くしゃみをしたときなどちょっとした瞬間に尿もれしてしまう、お風呂から上がったときに膣からお湯が出てくる、最近、下腹部がぽっこり出てきた……。こんな人は、骨盤底筋が衰えている可能性大! 骨盤底筋は女性にとって、とても重要な筋肉。加齢とともにどんどん衰えやすくなるから、20代のうちから鍛えておくことが必須。そこで、寝たままで手軽にできる骨盤底筋トレーニングを、産婦人科医の福山千代子先生に教えていただきました。座ったまま骨盤底筋を鍛えられる最新マシンの耳より情報もあるからチェックして!
金沢医科大学医学部卒業。アヴェニューウィメンズクリニック院長を経て、現クリニック院長に。女性のライフステージ寄り添い、さまざまな年代の悩みに対し、女性ならではの視点と最新の医療を用いてひとりひとりにオーダーメイドで治療法を提案。日本産科婦人科学会専門医。
骨盤底筋ってどの部分?
まずは、骨盤底筋とはどこにある筋肉なのかを教えていただきました。
「骨盤底筋は、仙骨(骨盤の中央、背骨の一番下の三角形の骨)から恥骨にかけてつながるハンモック状の筋肉。骨盤内臓器を下から支える筋肉の総称です」(福山先生、以下同)
Q 骨盤底筋の役割は?
A 「子宮や卵巣、膀胱、直腸などの骨盤内臓器を下から支える役割のほか、排尿や排便をコントロールする役割もあります」
Q 骨盤底筋が衰える原因は?
A 「骨盤底筋には常に重力がかかっているので、加齢とともに緩みやすくなります。特に妊娠・出産によるダメージで緩みやすく、多くの場合、産後しばらくすれば改善しますが、40〜50代になって筋肉が衰えてくると再び緩みやすくなる人が多いです。また、便秘でしょっちゅういきむ人や、重い荷物をよく持つ仕事の人など、腹圧をかけることが多い人は緩みやすいですし、肥満だと骨盤底筋に常に重みがかかるので緩みやすくなります」
Q 骨盤底筋が衰えるとどうなる?
A 「骨盤底筋が緩むと、尿もれや尿失禁をしやすくなるうえ、性交渉時の不快感の原因にもなります。また、マキア世代にはまだ少ないですが、緩みがひどくなると骨盤内臓器が下垂する“骨盤内臓器下垂”になったり、膣から臓器が飛び出す骨盤内臓器脱などになることも。そのほか、下腹部がぽっこり出やすくなるなど体形もくずれやすくなります」
Q 日常生活で気をつけることは?
A 「骨盤底筋が衰えないようにトレーニングをして鍛えるのが最も効果的です。また、便秘や肥満にならないように気をつけることも大切。腹圧をかけると骨盤底筋が緩みやすいので、たとえば赤ちゃんを抱っこするときなどは座って抱っこをするなど、なるべく腹圧がかからないような工夫をすることもポイントです」
早速実践!「寝たままできる骨盤底筋トレーニング」
福山先生おすすめの、寝たままできる骨盤底筋トレーニングは以下の2つ。
「骨盤底筋は自分ではなかなか意識しにくい部分です。ポイントは、肛門を締めるというより、腟を締めることをイメージしてキュッと引き上げることです。寝たままできるので、朝起きたときや、寝る前などに行ってみてください。慣れてきたら、通勤中の電車の中など、立っているときにも取り入れるのもいいですね。まだ緩んでいる自覚がない人も、今のうちから取り入れて予防対策を!」
1 膝を立てて、肛門から腟までを引き上げる骨盤底筋トレーニング
寝たままでできるベーシックな骨盤底筋トレーニング。骨盤底筋を動かすのは最初は難しいけれど、このトレーニングを続けることで次第に感覚がつかめてくるはず。
1.仰向けになり、両膝を立てて足を肩幅に開く。
2.息を吸いながら肛門、腟、尿道までをお腹側にじわじわと引き上げることをイメージして10秒間キープ。
3.力を抜いて20秒間、体をリラックスさせる。1、2を10回行う。
Point!
お腹に力を入れないように、手で触って確かめながら行って。きついときは最初は5秒間キープから始めてもOK。慣れたら速いテンポでキュッと締めて、パッと緩めるを繰り返してみて。
2 骨盤底筋と連動する内転筋群も鍛えられる「橋のポーズ」
お尻を引き上げるヨガの「橋のポーズ」。骨盤底筋と連動する内腿の内転筋群も鍛えられ、ヒップアップや内腿の引き締め効果も。
1.仰向けで両膝を立て、膝の間は握りこぶし一個半分ほど開く。かかとは膝の真下にくるように。手のひらは床向きに。
2.息を吸いながら、足裏で床を押し、お尻→背中→胸の順にゆっくりと引き上げる。お尻が上がりきったら3呼吸キープ。
3.息を吐きながらお尻を床につける。これを5回行う。
Point!
深く呼吸をすることを意識して行いましょう。お尻を引き上げたとき、膝が外に開かないように注意して。
座っているだけで骨盤底筋が鍛えられる最新治療「エムセラ」
骨盤底筋の位置がよくわからない人におすすめなのが「エムセラ」。「エムセラは、アメリカやEUなど25か国で認可が下りている骨盤底筋群を鍛える新しい治療機器。最近は、婦人科や美容クリニックなどで導入されています。治療器に座ると高密度焦点式電磁(MRTと同じ電磁)が深部の骨盤底筋を刺激します。30分間、服を着たまま座っているだけでOKで、治療中はピリピリするような感覚と骨盤底筋の強い収縮を感じますが、痛みはほとんどありません。ダウンタイムはなく、治療後はすぐに日常生活に戻れます。尿もれ・尿失禁の改善や、加齢や出産などに伴う性的不快感の改善にも効果的。1回の施術で改善効果を実感する人もいますが、週1回を続けて6回ほど受けるのがおすすめ。エムセラを受けると自分で骨盤底筋の場所が認識できるようになるので、その後、自分で骨盤底筋トレーニングをしやすくなり、トレーニング前に受けてみるのもおすすめです」
ヘルスライター
和田美穂さん
「エムセラは、座っているだけでダイレクトに骨盤底筋がピリピリと刺激され、最初は今まで体感したことがない刺激にびっくり。でも、痛みはまったくナシ。刺激の種類は5パターンあり、数分おきに違った刺激に変化。治療中は雑誌を読んだりして、のんびり座っているだけでいいのでラク。MET BEAUTY CLINICでは座りながらNETFLIXなどの動画を見ることもでき、リラックスしながら受けられます。エムセラを受けることで、“ここが骨盤底筋の場所なんだな”と改めて確認できました。骨盤底筋の緩みが深刻な人に特におすすめです」