私たち日本人をとり巻くネガティブなデータはいろいろとあるものの逆手に取れば、自分磨きにも役立てられるんです。「MAQUIA」3月号から、あきらめるのではなく、不都合な事実たちを味方につける方法をご紹介します。

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肌・心・体にいいこと始めよう
「私のきれいを妨げる不都合なFACT(事実)


ハーバード大学教授 
根来秀行先生

医師・医学博士。内科学、時計遺伝子、睡眠医学など専門は多岐にわたる。近著は『病まないための細胞呼吸レッスン』(集英社)。

公認心理師 
山名裕子先生

「やまな mental care office」を東京青山に開設。心の専門家として、ストレスケアから恋愛まで様々な悩みのカウンセリングを行う。


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日本人の5人に1人が睡眠不足

ベッドの中でもついつい見ちゃうスマホ。実は睡眠不足の原因のひとつなのだとか。「光を見続けることで体内時計が影響を受けて自律神経が乱れ、心地よい睡眠が取れません。寝る前は強い光を見ないこと。また、体内時計から考えると、朝は7時に起きて光を浴び、夜は11時か12時に寝ると睡眠に関係するホルモンが分泌され、深い眠りが得られます」(根来先生)。「日本人は限界まで耐える傾向にありますが、睡眠不足が続くなら早めに専門家に相談を。放置すると回復までに時間を要します」(山名先生)
厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」より


1月になるとが睡眠不足が検索ワードの1位に

「年末年始は生活が不規則になるうえ日照時間が短いことも影響し、自律神経が乱れがち。そのために睡眠不足を感じる人が多いのかもしれません。深部体温が下がる時に眠気がくるので、湯船につかって体をしっかり温めると寝つきがよくなりますよ」(山名先生) 
マキアオンライン調べ


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人助けランキング125カ国中で最下位

困っている人がいても、気にはなるものの見て見ぬふり。他の誰かが助けてくれるはずと願いつつ…。そんな経験をしたことがある人も多いのでは。「日本人は幼い頃から同調や共感することが良いことと教わっているので、人とは違った目立つ行動を避けがち。他人の視線を気にするので、なかなか人助けができないのでしょう。でも、一歩踏み出して誰かを助けることで、自分の必要性を感じることができ、自分自身の幸福感にもつながります」(山名先生)
「CAF WORLD GIVING INDEX 10TH EDITION」より、見知らぬ人を助けたかという項目において


7カ国の中でもっとも自分への満足度低い

「社会とのつながりが低いことが原因のひとつ。ボランティアへの参加や、趣味を持って家や職場以外に自分の居場所を作るといいでしょう」(山名先生)。「いい睡眠が取れていないと、思うように体が動かず満足度も下がるので、まずは睡眠不足の解消を」(根来先生)
内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(平成30年度)より
日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの7カ国で、各国満13歳〜29歳の男女を対象に、各国1000サンプル、平成30年11月〜12月にWEB調査を実施


日本人はセロトニン分泌量世界一少ない

遺伝子的にセロトニンが少ないといわれる日本人。「セロトニンは“ハッピーホルモン”といわれており、少ないと不安を感じやすくなります。呼吸が浅いとセロトニンが増えにくくなるので、姿勢を正して胸を広げ、深く呼吸する習慣をつけましょう」(根来先生)
クラウス-ピーター・レッシュ「サイエンス」1996 
中村敏昭「アメリカン・ジャーナル・オブ・メディカル・ジェネティクス」1997より


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4人に3人の20代、30代女性が
1カ月の間にイライラしている

女性ホルモンの影響で自律神経が乱れやすくなったり、出産や結婚などライフステージの変化で20〜30代の女性はイライラしがち。「イライラするとコルチゾールというホルモンの分泌量が増えます。すると、成長ホルモンが減って新陳代謝が悪くなり、肌トラブルも起きやすくなります」(根来先生)。イライラをおさえるには、まずイライラの原因を考えるのがいいそう。「怒りにまかせて行動しないこと。少し時間をおくなど感情の整理を」(山名先生)
2013年の調査では、4人に3人の20歳代・30歳代女性が1カ月の間に「いらいら」したことが“ある”と回答。1993年の調査開始以来、はじめて“ない”人の割合を超えた。統計数理研究所(日本人の国民性 第13次全国調査)より


男女平等ランキングで121

世界153カ国中でこの順位。読み書き能力や小学校〜高校の教育、出生率の分野では男女間に不平等はなく世界1位。なのに、労働所得や政治家・経営管理職、教授・専門職、大学・大学院などの分野ではランクが下がる。「医学部の入試で女性差別問題がありましたが、男性が狩りに出て女性が家を守るという固定観念が根強く残り、女性の社会進出を受け入れない傾向があるのでしょう」(山名先生)
WORLD ECONOMIC FORUM「Global Gender Gap Report 2020」より


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社会人の2人に1人が運動不足

空前の運動ブームながらも運動をしていない人が約半分というデータが。とくに普段からクルマを使って生活をしている人は運動不足になりがち。「運動不足はハッピーホルモンのセロトニンの減少にもつながります。また、筋力が低下して、取り込んだ酸素や栄養素が毛細血管までゆきわたらなくなると細胞呼吸ができず、肌の衰えの原因にも。なるべく歩くなど、無理なく続けられることを取り入れると睡眠の質もよくなります」(根来先生)
ベースメントアップス株式会社が運営する「退職の前に読むサイト」編集部による「社会人の運動状況についての調査」(調査日:2019年10月11日〜18日)より。調査人数:142名 調査対象:会社員


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幸福度ランキング58

戦争もなく、経済的にも豊かなのに幸福度が低いという結果が。「現代の日本人は給料や他者承認など、外発的なものがモチベーションになる人が多いのです。寝る前によかったことを振り返り、自分自身をほめる習慣をつけると幸福感が高まります」(山名先生)。「ハッピーホルモンのセロトニンを増やすことで幸福感がアップします。セロトニンが代謝されてメラトニンになるので、いい睡眠にもつながり好循環に」(根来先生)

国連発表の「World Happiness Report 2019」より。「どれくらい幸せと感じているか」を評価してもらった調査に加え、ひとり当たりのGDP、健康寿命、社会的支援、自由度などの要素をもとに幸福度を計ったもの。世界156カ国が対象



MAQUIA 3月号

イラスト/二階堂ちはる 取材・文/中木 純〈デジタルライツ〉 企画/火箱奈央(MAQUIA)


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