今、次々に解明されている「脳と美肌」の関係。私たちがなんとなく感じていた、気持ちが落ちているときや脳が休まらないときの肌の不調は、科学的にも明らかになっていて、その知見は最新のスキンケアに活かされている。なぜ脳の働きによって肌の調子が左右されるのか? 脳に着目したスキンケアとは?美容ジャーナリスト・小田ユイコがナビゲートする。

脳が満たされれば、肌の調子も上向きに?! 脳と美肌のよい関係って?
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今、脳と美肌の関係が次々と科学で解明

小田ユイコさん

美容ジャーナリスト

小田ユイコさん

30年以上にわたり、化粧品メーカーや大学などの研究機関に肌の仕組みやスキンケアのテクノロジーを取材。肌の不調や行き過ぎたエイジングを立て直すための最新知見を追いかけ、マキアをはじめ多くのビューティ企画で発信。

ストレスフル、ネガティブさんでも大丈夫。最新スキンケアで美肌をキープ

脳が満たされれば、肌の調子も上向きに?! 脳と美肌のよい関係って?
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「脳と美肌」の関係をひも解いた3つのブランドが、今アツイ注目を集めている!

幸せホルモンと美肌の謎を解き明かしたコスメデコルテのAQシリーズ、睡眠と肌免疫の関係を明らかにしたSHISEIDOのアルティミューン、ストレスホルモンが原因の肌トラブルに精油の力で挑んだカラーズ。「脳と美肌」に踏み込み、美肌育成に期待できる3アイテムを深掘りする。

【コスメデコルテの新知見】幸せホルモン「オキシトシン」はパーンと輝くツヤハリ肌の立役者

幸せで満たされているとき肌はみずみずしくハリがあり、逆にイヤなことが続くと肌はしぼんでほうれい線やたるみ毛穴が目立つもの。着目したのは、幸せホルモン「オキシトシン」。オキシトシンをきちんと肌に活かせるようになれば、肌は内側からハリに満ちて美オーラを放つ!

小林豊明さん

コーセー

小林豊明さん

コーセー研究所 研究員。皮膚・薬剤研究室でアンチエイジングを中心に皮膚科学研究と美容成分の開発、化粧品の効果効能検証に従事。

脳が満たされれば、肌の調子も上向きに?! 脳と美肌のよい関係って?
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線維芽細胞がオキシトシンをキャッチできれば、もっとハリを生み出せる!

肌がハリを失い、ほうれい線やたるみ毛穴が目立つようになるのは、真皮のコラーゲンやエラスチンといった弾力を保つ構造がスカスカになるから。



「コラーゲンやエラスチンを生み出すのは線維芽細胞。実は肌内部にも幸せホルモン、オキシトシンは存在していて、線維芽細胞にはそのオキシトシンをキャッチする受容体があります。私たちの研究で、オキシトシンをキャッチすると線維芽細胞が増えやすい状態になることがわかりました。線維芽細胞が増えればコラーゲンやエラスチンを生み出す力も増し、ハリがアップするのです」とコーセーの小林豊明さん。



脳で分泌されるオキシトシンが、実は肌にも存在していたなんて! さらには、肌のハリにも関与していたなんて驚きだ。

毎日のスキンケアで美肌とともに自己肯定感もアップ

いつもハッピーでいたいけれど、辛いことや思うようにいかなくて落ち込むこともあるのが現実。そのようなとき、肌がハリを失ってしまうのはしかたがないことなのか?

「コーセーでは、脳から分泌されたオキシトシンが血液により全身をめぐり、肌にも存在している事実に着目してきました。そのときの心の状態にかかわらず、肌に一定量存在していることがわかっています。そして最近になって、中国原産の植物、金香木(きんこうぼく)のエキスに、線維芽細胞がオキシトシンをキャッチするための受容体を増やす働きがあることを発見したのです」

 受容体が増えれば、オキシトシンの受け取りモレを防げる…ということは、幸福感が薄いときでもハリを失わずにすむわけですね。これは面白い!

「ポジティブでいられないときこそ、スキンケアの出番。香りやテクスチャーの心地よさで気持ちを切り替えたり、心の幸福感を高てオキシトシンを出す手助けを。そうして肌の調子が上向くと自己肯定感も自然と上がってきます」(小林さん)

多くの人が朝晩確実に行うスキンケア。オキシトシンへのアプローチが積み重なれば、ハリのあるツヤ美肌はもちろん幸せマインドもキープできそう。

「飛び道具的なコスメだけでなく、乳液や化粧水といったベーシックなケアにより朝晩丁寧なお手入れを積み重ね、肌をいい状態にさせ、幸福感を高めることも重要です。肌と脳のグッドコミュニケーションは高められるということを知っていただけたら嬉しいなと思います」(小林さん)

