毎号、博覧会のように様々な美容情報をお届けするMAQUIAも21周年。美容を糧とするすべての人へ、ジェーン・スーさんからメッセージ。

創刊21周年、ありがとう!
美容好きによる美容好きのための
「MAQUIAビューティ博」宣言

創刊21周年記念
ジェーン・スー 特別寄稿
さあ、遠くまで飛んでいって!
母親の口紅をこっそり塗ってみたのは、たしか小学生の頃。友達の髪をブローするのも好きだった。美容は新しい扉から私にワクワクを運んでくれた。だって、変わることって楽しいもの。
中学生になり、ニキビができるようになった。洗顔料を初めて使ったのがこのあたり。ベリッと剥がす毛穴パックも散々やった。高校生になり、お小遣いで化粧水を買ってみた。やがて、眉を整えたり化粧をしたりする子がちらほら現れる。
この辺りから、私は完全に美容道から転げ落ちた。自分なんかが可愛くなろうとするのは、ズルをしているような気持ちになってしまったから。美容による変化を、ポジティブに捉えることができなくなってしまったのだ。可愛く、美しくなろうとすることを、当時はチートだとすら思っていた。容姿に自信がないのに、そこに手を掛けるのは恥ずかしいことだと。
以降、ほとんどすっぴんで生活する日々。流行りの美容液が発売されれば一応買ってはみるものの、使いきったことはなかった。美容を真正面から積極的に取り入れることなく月日はグングン流れ、あっという間に取り残された。つまり、私はずっと、自分のことを大切にできないままだったのだ。自分にはケアしてあげる価値などないと思い込んでいたってことだもの。
「美容はもはやアミューズメントパークのアトラクションである」
年齢を重ね、少しずつ自分のことが好きになれた。素敵な私になりたいと素直に思えるようになった。いわゆる自己受容である。すると、美容は途端に楽しくなった。やがて目につく加齢も増えてきて、やり甲斐も出てきた。若い頃はちっとも効果がわからなかったエステの施術や美容液を「効いた!」と感じられるようになったのは衝撃だ。美容はもはやアミューズメントパークのアトラクションである。
「欠点を味方につけることができるのも、美容」
流行りはどんどん変わり、情報に溺れてしまうことも多い。それでも試すことは恐怖から楽しみに変わり、最近ようやく、こう思えるようになった。「自己満足でOK!」と。
いま美容を楽しめている人は、少なくとも自分に手を掛け慈しむ行動ができている。それって、素晴らしいこと。美容は自分との対話だ。欠点を消し去ることで頭がいっぱいなら、ちょっと肩の力を抜いてほしい。美容って、欠点を消すこともできるけれど、個性を長所に変えることもできるから。みんなと同じになれる安心は痛いほどわかるけれど、あなたをあなたたらしめているのは、その「ちょっと気になる欠点」なのだ。それを味方につけることができるのも、美容だと思う。
他人からどう見えるかを意識できる客観性は、美容を通して培うことができる。一方で、「他人からはこう見えているに違いない」という思い込みは、決して客観性とは言えない。それは暴走した主観だ。
自己満足と主観の暴走は似て非なるもの。自分にしかわからない変化かもしれないけれど、これでOK!と鏡に映る自分にGOサインを出せるのが健やかな自己満足で、100点でないと許せないのが主観の暴走。
美容という魔法のステッキは使い方次第。どうせなら、素の自分に羽を生やして、遠くまで飛べるようにしてあげて。
MAQUIA 11月号
イラスト/タイマタカシ 構成・文/山下弓子(MAQUIA)
公開日:





























































































