Over40になると、病気というほどではないけれど不調が出てくるもの。腰痛、肩こり、更年期症状など、気になる不調の対策法をプロに聞きました。
しなやかに変化を楽しむために。
Over40の“不調”どーにかしたい! 100問100答
整形外科医
中村格子先生
Dr.KAKUKO Sports Clinic院長。スポーツドクター。アスリートから一般の患者まで広く診療にあたる。
内科医・漢方専門医
陣内厚子先生
東京女子医科大学附属 東洋医学研究所 非常勤医師。現代西洋医学、東洋医学の両面から診療を行う。
産婦人科医
福山千代子先生
MET BEAUTY CLINIC院長。婦人科と美容医療の両面から女性の健康と美をサポート。メディアでも活躍。
歯科医師
小川朗子先生
アンチエイジングデンタルクリニック恵比寿院長。著書は『若さを取り戻す歯のエイジングケア』(桐書房)。
病気ってほどじゃないけれど気になるあれこれ
体全般の悩み
腰痛、肩こり、更年期症状と、体調不良が出やすくなる40代。対策を知って、前向きに年齢を重ねて。
Q.ちょっとしたことで疲れちゃう。これも歳のせい?
A.加齢とともに持って生まれたエネルギーも減ります!
「東洋医学では女性の体は7年ごとに変わるとされ、35歳以降は容姿が大きく変化したり、持って生まれた気(エネルギー)が減り、42歳からはさらに老化が進むと言われています。それなのに若い頃と同じような生活をしていると疲れてしまうのです」(陣内先生)
Q.何事にもやる気が起きない(涙)
A.休息と食事、しっかり摂れてますか?
「加齢に伴ってエネルギー量が減っているのに、今まで通りに頑張ってしまっていることで“気”がすり減っている可能性が。休息と食事でちゃんとエネルギーが補給できているか見直してみて。改善しないなら体を動かしてリズムを整えたり、病院で相談を」(陣内先生)
Q.ついに四十肩になったみたい。何が原因?
A.原因は不明で、肩関節に炎症が起きるのが四十肩
「肩の痛みや腕が上がらないなどの症状が出る四十肩は正式には肩関節周囲炎と言い、40代で原因がわからず肩関節に炎症が起きている場合にこの病名がつきます。ホルモン変動が関与しているとも言われていますが原因は不明で、ある日突然なることも」(中村先生)
Q.四十肩を改善するには?
A.自然に治るので安心を
「四十肩は、痛みが強い炎症期→痛みは和らぐものの肩が動かしにくい拘縮期→回復期の3段階を経ます。自然に治るので過度な心配はいりません。痛みがひどい場合は整形外科で治療可能。炎症期にはステロイド注射や鎮痛剤など、拘縮期にはリハビリを行い治療していきます」(中村先生)
Q.腰痛が起こるのはやっぱり年齢のせい?
A.加齢による筋力低下と姿勢の悪さ
「腰痛は年齢にかかわらず姿勢の悪さなどが原因で起きますが、加齢に伴って体幹の筋力が低下すると腰痛が起きやすくなります。体幹の筋力が衰えると骨盤を立たせられず後ろに倒れてしまい、腰椎に負担がかかるので腰痛が起きやすくなるのです」(中村先生)
Q.肩こりがツラい……
A.猫背が大きな原因!
「肩こりも姿勢の悪さが大きな原因。人間の頭は5〜6kgの重さがありますが、猫背で首を前に出した姿勢でいると、この重さが首や肩にダイレクトにかかるため筋肉が緊張して、肩や首が凝ってしまうのです」(中村先生)
Q.自分でできる腰痛を改善する方法を知りたい
A.股関節やハムストリングスのストレッチが◎
「股関節や、もも裏のハムストリングスが縮んで硬くなっていると、腰ばかり使って動くようになり、腰に負担がかかり腰痛の原因に。この2つをストレッチで柔軟に保つと予防・改善に」(中村先生)
1 両脚を大きく開いて腰を落とし、つま先と膝を同じ方向に向け、手は内ももに当てる。右肩を内側に入れ、右手で右ももを外に押して10秒キープ。反対側も行う。左右各3回。
2 脚を前後に開き、後ろ脚の膝を少し曲げる。前脚をまっすぐに伸ばしてつま先を上げ、ももに両手を置く。体重を後ろに移動させてもも裏を伸ばして10秒キープ。左右各1回。
Q.肩こりを改善するためにできることは?