脳とグッドコミュニケーションなスキンケア①

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AQ アブソリュート エマルジョン マイクロラディアンス 全3種 各200ml ¥11000・同ローション ハイドロインフューズ 全3種 各200ml ¥11000・同バームクリーム エラスティック 50g ¥33000・同デイクリーム アウェイクニング プロテクト SPF15/PA++ 50g ¥19800・同アイクリーム タイトフォーカス(ローラーマッサージャー付き)15g ¥16500/コスメデコルテ

コスメデコルテの象徴”AQ”シリーズが「心の幸福感と美しい肌の関係」に着目してバージョンアップ。シリーズの共通成分として金香木エキスを配合。究極のリラクセーションを叶えるテクスチャー、金香木を含むフレッシュフローラルムスキーな香りで、朝晩のスキンケアが安らぎの時間に。

【資生堂の新知見】「肌時計」に着目した技術で、睡眠不足でも潤ってなめらかなハリ肌に

カラダが健康であるためには免疫力が欠かせないように、美肌にとっても不可欠な免疫力。肌には肌の免疫システムがあり、それがきちんと作動するかどうかを左右するのは実は「肌時計」だという。世界でも特に、睡眠時間が短いと言われる日本人だが、なんと最新のテクノロジーで肌の睡眠負債にアプローチできるらしい!?

鳴海裕子さん

資生堂

鳴海裕子さん

資生堂 ブランド価値開発研究所 研究員。10年以上にわたりメイク製品の処方開発を担当。現在はメイク製品とスキンケアの化粧情報およびブランド価値開発に携わる。

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夜の美肌ホルモン「メラトニン」は、肌がダメージと戦う免疫力を回復

私たちの肌は紫外線や乾燥、空気中の汚染物質などの外的ストレスなどにさらされるとゆらいだり、トラブルが起こりがち。でも同じ環境にいても、どこ吹く風で美肌をキープできるツワモノも。

「それは免疫力が高く、抗酸化、抗炎症の機能が働いている肌。ゆらぎやすく環境に左右されやすい肌は、免疫力が低下している可能性も。資生堂は、被験者の方々に睡眠を一時的に中断する試験を行ったのですが、免疫機能が良好、または酸化度が低いなど、体内因子が良好な人は、睡眠の質とリズムが乱れても肌に不調が起こりにくかったんですよ。その肌の免疫力にもかかわっているのが、夜の美肌ホルモン、メラトニンなんです」と鳴海裕子さん。

メラトニンは、脳の中枢時計が夜の時間帯になると合成がアップ。脳だけでなく肌でも合成され、美肌免疫を担っているという。

「ところが日本人は睡眠時間が短くて不規則になりがち。睡眠の質やリズムが乱れると、肌のメラトニン合成にも影響が。肌の細胞には『時計遺伝子』という時を刻む遺伝子があり、メラトニンの合成もコントロールしています」(鳴海さん)

「肌時計」を狂わせず、メラトニンを枯渇させない方法を発見

睡眠不足のとき肌あれしやすいのは、メラトニン不足で肌の免疫力が低下していたからだったのか! たっぷり眠ればいいのはわかっていても、夜にNETFLIXを見続けてしまうなど、なかなか寝付けず万年睡眠不足に陥りがちな私たち。低い肌免疫力に甘んじなければならないのか?


 


「資生堂が発見したのは、エクトインという成分が夜の肌におけるメラトニン合成を促進するということ。睡眠不足で乱れがちな夜の美肌ホルモンリズムにアプローチ。日中の肌ダメージを夜間に修復し、免疫力の回復をサポートするのです」(鳴海さん)



エクトインって、砂漠の塩湖という極限状態でも生きられるタフな微生物が作り出す成分ですよね。乾燥に強いっていうイメージがありましたが…。



「肌のメラトニン合成を促進する成分がないものかと、1500種類もの成分を調査。その中から選び抜かれたのがエクトインです。資生堂はエクトインがメラトニン合成を促進することを発見し、特許を取得しました」(鳴海さん)



コロナ禍生活3年で、すっかり生活リズムが乱れてしまい、脳の中枢時計が乱れまくりなみなさん! 朝晩のエクトインケアで、「肌時計」を合わせ肌免疫を守りましょう。

脳とグッドコミュニケーションなスキンケア②

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<右>アルティミューン パワライジング アイ コンセントレート Ⅲ 15g ¥8250・<左>同 コンセントレートⅢn 30ml ¥8800/SHISEIDO

”コンセントレートⅢn"は、歴代のアルティミューンにも搭載されていた保湿成分に加え、独自技術イミューリズム(保湿成分エクトイン、グリセリン)を配合した新イミューンジェネレーション RED テクノロジーを搭載。睡眠不足などの生活リズムの乱れによって起きる肌変化にアプローチ。絶え間なく潤いが満ちる、なめらかなハリ肌に。



ちなみに、アルティミューンシリーズにはアイケアも。”アイ コンセントレート Ⅲ”は乾燥や摩擦などのダメージを受けにくいみずみずしい目もとに。

【カラーズの新知見】ストレスホルモン「コルチゾール」を精油の力でリセット。ハリツヤ美肌に

デジタル機器に頼ったライフスタイルなどの影響で、私たちはどんどんリラックス下手に。オンモードからなかなか切り替えられず、ストレスホルモン「コルチゾール」が出続け、肌のトラブルやエイジングを招いているという。そんなオン・オフ切り替えの救世主といえるのが精油。香りの力で脳を操り、美肌に導くって本当にできるの!?

