今、腸内フローラ(腸内細菌叢)が話題ですが、実はお口の中にもフローラが! 「MAQUIA」8月号から、お医者さんが教える口内フローラの基礎知識を紹介します。
教えてくれたのは…
歯学博士 花田信弘先生
鶴見大学歯学部探索歯学講座教授。歯科医師。口内細菌が引き起こす病気や予防法を中心に研究。
歯学博士 山田秀則先生
鶴見大学歯学部探索歯学講座助教授。口内細菌を殺菌する3DSなど、口内環境を整えるケアに精通。
ライオン オーラルケアマイスター 阿部有美子さん
歯科衛生士として歯科保健活動などに携わり、その知識と経験を活かしオーラルケア情報を発信。
口の中にも
善玉菌と悪玉菌がある!
歯周病や虫歯があると、口内に悪玉菌が増殖!
腸内に善玉菌と悪玉菌がいることはおなじみだけど、実は口の中にも同じように細菌が!
「口の中には約700種、約100億個の細菌が棲んでいます。この細菌の集合体が口内フローラです。個人差はありますがこのうち約7割が、善玉菌や、状況に応じて善玉菌にも悪玉菌にもなる日和見菌。残りの3割が歯周病菌などの悪玉菌です。悪玉菌がいても善玉菌が7割以上なら口の中の健康は維持できます。でも歯周病や虫歯があると、悪玉菌の歯周病菌や虫歯菌などが増えます。すると悪玉菌が歯の表面に張り付いてバイオフィルムという菌の塊を作り、どんどん増殖するので要注意」(歯学博士・花田信弘先生)
口内環境が悪化するとどうなる?
口内細菌は血管から入り、
さまざまな病気を招く!
悪玉菌が増え、口内環境が悪化すると、その影響は口の中だけに留まらないというから怖い。
「腸内と違って口の中の細菌は、血管内に侵入するのが特徴です。その侵入経路のひとつが虫歯の穴。もうひとつが歯と歯茎の境目の小さな溝のようなすき間の歯肉溝です。ここから細菌が血管に入り込み、90秒で全身に巡ります。すると血管で炎症が起き、動脈硬化を引き起こします。そして脳や心臓の血管で血栓ができると脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。脳の血管がさらにつまると認知症を招く場合もあります」(花田先生)
そのほか、口内細菌が血管に入り込んで起こる病気やトラブルには、がん、慢性関節リウマチなどのほか、早産や低体重児出産なども!
「これを防ぐためには、常に口内フローラを良い状態に保っておくことが大切です。口内環境は基本的なセルフケアを続けることで良い状態にすることが可能です」(花田先生)
口内フローラを育てるおすすめのセルフケアは左の4つ。具体的な方法は次ページからをチェック!
口内の悪玉菌は虫歯の傷口や歯肉の溝から、血管に侵入!
口内環境が悪化すると全身にトラブルが!
菌バランスを良くする口内フローラの育て方
1
唾液の分泌を促す&舌苔をケアする
抗菌成分が含まれている唾液の分泌を高めると、悪玉菌が減り、口内環境が良好に! 菌の塊である舌苔のこまめな掃除も必須。
2
乳酸菌をとる
腸に乳酸菌がいいように、口にも乳酸菌は◎。口の中の善玉菌を増やすうえ、口内のpHを下げて病原菌が侵入しにくい状態に。
3
食べ物&飲み物で整える
食べ物や飲み物の中には口内環境を悪くしてしまうものが。こういったものを避けて、口内環境にいいものをとることが大切。
4
正しいオーラルケアをする
虫歯や歯周病は悪玉菌をどんどん増やす元凶。毎日のオーラルケアを正しい方法で行い、虫歯や歯周病を防ぐこともポイント。
MAQUIA8月号
撮影/当瀬真衣〈TRIVAL〉 ヘア&メイク/榛沢麻衣 スタイリスト/岡野香里〈TRON〉 モデル/樋場早紀(マリソルビューティ専属) イラスト/シマ マスミ 齋藤よしこ 取材・文/和田美穂 構成/芹澤美希(MAQUIA)
【MAQUIA8月号☆好評発売中】
※Amazonはコンパクト版のみの取扱いです。
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