高い紫外線防御効果は当たり前。さまざまな付加機能も搭載され、UVケアは百花繚乱! でも、そこには研究員の涙ぐましい努力が......。その熱い想いを語ってもらいました。UVケアの基本知識もわかりやすく解説します!
研究員自ら話題の新作をプレゼン
「新UVケアの処方、ここがスゴイんです!」
UVケアの基本知識
太陽光の1つである紫外線は、Ultravioletと言い「UV」と略され、波長の短いものから順にUV-C、UV-B、UV-Aと分類。地上まで届くのはUV-AとUV-B。一般的に日焼けと言われるのは、UV-Bによる即炎症「サンバーン」。UV-Bは細胞のDNAを傷つけ、メラノサイトを活性化してシミなどの原因に。対してUV-Aは、メラニン生成にも関わる他、光による老化を加速させ、シワやたるみを誘発する。
UVケアって?
光老化を引き起こすUV-BとUV-Aから肌を守るのがUVケア製品。UV-Bは地上に届く紫外線の中で割合は5%ながら、その破壊力は絶大だからSPF値が高いものを選ぶのが賢明。UV-Aは、地上に届く紫外線の95%を占め、雨や雲、窓ガラスも通過するため常に日焼け止めは必須。
「SPF」「PA」表示で選ぶ
SPF
Sun Protection Factorの略で、主にUV-Bの防止効果を測定し、数値化したもの。SPF50+が国内最高値。
PA
Protection Grade of UVAの略で、UV-Aの防止効果を表す。+の数が多いほどカット力が高く、国内最高値は++++。
ノンケミカル処方って?
UVケアにおいては、紫外線吸収剤を用いず、酸化チタンや酸化亜鉛といった自然由来の紫外線散乱剤のみを使用したもの。
紫外線防御剤とは
紫外線吸収剤
科学的な仕組みで紫外線を吸収して肌を守る成分。高い防御効果や使用感のよさが長所だが、まれに刺激になることも。
紫外線散乱剤
白色のミネラル粉体で肌表面を覆い、紫外線を反射、散乱させることで物理的に遮断。白浮きや持ちの悪さが問題。
そもそも、UVケア製品の開発って何が大変なの?
高SPF値で、白浮きなんてせず、おまけに紫外線以外もブロックしてくれるUVケア。私たちは当たり前のようにその恩恵を享受しているけれど、実はこれらの実現は至難の業。「化粧品開発において1、2位を争う難易度」と、研究員が口を揃えて言うその理由は?
検査
紫外線防御効果の検査は
落ち着きません……
紫外線防御の数値を表記するのに検査は絶対。ラボでは数値が出ていても、検査機関では人肌試験のため、肌の色によって個人差が出て思うような結果が出ないことも。しかも時間がかかるのがネック。
成分
効果、安定性を出すための
成分が限られている中での開発
「カット効果を出すため」「紫外線防御剤の安定性を図るため」と使わなければいけない成分が決められているうえ、紫外線防御効果のある成分の一部は配合量まで国の規定がある。
テクスチャー
ベタつき、白浮きはNG!
テクスチャーのよさが絶対!
水も油も界面活性剤も粉体も入れるUVケアは、使用感が重くなったり、ベタつきや白浮きしがち。高い紫外線防御効果と、使用感のよさを両立するのがとにかく大変。
環境
近年は、人にも環境にも
配慮した製品開発を
海洋汚染の一因とされることもある規制対象原料を使わない処方設計をしたり、再生可能容器を採用するなど、紫外線防御効果だけでなく、サスティナブル対応も新たな開発課題に。
処方
配合量の微差や製造法で
品質がガラリと変わってしまう
「製造法が決まっているから簡単」といかないのがUVケア。何かを足したり引いたりするだけで、安定性や使用感が悪くなるため、この処方組みが研究の肝に。
MAQUIA 5月号
イラスト/カツヤマケイコ 構成・文/藤井優美〈dis-moi〉 企画/村岡真知子(MAQUIA)
最終更新日: