など風味のよいオイルを使うと少しの塩でもおいしく仕上がりますし、お酢やレモンや出汁なども上手く使うと塩を減らせます。また、ミネラルが多い岩塩などを少し使って味付けして素材のもつ味を楽しむのもおすすめ」(浅野さん)
Q 摂り過ぎた塩分を排出するには?
A カリウムが多い食品を摂って
「余分なナトリウムを排出するカリウムが多い食品を摂るのがおすすめ。ほうれん草やにんじん、アボカドなどの野菜や、いも類、海藻類、バナナなどに多く含まれています」(浅野さん)
MAQUIA7月号
撮影/岡﨑恒彦 イラスト/二階堂ちはる 取材・文/和田美穂 企画/髙橋美智子(MAQUIA)
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