ありきたりなラブストーリーに飽きた…。そんな人にぜひオススメしたいのが、幻想的な映像と斬新な演出が目を引くこの1本。ギュッと胸を締め付けられる、後味の切なさもまた格別です。
最高にチャーミングな
エミー・ロッサムを切り取った
監督の愛とセンス
★今回のおすすめ新作映画★
『COMET/コメット』
監督/サム・エスメイル 出演/ジャスティン・ロング、エミー・ロッサム、エリック・ウィンター、ケイラ・セルヴィ 公開中 ©2014 COMET MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
<ストーリー>
彗星の夜に運命的に出逢ったデルとキンバリー。その日から、2人の6年間の恋がパラレルに交差し描写されていく。舞台は出逢いの公園、再会の列車、パリのホテルと目まぐるしく移り変わり現実の記憶と夢の境界線が曖昧になってくる。二つの太陽が昇る朝、キンバリーが口にした告白にデルは衝撃を受けるー。果たして本物の記憶は? 二人の運命は?
ランダムな時間軸で描く
6年間の恋愛ヒストリーに
自分の姿を重ねてみて!
【松山 梢の女子ツボPOINT!】
過去の恋愛を思い出すとき、日常で交わしたささいな会話を覚えていることもあるし、インパクトのあるエピソードなのに、なぜかディテールをハッキリ思い出せないこともある。もちろん脳内で記憶が勝手に書き換えられているものあれば、時系列が正確ではないものも。
この作品は、ある恋人たちが6年間にわたって経験した出会い、ケンカ、浮気、破局、再会など、様々な場面をランダムに描いたラブストーリー。どこがはじまりでどこが終わりなのか、そして何が現実で何が夢なのか、境界線がわからなくなる斬新な演出が特徴です。それでもなぜかリアルな既視感を与えるのは、恋愛とはそれだけあいまいなものだと誰もが知っているからかもしれません。
ドラマチック要素なし
平凡カップルの恋物語、
だからこそ共感しちゃう!
登場する男女は、どちらかが病に冒されているわけでも身分の差があるわけでも、まして生き別れた腹違いの兄妹でもありません。どこにでもいる男女の平凡な出会いとありきたりな別れを描いたシンプルな物語なのに、語り尽くされた多くの映画のドラマチックなエピソードを一切使うことなく、これほど魅力的に仕上げたのは正直すごい。
脚本と監督を務めたのは、サム・エスメイル。新鋭の映像作家で、なんとこれが監督デビュー作! ベッドに横になる2人にふわふわと雪降ってきたり、電車の窓の外になぜか宇宙が広がっていたり、ロサンゼルスの空に月がふたつ浮かんでいたりと、幻想的な映像を印象的な音楽と共に差し込むことで、どうしようもない恋愛をギュッと胸が締め付けられるような愛すべき物語に昇華させています。
ヒロインが恋に
落ちた監督の
愛ある視点にドキ♡
実はヒロインを演じたエミー・ロッサムは、この作品の出演がキッカケで監督と婚約を発表! 正直このニュースを聞いたとき「人気も実力もある彼女がなぜ駆け出しの映画監督と?」と余計な心配をしてしまいましたが、作品を見たら納得。
恋が始まったときのトキメキから倦怠期を迎えた大人の女性の気だるい色っぽさも含め、これまで見たどの作品よりもチャーミングにエミーを切り取っているのです。しかもなんでもない場面でぐぐっと彼女の唇にクローズアップするシーンでは、監督の愛ある視点にドキドキ♡ これまでにない演出でリアルな恋愛を描いた、女優も惚れる監督の才能に注目です。
〈映画ライター/松山 梢〉
映画のヒロインに感情移入することでかろうじて「女」であることを維持している、三十路まっただ中のライター松山 梢です。自分に足りない女っぷりを向上すべく、そして美意識の高いマキアオンライン読者の女っぷりをさらにアップさせるべく、愛すべき女子向け映画&ドラマを紹介していきます!