A.肩のストレッチで姿勢を改善!
「猫背を直すことが大事。前に入った肩をリセットするために、肩を開くストレッチを習慣に。前に出た首を直すため、壁に頭を押し付けるのもおすすめ」(中村先生)
まっすぐに立ち、肩を引いて腕を後ろに伸ばし、上げられる高さまで上げる。手を外から内へとねじる。これを5回。
Q.膝に痛みを感じることが増えた
A.前ももの筋力低下や肥満が原因かも
「膝関節には立ったときや歩くときに体重を支えるための大きな負荷がかかるので、膝の軟骨が加齢に伴ってすり減り、膝痛の原因に。体重が重いとその分、負担が増えますし、前ももの大腿四頭筋の筋力が低下すると体重を支えられなくなって膝への負担が大きくなり、さらに膝痛が起きやすくなります」(中村先生)
Q.膝の痛みを改善するには?
A.前ももを鍛えよう!
「膝への負担を減らすために、肥満気味の人は適正な体重に落としましょう。また、右の図のような大腿四頭筋を鍛えるトレーニングを取り入れて膝への負担を減らして」(中村先生)
椅子に座って片方の脚を前に出し、膝をまっすぐ伸ばしてかかとを引き上げる。これを10回。反対側も同様に。
Q.首が痛い!
A.首が前に出た姿勢に注意
「首の痛みは肩こりの原因と同じく、首を前に出した姿勢。首は5〜6kgもある頭を支えていますが、頭が前に1度傾くたびに首への負担が0.45kgずつ増えます。60度傾くと27kgも負担が増加。これによって筋肉が緊張し、凝りや痛みが起きるのです」(中村先生)
Q.疲れやすさをなんとかしたい!
A.睡眠、休息、食事で“気”を蓄えて
「最も大事なのは休息と睡眠時間の確保です。今までより少し早く寝るようにしたり、外出や仕事の予定を減らすなどして、意識して頑張り過ぎないようにしましょう。また、なつめや卵、黒砂糖、鶏肉など“気”と“血”を補える食べ物を摂るのもおすすめ」(陣内先生)
韓国・慶山(キョンサン)の甘味が強くミネラル豊富ななつめを使ったお茶。韓方なつめ茶 2g×24個 ¥2250/なつめいろ
Q.指の関節が痛むことが増えた。その原因は?
A.エストロゲンの減少や指の酷使
「手の指の関節に痛みが出る病気に、へバーデン結節や、ブシャール結節、手根管症候群などがありますが、これらは女性ホルモンのエストロゲンが減少する更年期になると起きやすくなると言われています。また、指の酷使も原因になります」(中村先生)
Q.指の関節の痛みを改善するには?
A.指のストレッチやエクオールがおすすめ
「整形外科での治療は、関節内へのステロイド注射や消炎鎮痛剤で症状を抑えたり、テーピングで変形を防ぎます。セルフケアとしては左の図のようなストレッチを」(中村先生)、「更年期が原因ならホルモン補充療法やエクオールのサプリでも改善可能」(福山先生)
片方の手のひらを前に向け、親指以外の4本の指に反対側の手を前から当て、体のほうに反らせる。反対側も同様に。
Q.首の痛み改善にセルフでできることは?
