1日のうちの寒暖差が大きくなる秋は、体も不調になりがち。そこで、この時期に起こりやすい不調の解消法をお届けします。
肌/体/心 季節の変わり目はみんなゆらぎます
秋ゆらぎを解決する100問100答
東京女子医科大学附属 東洋医学研究所所長
木村容子先生
日本内科学会認定医。日本東洋医学会理事、専門医、指導医。
天気痛ドクター 愛知医科大学客員教授
佐藤 純先生
日本初の気象病外来・天気痛外来を開設。天気痛の第一人者。
漢方コンサルタント 国際中医相談員
櫻井大典先生
中医学と心理学で健康にたくましく生きられる生活習慣を提案。
夏の疲れを癒やして冬への備えを
秋 の 体
急に涼しくなる秋は、体にも不調が起きがち。また、食欲も出やすく太りやすい時期。元気に過ごすコツとは!?
Q.秋に起きやすい体の不調って?
A.空咳など乾燥によるトラブルが増える
「漢方では秋は五臓の“肺”と関係が深い季節。体が乾燥しやすい時期でもありますが、肺は乾燥に弱く、弱ると空咳が出たり、鼻やのどが乾くなど、乾燥によるトラブルが増えます」(木村先生)
Q.秋を元気に過ごすための養生の基本とは?
A.夏疲れのリセットと、うるおい補給
「夏疲れを持ち越すと冬に風邪をひきやすくなるのでリセットを」(木村先生) 「乾燥すると肺が弱るので加湿器や食べ物で乾燥を防ぎましょう」(櫻井先生)
Q.秋バテかも。改善するには?
A.胃腸を休めて、十分な睡眠を
「夏に水分や冷たいものを摂り過ぎて、胃腸が弱って秋バテした人は、温かいものを摂って胃腸の働きを良くしましょう。夏の寝苦しさからくる睡眠不足によって秋バテした人は、十分な睡眠を」(木村先生)
Q.朝晩の寒暖差から体調を崩すのを防ぐには?
A.入浴で体温調節機能を整えて
「気温の差が5度以上あると自律神経が乱れ、体温調節機能に影響し不調を招きます。入浴で循環をよくすると機能が整うので、せめて週に2回は湯船に」(木村先生)
Q.急に涼しくなる頃に気を付けることは?
A.薄着も、急な厚着も避ける
「夏のままの薄着を続けないこと。とはいえ、急に厚着をすると汗をかいて乾燥を招いてしまうので、ストールや羽織りものを常備して調節しましょう」(櫻井先生)
Q.秋バテにいい漢方薬って?
A.六君子湯(りっくんしとう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
「胃もたれや食欲不振などがある秋バテには胃腸の調子を整える六君子湯、だるさがある秋バテなら“気”を補う補中益気湯など各自の症状に合わせた対応が大切です」(木村先生)
(右から)胃腸が弱く、食欲がない人の胃炎や消化不良、食欲不振などに。「クラシエ」漢方六君子湯エキス顆粒 24包 ¥2460、体力虚弱で元気がなく、胃腸の働きが衰えた人の、疲労倦怠や食欲不振などに。補中益気湯エキス錠クラシエ 48錠 ¥1551(ともに第2類医薬品)/クラシエ薬品
Q.まだ暑い日もあるので、冷たいものを飲みたい……
A.冷たいものはひと口目だけに
「体で冷たいものを欲するのは目と口だけ。内臓は常に38℃程度に保たれ、冷たいものを欲していません。冷たいものを摂るならひと口目だけにし、あとは常温で摂って」(櫻井先生)
Q.夏に冷たいものを摂り過ぎて胃腸の調子が悪い
A.水分はのどが渇いたときだけに。おかゆもおすすめ
「冷たいものを控え、水分はのどが渇いたときだけ摂って。また、おすすめなのがさつま芋がゆ。サイコロ状に切ったさつま芋を、米1合、水4カップと一緒に炊き、塩で味を調えるだけ。弱った胃を癒やしてくれます」(櫻井先生)
Q.秋に意識して摂るといい食べ物は?
A.梨やれんこんなど、うるおいを与えるものを
「梨、れんこん、みょうが、ゆり根、松の実などの白い食材のほか、大豆食品、葛粉、梅干し、ぶどうなどのうるおいを与える食材がおすすめ。ただ、果物は体を冷やすので常温で摂りましょう」(櫻井先生)
Q.秋は食べ物が美味し過ぎて、食欲が抑えられない。
A.食欲は、ほかの“欲”で制して
「〝欲は欲で制す”という言葉があるように、好きな人ができると食欲がなくなるものです。好きな人がいない場合も、過剰な食欲が出たら好きな俳優などを思い浮かべてみて」(木村先生)
Q.秋太りの解消によいエクササイズって?
