乳腺専門医の島田菜穂子先生に、おっぱいについていろいろお話をお聞きした最終回。おっぱいに関する都市伝説(?)の真偽を先生に判定していただきましょう!Image title




年をとると、おっぱいは誰でもしぼんで小さくなる?


→ ウソ!


「おばあちゃんになるとおっぱいがしぼんで小さくなり、シワシワに垂れてしまう…というイメージは昔の話。最近は60代70代でも、大きいおっぱいを保っている女性が多くなっていますね。加齢によって乳腺は少なくなるので、その分小さくなるはずですが、栄養状態のいい現代では、乳腺がなくなったところに脂肪がため込まれ、大きくなっている人も少なくありません」



大豆イソフラボンを摂ると大きくなる


→ まあまあホント!


「大豆イソフラボンは、体内で女性ホルモンと似たような働きをするため、女性ホルモンをUPしたいなら豆乳や大豆加工製品、大豆イソフラボンのサプリなどを摂るようにと言われたりしますね。おっぱいの大きさに関係する乳腺は、女性ホルモンの影響を受けて増加しますから、確かに大豆イソフラボンを多く摂れば、乳腺にも働きかけないこともないでしょう。乳房を大きくするという効果の科学的根拠はありませんが、女性ホルモンが足りない時は上乗せに、アンバランスな時は調整してくれる可能性があるようなので、なかなか優れものの食品ですね」



女子力の高い人は乳首や乳輪がピンク色


→ ウソ!


「これは間違いでしょう! 女子力が高い=女性ホルモンで満たされていると考えるなら、逆ですね。乳首や乳輪の色素は女性ホルモンがしっかり出ていて女らしいという証。ホルモンが足りていない人のほうが色は淡いものです。色や形に差はあっても、機能は変わらないことも覚えておきましょ」


【次のページもチェック!】高齢になるほど乳首の色は濃くなっていく?

高齢になればなるほど乳首の色は濃くなっていく

→ ウソ!

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「オバサンになるほど乳首の色がドドメ色…なんて言われ方をしますが、それは実は真っ赤なウソ。前述のように、乳首や乳輪の色は女性ホルモンの量と関係しています。なので、閉経して60代70代になった女性は女性ホルモンの量が減る=色も淡くなって再びベビーピンクへ・・・・が正解! 若い時から診せていただいている方の形や色の変化がわかるのは、乳腺科医ならではですね〜」



病気でなくても分泌物(乳汁)が出ることがある


→ ホント!


「おっぱいに分泌物があり、病気ではないかと心配して来られる方もいます。この数年で増えたのが、胃の薬やメンタル系の処方薬の副作用で分泌物が出ている方。抗うつ剤のドクマチールなどは、副作用として乳汁が出ることは明記してあるんです。ただ、その説明を受けていないと、うつ状態な上にナゾの分泌物でさらに落ち込んでしまったり…そういった女性がとても増えています。特にメンタル系のお薬は注意事項をよく聞いて受け取ってほしいですね」



おっぱいは揉んだりマッサージすると大きくなる

→ どちらかといえばウソ!


「マッサージ=血流が良くなること。そう考えれば、おっぱいを直接支えている大胸筋など、筋肉のストレッチやおっぱい周辺のマッサージをすることは意味があるかもしれません。ただ、乳腺と脂肪でできているおっぱい自体をいくら揉んでも、大きくなることはありませんね」




おっぱいにも水がたまる


→ ホント!


「生理前にバストが張って痛い…という人。それは水がたまっていることがほとんどなんです。初めて水がたまった人は、ビックリするようですね。人によっては、2カップも大きくなる人も実際にいますよ。まるで“自己豊胸”みたいですね。もちろん水がたまるのは正常なことなので心配しないで。乳腺のむくみは、血管やリンパ管の滞っている状態と違って、女性ホルモンの働きに乳腺が反応してむくんだ状態。一生懸命マッサージしてもむくみ解消にはなりません。むしろ痛くなるので、生理前の痛い時は圧迫したりマッサージしたりせず、ワイヤーのないブラやなどで心地よい状態を作ってくださいね」



【次のページもチェック!】豊胸手術をした人は乳がん検診を受けられない?

豊胸手術をした人は乳がん検診を受けられない


→ ウソ!


「豊胸手術を受けている女性は珍しくなくなりました。豊胸の方法もバッグを入れたり脂肪注入をしたりとさまざま。通常の検診施設や自治体の検診では【豊胸された方はマンモグラフィによる乳がん検診をお受けしていません】というところもあります。でも実は、豊胸をするとマンモグラフィができなくなるのではありません。豊胸後の方に適した特殊な撮影方法があるのですが、特殊な技術、知識や経験が必要なので、乳腺専門の医療機関でも受けられるところと受けられないところがあります。あらかじめ検査が受けられるか確認し、検査を受ける側の方も豊胸を行ったことをしっかり伝えて検査を受けることが大切です」



「正しい検査方法を用いればトラブルはありませんが、最悪の場合はシリコンバッグの変形や破損の問題…ということもあるでしょう。豊胸の脂肪注入法では、注入した脂肪が悪性ともとれる石灰化と見なされたり、ヒアルロン酸注入法では、真っ黒なのう胞があるように見えることも…。ですから、特に安心できる専門医に定期的に検診をお願いすることがポイントでしょう」


「ちなみに、私のクリニックでは多くの豊胸後の方に検査を受けていただいていますが、皆さん快適に検査を受けられていますので、安心してくださいね」



島田菜穂子 先生

ピンクリボンブレストケアクリニック表参道 院長。乳がん認定医、放射線科専門医、認定産業医、日本体育協会認定スポーツドクター。2000年、乳がん啓発団体「乳房健康研究会」を発足させ、乳がん啓発団体として日本初のNPO法人認証を受ける。同副理事長。乳がん関連の著書、監修が多数あり、最近の監修は「乳がんから自分をまもるために、知っておきたいこと。」(日本医療企画)。

ピンクリボンブレストケアクリニック表参道 http://www.pinkribbon-breastcare.com


撮影/河野敦樹 取材・文/蓮見則子



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