A.首を正しい位置に戻すストレッチ
「下の図のようなストレッチなどを取り入れて前に出た首を正しい位置に戻すことですね。また、寝姿勢が悪かったり、枕が合ってない場合もあるので見直しを。枕は寝具屋さんでフィッティングしてもらって自分に合うものを選ぶのがポイントです」(中村先生)
両手を首の後ろで組み、首を手に押し付けるように後ろへプッシュ。首が後ろに倒れないように、両手で首を押し返して3呼吸キープ。デスクワークの合間などにこまめに行って。
Q.年々風邪をひきやすくなってきた
A.自律神経の乱れから免疫機能が落ちているのかも
「40代になるとエストロゲンが減少してくるため自律神経系が乱れ、体温調節機能が低下。体がほてることもあれば、急に冷えることもあり、風邪をひきやすくなります。また、免疫系の機能も衰えて抵抗力が落ちるため、風邪をひきやすくなるのです」(陣内先生)
Q.若い頃は気にならなかったむくみがツラい……
A.加齢による筋肉量の低下で血行不良になりやすく
「40代以降は基礎代謝が落ち、筋肉量も減るので血行が悪くなって体が冷えがちに。活動量も減って巡りが悪くなるのでむくみやすくなるのです」(陣内先生)
Q.だんだんと生理周期がバラつくようになってきた
A.女性ホルモンのバランスの変化、またはストレスが原因
「40代に入るとエストロゲンの減少によって更年期が始まり、そのサインとして生理周期がバラつくようになる人もいます。あるいは、ストレスが原因のこともありますし、甲状腺の病気などが原因のことも。気になる場合は婦人科で検査を」(福山先生)
Q.オーバー40は女性ホルモン的にはどんな状態?
A.更年期が始まる人もいれば妊娠する人も。つまり千差万別!
「40代前半の女性の体はエストロゲンの分泌状況によって個人差が大きく、エストロゲンが減少して更年期が始まる人もいれば、閉経する人、自然妊娠する人、不妊治療にトライする人もいたりと人それぞれ。まずはそのことを認識しておきましょう」(福山先生)
Q.40代前半でも更年期症状が出ることってある?
A.更年期とは閉経の前後10年。年齢には個人差が!
「更年期とは、閉経を挟んだ前後5年、計10年間を指します。日本人女性の閉経の平均年齢は50.5歳ですが、個人差が大きく、40代で閉経する人もいます。ですから40代前半で更年期が始まり、更年期症状が出るということは普通に起こり得ます」(福山先生)
Q.更年期症状の治療にはどんなものがある?
A.ホルモン補充療法や漢方がメジャー
「更年期症状がつらい場合を更年期障害と言います。おもな治療法には、減少した女性ホルモンを補うホルモン補充療法のほか、漢方薬や、プラセンタ注射などがあります。これらの治療で症状は改善できるので婦人科で相談してみましょう」(福山先生)
Q.体の冷えがツラい!
A.運動、入浴、温かい食事の習慣で改善を
「加齢とともに筋肉量が減っていきますが、筋肉量が少ないと体が冷えやすくなるので、運動をして筋肉量を維持することが大切。血流もよくなって冷えにくくなります。また、入浴の習慣をつけたり、冷たい飲食は避け、温かいものを摂ることも大事」(陣内先生)
Q.最近胃腸が弱くなったような。これも加齢のせい?
A.年齢も大いに関係。まずは腹七〜八分目の食事を心がけて
「加齢とともに胃腸の消化吸収力も落ちていきます。胃腸の負担を減らすために腹七〜八分目と、油が控えめの消化のよい食事を心がけましょう」(陣内先生)
Q.疲れ目に効くケアを知りたい!
A.過労と睡眠不足の見直しを。そして“血”を補う食事
「東洋医学的には40代以降の女性の目の疲れは“血”の不足が原因のことが多いです。血の消耗を防ぐため過労や睡眠不足を改善し、たんぱく質をしっかりとって血を補って。下記のツボ押しも効果的」(陣内先生)
眉頭のすぐ下のくぼみが攅竹(さんちく)。眉尻と目尻を結んだ線の中央から少し外側のこめかみのくぼみが太陽。ここを指でやさしく押す。
Q.体力の低下を日々実感。もっと体力が欲しい!
A.1日に5000〜8000歩歩く習慣を
「体力作りのために最も手軽にできることは毎日歩く習慣をつけること。1日1万歩も歩くと膝を痛める可能性があるので、5000〜8000歩でOK。なるべく歩幅を大きくして速歩きをすると筋力アップ効果も得られ、将来の要介護リスクも下げられます」(中村先生)
Q.自分の口臭にハッとすることが。どうしたらいい?