A.便秘解消に効くお腹のエクササイズを
「乾燥しやすい秋は水分不足で便秘をしやすく、お腹から太りがち。ただ、運動不足の人がいきなり腹筋運動をしても効果が出にくいので、下のような腹筋を目覚めさせるエクササイズを」(木村先生)
タオルを腰に巻いてギュッと絞り、息を吸ってお腹を膨らます。吐きながら膣のあたりを引き上げるようにし、さらにお腹回りを膨らませて自然呼吸で15〜30秒キープ。これを3〜5回。
参考/『太りやすく、痩せにくくなったら読む本』(大和書房)
Q.食欲の秋で食べ過ぎて胃もたれしました
A.一食抜いたり、ゆでキャベツで胃を休めて
「まずは一食抜いて、胃を休めましょう。また、消化を促すキャベツを摂るのもおすすめ。生で摂らず、ゆでてオイスターソースなどをかけて食べるのが◎」(櫻井先生)
Q.花粉症で目も鼻もつらい
A.甘いものを控えめに
「甘味は脾(胃腸)を補いますが、甘いものの摂り過ぎは逆に脾に負担をかけ、肺(呼吸器)の働きに悪影響を及ぼし、花粉症が悪化しやすいので控えめに」(木村先生)
Q.秋は体がダルいのはどうして?
A.体に湿気がたまりやすいことも影響
「秋雨が続くと体に湿気がたまってむくむので、だるさも出やすくなります。冷えると余計にむくむので、しょうがやねぎなど体を温める食材を摂って」(木村先生)
Q.秋に天気痛が起きやすい理由って?
A.秋雨前線に寒暖差。気圧変動&温度差が大きいため
「秋雨前線が停滞したり、1日のうちの寒暖差が大きくなったりと気圧と気温の変動が大きいため、自律神経も乱れやすく、天気痛が起きやすいのです」(佐藤先生)
Q.天気痛は何科に行けばいい?
A.頭痛外来などへ
「天気痛の症状が、頭痛ならその専門医がいる頭痛外来などへ、めまいがあるなら耳鼻科へというように、自分の症状に合わせて受診しましょう」(佐藤先生)
Q.天気痛は治せますか?
A.大丈夫。事前の対策で防げます
「自分でどんなときに天気痛が出やすいかをチェックし、事前に次のQのような方法を実践したり、耳栓をしたりすることで予防は可能。適度な運動や規則正しい生活を心がけて自律神経を整えることも大事です」(佐藤先生)
Q.天気痛の予防·改善にいい方法って?
A.タオル体操や、耳温熱
「天気痛の原因には、耳内部の内耳という部分や、首や肩周りの血行不良が関係しています。タオル体操や耳温熱で、これらの部分の血行を促すのが効果的」(佐藤先生)
1.首にタオルを当てて持ち、両手を斜め45度に上げる。タオルに首をもたせかけ、斜め上を見て、体の力を抜き10秒ゆっくり呼吸。2.そのままあごを上げ下げさせるように10回うなずく。この流れを3セット。
耳温熱
タオルを濡らし軽く絞り、ラップで包みレンジで1分加熱。温タオルを耳に当て温める。
耳の後ろにある骨の突起の指1本分下にある完骨(かんこつ)というツボに温タオルを当てる。
Q.むくみやすいと天気痛になりやすいってホント?
A.本当です。むくみ対策を
「下半身がむくんだまま寝ると、睡眠中に頭部や耳に余分な水分が移動して耳がむくみ、天気痛の原因に。昼間に下半身のエクササイズをしてむくみ解消を」(佐藤先生)
椅子に座り、足の甲がすねに近づくようにできるだけ足首を曲げたら力を入れて5秒キープ。次に足首を伸ばしてつま先を下に向け、足を引き上げるように力を入れて5秒キープ。これを5セット。
Q.天気痛に効くツボってある?
A.豊隆(ほうりゅう)と内関(ないかん)
「体に余分な水分がたまっていると天気痛が起きやすいので、むくみを改善する豊隆というツボをさすりましょう。めまいの場合は内関のツボをさすって」(櫻井先生)
膝とくるぶしのちょうど中間で、脚の真ん中の骨から指幅2本分外側(両脚にある)。
手首を曲げてできるシワから指幅3本分下で、中指の延長線上の手首の中央(両手にある)。
Q.天気痛の改善にいい栄養素とは?
A.ビタミンB1、鉄、亜鉛、マグネシウム
「脳や神経の働きを正常にして自律神経を整えるビタミンB1、貧血を防いで天気の影響を受けにくくする鉄、自律神経を整える亜鉛やマグネシウムなどです」(佐藤先生)
MAQUIA11月号
撮影/三宮幹史〈TRIVAL〉(モデル) 藤澤由加(マキアビューティズ) ヘア&メイク/北原 果〈KiKi inc.〉(モデル) 榛沢麻衣(マキアビューティズ) スタイリスト/松尾正美 モデル/椎名美月 Yuki(マキアビューティズ) イラスト/しらいしののこ 取材・文/小田ユイコ 和田美穂 構成/村岡真知子(MAQUIA) 撮影協力/AWABEES
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