たとえ周囲に理解されなくても、ありのままの自分でいることを選択している人は強い! 今回のテーマはジェンダーフリー。麗しき男性監督の世界! と題して、ゲイの映画監督たちが描いた女性の生き様に迫ります。まずは言わずと知れた若き天才監督グザヴィエ・ドランの代表作をピックアップ。
「普通とは何か」を問う
大人の男女の壮大な
愛のメッセージ
★今回のおうちでシネマ★
『私はロランス』
監督/グザヴィエ・ドラン 出演/メルヴィル・プポー、スザンヌ・クレマン、ナタリー・バイ ¥5184 発売元/アップリンク 販売元/TCエンタテインメント ©2012 Production Laurence INC / MK2 SA / ARTE France CINEMA
〈ストーリー〉
モントリオール在住の国語教師ロランス(メルヴィル・プポー)は、恋人のフレッド(スザンヌ・クレマン)に「これまでの自分は偽りだった。女になりたい」と打ち明ける。「一緒に過ごした時間は嘘だったの」と非難するフレッドだったが、愛するロランスの気持ちを受け入れ、共に生きていくと決意する。
美しすぎる神童!
グザヴィエ・ドランの名を
知らしめた名作!
【松山 梢の女子ツボPOINT!】
もしも彼氏に「女になりたい」と言われたら……? 2013年に公開され、センセーショナルな物語と圧倒的な映像美で一躍「グザヴィエ・ドラン監督旋風」を巻き起こした作品です。
ゲイの監督ならではの社会に対する鋭い視点はもちろんですが、(当時)24歳という若さ、そして監督自身の美しさにうっとりしたミーハーな観客は私ひとりではないはず。
さて、映画はトランスジェンダーであることを打ち明けたロランスと、その彼女フレッドとの10年におよぶ壮大な愛がドラマチックに紡がれますが、物語の主軸にあるのは「普通とは何か」ということ。
彼氏からの
仰天告白に
彼女が取った行動とは!?
生まれ持ったカラダと心の差異に苦しむロランスは、女装姿の自分に向けられる周囲のぶしつけな視線から「普通ではない」ことを自覚しています。それでも、勇気を持って信じる道に一歩踏み出すロランスは強い。強いけれど、むしろ注目したいのは恋人フレッドのほう。
苦悩の末「自分も普通とは言えないから」とロランスの告白を受け入れ支えようとします。ところがカフェで「妙な格好してるわね」とウェイトレスに言われたロランスが苦笑いで受け流そうとするのに対し、フレッドが激高して反論することからも、周囲が抱く視線を誰よりも理解し、どこかで後ろめたさを抱えている「普通の人間」であることが、悲しくなるほど伝わってきます。
ありのままの
自分でいることの
難しさに共感!
髪を赤く染め、タバコを吸い、奔放に生きているように見えるフレッドも、男と結婚して子供を産み育てたいと願う、あきれるほど普通の女。だから「心に従うの。外見は重要ではないわ」と至極真っ当なことを言われても、社会生活を送る大人のフレッドが誰の目も気にせずに生きることは難しいのです。
監督はロランスの生き様を賞賛しつつも、フレッドの葛藤にもしっかり寄り添い、否定することはしません。マイノリティであることに苦悩してきた監督のマジョリティに対する寛容さや理解の深さはさすが。
ただシンプルに「あなたはあなた自身ですか?」と観客に問う、「Laurence Anyways……」と言うラストシーンを見て、胸に手を当ててみて。
『わたしはロランス』
¥5184 発売元/アップリンク 販売元/TCエンタテインメント ©2012 Production Laurence INC / MK2 SA / ARTE France CINEMA
★次回、麗しき男性監督の世界!
パート2は…
あの巨匠の作品が登場!
女であることの喜びを再確認する映画をご紹介します!
〈映画ライター/松山 梢〉
映画のヒロインに感情移入することでかろうじて「女」であることを維持している、三十路まっただ中のライター松山 梢です。自分に足りない女っぷりを向上すべく、そして美意識の高いマキアオンライン読者の女っぷりをさらにアップさせるべく、愛すべき女子向け映画&ドラマを紹介していきます!
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