リモート時代、人の印象を大きく左右するのが「声」。雰囲気が伝わりにくい画面越しだからこそ、発声法や話し方を意識するだけで美人度がグンとアップ。「MAQUIA」11月号では、プロに美しい印象を与える声のつくり方を教えてもらいました。
リモート上手の鍵は、「見た目」よりも「声」にあり
印象美人になる「声」の作り方
賢者は語る! 声と印象の“いい関係”
日本音響研究所 所長
鈴木 創さん
音声鑑定・分析をはじめ、音声を実生活で生かすための技をレクチャーするなど、音声のエキスパートとして多方面で活躍。
いい声とは“通る声”のこと。誰でも手に入れることは可能
「人は肺からの空気を口の形で共鳴させて発声していますが、口を開けないで声を出すとこもった音となり、もごもごと聞こえてしまいます。すると、相手は何を言っているかわからず神経を集中させることに。実は会話というのは、発した音からの情報だけでなく、その前後の会話内容から次の話を推測することで成り立っています。つまり、声がはっきりしないとこの推測ができずに内容を無意識に補完しなければならず、これが聞き手のストレスに。まず口は大きく開け、腹式呼吸で発声すると声が通るようになり、人にストレスを与えない=好印象を持ってもらえます。とはいえ、声は個性。通る声さえ意識すれば、あとはその時々に合ったトーンやスピードが何か、考えながら発声するといいですよ」
人間が聞き取れる周波数(音の高さ)は、20Hzから20000Hz。2000Hz(2kHz)~3000Hz(3kHz)が通る声といわれている。腹式発声を意識すると、この周波数が強くなるそう。
美容家、YouTuber
佐々木あさひさん
ビューティ系YouTuberの第一人者。独学のメイクHow toなどで、幅広く支持を集めるクリエイター。
繰り返し発声練習をしスムーズな滑舌に
「声がふわふわせず、安定しているほうだとは思いますが、配信の際やイベント参加時は『お腹から声を出す』『鼻腔に声を響かせる』ことを意識しています。特に午前中からの撮影や誰とも喋っていない日だと声帯や舌がまだ起きていない感覚があり、声がうまく出せないので、動画の冒頭で言う『みなさんこんにちは、あさひです』のセリフが寝起き声にならないよう、いつもの滑舌、声のトーンになるまで繰り返し練習します。また、滑舌は舌だけでなく、顔の筋肉の動きも重要。顔の表情筋と舌を大げさに動かすイメージで、『あいうえおあお』と早口で繰り返して顔を動かしたりもします」
美容家
神崎 恵さん
その美しさやライフスタイルは多くの女性の憧れの的。メイクや生き方を提案するアトリエ『mnuit』のセミナーも大人気。
自分の思いが伝わるよう声の表情を大事に
「学生時代は体育会系で、声をお腹から出す習慣が身についているため、良くも悪くも通る声なんです。でも、声が高いため軽くあしらわれることも多くて。30代以降は声に重みが欲しくて発声法を考えました。そもそも声って、心や考えを一番ズレなく伝えられる手段。だからこそ、自分の思いが伝わるようなリズムだったり、声の強弱や高低、スピードなど、声の表情をすごく大事にするように。また、年齢的にいろいろな音階を出したほうが声帯老化防止になると思い、よく歌っています。そうそう、悪口を悪い心のまま話すと声が悪くなるので、“笑って言う”のがいいかも(笑)」
フリーアナウンサー
吉田明世さん
TBSで人気アナウンサーの地位を築いた後、2019年にフリーに。現在、TV出演や、ラジオパーソナリティを務める。
テレビ、ラジオでは、声の発し方が違います
「テレビとラジオ、特に意識はしていませんでしたが、やはりその時々によって自然と変化します。例えばテレビのお仕事は広いスタジオで大人数の方とお話をするので、いつもより声が張りますし、より声が届くよう意識します。一方でラジオは、狭いスタジオで少人数。リスナーさんが『自分に話しかけてくれている』と思ってくれるよう、大きな声ではなく、語りかけるような声になります。同じように、普段の話し方やオンラインミーティングなどでも、会話する相手、場所、人数などの状況を想像することで、自然とその場にとっての“いい声”になるのではないかと思います」
声を磨く6つの㊙テク
人一倍「声」と向き合っている吉田さんに、印象を上げる声の作り方を徹底取材。すぐに実践できるものばかり!
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1 姿勢の基本は「もたれない」「歪ませない」「浮かせない」
「体勢が歪んでいるといい声が出ません。立ち姿勢でも座り姿勢でも、足の裏で地面をしっかりと捉え、あごを上げて視線を正面にします。こうすると相手に“伝わる”発声ができます」
(左)体幹を意識して姿勢を正すと、自然と足は地面を捉え、あごも上がり、発声がクリアになります。
(右)足をブラブラとさせていたり、背もたれにもたれた状態だとあごも下がり、いい声が出ません。
2 朝起きたら「のど」と「表情」の準備体操
「朝起きてすぐはいい声が出ません。トレーニングというほどではありませんが、本番までの間に台本を声に出して読んだり、発声練習として“あえいうえおあお”と声に出したり、のどと顔の筋肉を目覚めさせるようにしています」
3 コリは厳禁!肩甲骨をほぐして
「上半身がテレビに映ることが多いため、アナウンサーは上半身の緊張が強くなりがち。首回りが凝ると声が出にくくなるので、合間合間に肩甲骨を意識して広げ、コリをほぐします」
4 リモートでも笑顔で発声
「一人でラジオ番組にリモート出演した際に気づいたのが、“笑顔じゃないと納得のいく声が出ない”ということ。あらためて、表情と声は連動していることを実感しました」
5 助詞&語尾は「上げない」「のばさない」
「『て・に・を・は』といった助詞の音を上げたり、のばしたりする話し方は、可愛らしい印象もありますが、落ち着いた大人の女性には見えません。語尾の“です”“ます”も同様。語尾こそ音を下げるように意識して」
6 のどは繊細。バッグの中に予防線を
「子供のころからのどが弱く、今でもお酒を飲んで大声で話したりと油断をするとのどを潰してしまうことも。だからこそ、ちょっとしたのどの違和感は放っておかず、のど飴や携帯ミストなどで常にケアをしています」
レベル1 普段はこまめに潤いキープ
(右)のどに違和感がある日は寝る前にスプーン1杯のハチミツをなめると、翌朝に落ち着く気が。軽い炎症ならこれで。
(中・左)昨年冬に母からプレゼントされた携帯用のどミストでのどを潤し、乾燥&ウイルス対策。(製品は吉田さん私物。以下同)
レベル2 ちょいイガにのど飴
甘すぎず、後味の爽やかさと、薬用という信頼感から「ヴイックスのど飴」を頼りにしています。その時の気分に合わせて味は選んでいます。
レベル3 ピンチの時は龍角散
子供のころからの最終兵器として頼りにしているのが「龍角散」。能書通りに1日3~6回きっちりと飲むと、早い段階でリカバリーします。
MAQUIA 11月号
撮影/藤澤由加(モデル) ヘア&メイク/城所とも美 スタイリスト/出口奈津子 取材・文/藤井優美〈dis-moi〉 企画/吉田百合(MAQUIA)
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