A.加齢による唾液の減少か磨き残しが原因かも
「40代以降になると唾液の分泌量が減少します。すると口内が乾燥し、自浄作用や抗菌作用も落ちてしまうため口臭を感じやすくなります。また、磨き残しがあったり、歯垢が残っていたり、舌に舌苔がついているなど口内の衛生状態が悪いことも原因」(小川先生)
Q.今すぐ口臭をなんとかしたい!
A.舌磨きや洗口液を使ったケアを
「歯磨きを丁寧に行い、舌磨きも習慣に。洗口液の使用もおすすめ。歯科医院でのクリーニングや、舌のトレーニングで唾液の分泌を増やすのも◎」(小川先生)
A舌みがき専用剤。NONIO舌専用クリーニングジェル 45g¥310(編集部調べ)、BNONIO 舌クリーナー ¥280(編集部調べ)/ライオン C口臭などの原因菌を殺菌。ピュオーラ洗口液 ノンアルコール[医薬部外品] 420ml¥577(編集部調べ)/花王
Q.昔より歯茎が下がったせいか、歯が長くなってきた
A.ブラッシングが強過ぎるのかも
「歯と歯茎との境目を強い力で磨くことが原因のひとつ。優しくブラッシングを。また、歯ぎしり癖があると歯肉が下がりやすいので、その場合は歯科医院でマウスピースを作成して寝るときに装着を」(小川先生)
Q.歯の黄ばみが強くなったような? 昔みたいな白さを取り戻したい!
A.歯科医院でのホワイトニングのほか、美白歯磨き剤を使うと◎
「歯科医院でPMTC(自費のクリーニング)やホワイトニングを行うのが効果的。家では美白機能のある歯磨き剤の使用を」(小川先生)
A虫歯を予防しながら、ステイン(着色汚れ)をケア。アパガードセレナ[医薬部外品]105g¥1463/サンギ B歯面のキズに残った着色汚れを除去。ステイン付着抑制成分も。LighteeハミガキPREMIUM[医薬部外品]100g¥1960(編集部調べ)/ライオン
Q.うっかり尿漏れすることが増えた……
A.加齢や運動不足などで骨盤底筋が緩んでいるのかも
「尿漏れの大きな原因となるのが、骨盤内臓器を下から支える骨盤底筋の緩みです。骨盤底筋は、加齢や妊娠・出産、運動不足、肥満のほか、便秘でいきむことが多かったり、重い荷物をよく持つなど、腹圧をかけることが多い人は緩みやすいので要注意」(福山先生)
Q.尿漏れを改善するトレーニングって?
A.骨盤底筋を鍛えましょう!
「骨盤底筋が衰えないように、下記の図のような膣を締めるトレーニングをして鍛えるのが効果的。寝たままでできるので、朝起きたときや寝る前などに行って。慣れてきたら通勤中の電車の中など、立っているときにも取り入れるのがおすすめです」(福山先生)
仰向けで両膝を立てて足を肩幅に開く。息を吸いながら肛門〜腟〜尿道を引き上げ10秒キープ。これを10回。
Q.性交痛は仕方のないこと? 対策ってある?
A.加齢による膣の萎縮の可能性が。膣剤などで改善できます
「更年期に入ると膣が萎縮してくるので性交痛が出やすくなります。また、出産時の会陰切開が原因で性交痛が起きることもありますし、性交時に十分に濡れていない場合も。婦人科では女性ホルモンの膣剤や膣のレーザー治療などで治療できますし、濡れにくい場合はローション(潤滑油)の使用を」(福山先生)
Q.体がほてったり、のぼせるようになった。これって更年期症状?
A.更年期、PMS、甲状腺の病気などさまざまな可能性が
「更年期に女性ホルモンが減少すると自律神経のバランスが乱れて、ほてりやのぼせ、異常発汗などのホットフラッシュ症状が出やすくなります。それ以外に、PMSや甲状腺機能亢進などでほてりやのぼせの症状が出ることも。ひどい場合は婦人科へ」(福山先生)
MAQUIA 3月号
イラスト/リバー・リー〈Softdesign〉 取材・文/和田美穂 構成/火箱奈央(MAQUIA)
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