人気コスメやブランドのヒットの理由を編集長が根掘り葉掘りする連載、「最新美容の裏側『ここだけの話』」。今回は、コスメデコルテ AQ 毛穴美容液オイルを深掘りします。

第12回
最新美容の裏側「ここだけの話」
non-no編集部、MORE編集部を経て、2009年よりMAQUIA編集部に。「美容=人生」をモットーに、日々おもしろネタを探索中!

コーセー研究所先端技術研究室 データサイエンスグループ
帯金 駿さん
2020年入社後、コンピュータビジョンの研究経験を活かし、データサイエンティストとして製品開発に携わる。
今月のPICKUP
コスメデコルテ
AQ 毛穴美容液オイル
量子コンピュータで業界に革新を!
コスメデコルテ AQ 毛穴美容液オイル
誕生の立役者をクローズアップ
毛穴悩みに最も理想的な処方を世界で初めて量子コンピュータを用いて1000億通り※1以上の組み合わせから算出、応用したクレンジング美容液。何でも推定100年以上※2はかかる計算をたった10秒で解を叩き出したのだとか! 学生時代、理数系はからきしダメだった私も興味津々。処方計算を行ったデータサイエンティスト・帯金さんにそのお仕事内容と製品誕生までの裏話を伺いました。
※1 クレンジングに適した成分の選定および配合量の組み合わせ(概算値)
※2 一般的な汎用コンピュータで想定される計算時間(概算値)

量子コンピュータが導き出した処方で角栓を溶かし出し、なめらかな肌へ仕上げるクレンジング美容液。毛穴のザラつき、角栓が気になるときに乾いた肌に塗り広げ、洗い流すだけ。AQ 毛穴美容液オイル 40ml ¥11000/コスメデコルテ
\ここがすごい1/
年齢、性別、肌質を問わず、
万人共通の悩みである
角質除去のアプローチが
とにかく斬新
化粧品会社におけるデータサイエンティストとは、計算式を用いて、商品開発や画像解析を中心とした新たな老化指標開発など、数理的なアプローチで化粧品課題解決に取り組むお仕事。帯金さんが託されたのが悩みが深い毛穴問題。「目指したのは、毛穴角栓を最も効果的に溶解する条件と、それを満たす処方。毛穴を広げる原因である角栓の構成成分から、これを溶解するパラメータを数値化し、さまざまな条件を量子コンピュータに読み込ませ、成分×配合量の組み合わせを算出しました」(帯金さん・以下同)。結果、通常の研究プロセスでは生まれることはなかった処方に行き着いたそう。
一般的な角栓の構造

皮脂やタンパク質が毛穴の中で年輪のように固まった角栓を、皮膚構成の約7割を占めるタンパク質を傷つけずに溶解するのは困難。
角栓溶解度パラメータ

性質が似た物質はお互いに溶けやすい傾向が。その指標である「溶解度パラメータ」を用いて、角栓皮脂を溶かしやすい成分とその配合量の組み合わせを探索。
角栓除去アプローチの比較

\ここがすごい2/
ふわふわとした概念だからこそ
解き明かしたい。
美を定量化することに魅せられた
帯金さんの頭の中とは?
量子コンピュータにより受ける恩恵は、日常生活でも様々あると思いますが、帯金さんが化粧品会社でそのスキルを活かそうと思われたのはなぜ? 「データサイエンティストというとIT系を目指すのが王道ですが、性格的に飽きっぽいため自分には合わないな、と(笑)。そんなとき、化粧品が目指す“かわいい”や“美しさ”の概念って何となくはわかるけれど、ふわふわしていて実は何なのかわからない。突き詰めてもゴールが見えないもの。そんな美容業界に興味を持って。そんな一見バラバラの現象も、いろいろな角度から考えてみると、実はロジックは同じだったりするものなのでは?と。それを美容で追究すれば、“飽きないな”と確信が持てたんです」
帯金さんのアイディアノート

「物事において“突然”はなく、起きた原因が必ずある。それを様々な視点で考えるとパターン化することができる」。そんなことを常日頃から考え、浮かんだことをノートに書き連ねているそう。


愛用のヘッドフォン

ゼンハイザーのヘッドホンで音楽(hyde様大好き♡)を聴きながらアイディアをまとめるのが仕事スタイル。毛穴美容液オイルの要となったアイディアも、飲み会に向かう途中で突然湧き、喫茶店に駆け込んで数式をノートに書き留めたのだとか!
\ここがすごい3/
データサイエンティストとして
挑戦は続く…
新たな肌悩みに最適解を叩き出す
新製品も発表間近?
化粧品は成分を入れれば完成とはいかず、それこそ成分の組み合わせや配合バランスによってできが変わるもの。でも、そんな匠の技だった化粧品開発も、量子コンピュータを使えば、今までにない化粧品も作れるのですよね?「人の経験で行ってきた処方開発も、バイアスのないコンピュータと協働することで可能性が広がります。計算というと難しく思われがちですが、計算で表現しようとすることで複雑な現象もノイズが取り除かれてシンプルに表せるようになるんです。今後は処方のみならず、老化現象や感性も数理的に表現され、製品に落とし込まれるかも…しれません」

音楽やバドミントン、格闘技観戦など、好奇心が赴くままに見て、体感して、それが何なのかを考え、解析することで、アイディアを具体化するそう。
取材を終えて
化粧品の新時代を目の当たりにしました

THE文系で、ロジカルな思考が大の苦手な私にとっては縁遠い分野と思いきや、ファジーな感覚も数値化することでその骨子が明確になるということですね。化粧品のエモーショナルな側面にも寄与できる技術とは、目からウロコ!
MAQUIA 9月号
撮影/土佐麻理子 取材・文/藤井優美〈dis-moi〉 構成/伊藤かおり(MAQUIA) 資料提供/コスメデコルテ
※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。
公開日:













































































