岡野利彦さん

カラーズ

岡野利彦さん

カラーズ株式会社 執行役員。AMPP認定メディカル フィトテラピスト。化粧品の研究開発に20年以上。精油が持つ可能性に魅了され、精油を活用したスキンケア、ヘアケアの開発に積極的に取り組む。大学など外部機関との共同研究も積極的に行う。

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ストレスホルモン・コルチゾールの張り切りすぎが肌のしぼみ、くすみを招いていた

「カラーズが精油に着目し始めた頃は、精油の香りがカラダと心にたくさんのいいことをもたらしてくれることはわかっていたんですが、それはおばあちゃんの知恵袋的なものでした。でもそれがヒントとなり研究開発をしていくうちに、精油の効果にもしっかりとした科学的なエビデンスがあることがわかったんです」と岡野利彦さん。

着目したのはストレスホルモン「コルチゾール」。自律神経のうち「オンモード」の交感神経優位になるようなストレスを受けたときに、脳から指令が出て、副腎から分泌されるホルモン。大勢の前でスピーチするとき、睡眠不足になるほどゲームに興じたりしているときなどに増えていきます。「オフモード」の副交感神経優位に切り替わらない、継続的にストレスを受けている状態では、これが慢性的に出続けます。

「本来、コルチゾールは決して悪いホルモンではなく、ストレスから身を守る、人間が生きていく上で欠かせないホルモン。しかしオン・オフの切り替えができないと、コルチゾールの抑えがきかない状態に。この状態が長く続くと、コルチゾールが血流にのって肌に届きハリのもとであるコラーゲンを分解したり、末端の血流が悪くなるので肌に必要な栄養が運ばれなくなるといわれています」(岡野さん)

だから、ストレスが多いときって肌がしぼんだりくすんだりして、お疲れ顔に見えるんですね。

ある種の精油の組み合わせには、コルチゾールを下げる働きが

 「実は、精油を使って幸せホルモンの分泌量をアップさせる組み合わせはすでに見つけていましたが、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量をしっかり有意差があるところまで下げるのは難しくて。試行錯誤を繰り返しました」(岡野さん)

そこで行きついたのがイランイランとマグノリア、ベルガモット・プチグレンの精油の組み合わせ。

「エビデンスにこだわっていただけに、実際にコルチゾール量が有意に減ったときには、非常にうれしかったですね」(岡野さん)

まわりを取り巻く環境は変わらなくても、精油の香りをかぐことで脳に働きかけコルチゾールを減らすことが可能に。しかも朝晩に手軽に香りをかぐことができれば、そのつど過剰になりがちなストレスホルモンをコントロール、美肌へと導くことができる可能性も。これは、今後多くなりはしても減りそうもないストレスホルモン対策として朗報中の朗報だ。

脳とグッドコミュニケーションなスキンケア③

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シー ザ パブリック オーガニック シンクロブルーム フラワーネクターローション 120ml ¥6050・同フラワーコンセントレイトミルク 50g ¥7700・同フラワーエンリッチクリーム 50g ¥8800 シー ザ パブリック シンクロヌーディ フラワーバター クレンジングバーム 90g ¥4400(右からふたつめ)/カラーズ

イランイラン、マグノリア、ベルガモット・プチグレンの精油をブレンドした精油の華やかで幸福感あふれる香りが心に響く。植物サイエンスから導き出されたプリムラと黒チューリップというふたつの植物のエキスが、乾燥ストレスによる肌トラブルをケア。乾燥ストレスでしぼんだ肌を、ふっくらまあるいバルーンスキンへ。

小田ユイコの考察

美肌になれるかは脳次第。進化したスキンケアは、朝晩のあたりまえのケアで脳をコントロール

私たちを悩ます肌悩みは、肌で起きた突発事故ではなく、脳のクセが引き起こしている慢性的なトラブルである可能性大。

今や最新のスキンケアは脳と関わりの深い幸せホルモンや睡眠、ストレスホルモンをケアして肌トラブルの根本解決へ。これらのコスメは使っていて実際に心がフッと軽くなるような心地よさがあり、トラブルの元栓を閉めたような効果感。

今後も、脳と美肌の関係を取り持つコスメに注目したい!

撮影/橋口恵佑 イラスト/きくちりえ<Softdesign> 構成・文/小田ユイコ 企画/木下理恵(MAQUIA)

※本記事掲載商品の価格は、税込みで表示しております。

最終更新日:

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