9月22日にデビュー20周年を迎えるSUPER EIGHTが同じく創刊20周年のMAQUIAに初登場。客席が埋まらなかったデビュー時、メンバーの脱退、改名など、いくつもの壁を乗り越え、決して平坦ではない道のりを歩んできた5人。それでも歩みを止めず、話し合い、磨き、笑い続けてきた彼らに、“続けること”の意味や重みを問いかけてみた。続けることに縛られる必要はない。けれどその過程にも、その先に見える景色にも、唯一無二の美しさがある。彼らが愛され続ける理由がここにある。
20年を、強さと誇りに変えて
今こそ届ける希望のうた
SUPER EIGHT
スーパーエイト●2004年9月にシングル『浪花いろは節』でCDデビュー。ダンス・バンドどちらもこなすパフォーマンス力はもちろん、明るいキャラクターでお茶の間に愛されている。
5人が語る続けること
大倉忠義
同じ熱量を保つのは無理。"波"はあっていいんです
何事においても“気持ちが同じ熱量で続くこと”はないと僕は思っています。同じことを続けていると、いつか新鮮さを失い慣れが出てきたり、息切れしてしまうことだってある。物事に対する熱量は上がり下がりの波があって当然なわけで。頑張れないときはまた次の波が訪れるのを待ってもいいし、試しに違う方向に進んでみてもいい。本当に無理だと思うならば辞めてしまってもいい。“続けること”に縛られる必要なんてないんですよね。ただ、ある程度続けなければわからないことがあるのもまた事実で。僕自身、この仕事と向き合い続けたからこそ経験値の幅がぐんと広がったというか。ひとつ、またひとつと、経験を重ねるたびにいろんなものが肉付けされて自分自身が豊かになった実感があります。“続けること”は大変です。それでも、続けたいものがあるときはいくつも理由を用意しておくといいと思う。例えば「家族のため」でも「お金のため」でもいいんです。「自分のため」で頑張れないときは「誰かのため」や「何かのため」が力になってくれる。僕自身、「応援してくれる人のため」や「待ってくれる人のため」に何度も力をもらいながら、ここまで歩いてきましたから。
村上信五
意味とかモチベーションとかそんなもんは考えなくていい‼
「あなたがずっと続けていることは何ですか?」と聞かれたら、僕は「生きていること、それだけです」って答えますね。この仕事も続いているけど、僕自身は続けることを意識してやってきたわけではなくて。目の前のことに夢中になっているうちに「気づいたら、ここにいた」という感覚なんですよ。なんやろう、SUPER EIGHTという電車に乗り続けていたら、線路がどんどん増えていって、いつの間にかいろんな場所にいけるようになっていた、そんな感じ。続けることは大事なことでもあるんやろうけど、個人的には「そんなのいちいち考えんでもいい!」の気持ちです。例えば、僕もピアノの練習なんて始めたばかりの頃はイヤでイヤで仕方がなかったけど、「これはもうやるべきものなんだ」と決めて習慣にしてしまったら、ピアノの前に座るのが苦痛じゃなくなった。そもそも、“モチベーション”とか“やる意味”とか余計なことを考えるからややこしくなるんですよ。本当に好きなこと、やりたいこと、やるべきことは自然と続くし続いていく。もしも今、夜中についいろんなことを考えてしまうという人がいるなら伝えたいもんね。「はよ寝ろ!」って(笑)。
横山 裕
長く続けているからこそ答えが見えなくなることもある
10代の頃、先輩から「何事も辞めるのは簡単。続ける難しさに直面するときが来ると思う」と言われたことがあった。実際に、SUPER EIGHTはその難しさを痛感してきたグループだったと思う。そのたび、僕たちは立ち止まり、向かい合い、話し合うことを心がけてきた。これだけ長い時間を一緒に過ごしていると「話さなくてもわかる」領域に突入しがちだけど、互いの想いをちゃんと言葉にして伝え合うことはやっぱり大事なことなんだよね。この20年間で僕が手に入れたものはなんだろう。それはきっと「20年やった」という信頼や実績なのかもしれない。それは自信を届けてくれたけれど、20年という長い時間はまた僕に続けることの難しさを届けているようにも思う。10年目、15年目あたりまではなんとなく未来が見えていたけれど、20周年を迎える今はまた先が見えなくなってきた。キャリアも年齢も重ねた自分は一体どこへ向かい何を選ぶのか……。その正解がわからないからこそ、今の僕は、自分が選んだ答えを自分自身で正解に変えていくことが大事なんだと感じている。
安田章大
"続けること"の先にある本当に大切なもの
僕自身、“続けること”は大事なことだと思っています。それを教えてくれたのはやっぱり両親になるのかな。勉強するときも、生き物を育てるときも、母が幾度となく口にした「地道にやり続けなさい」という言葉はもう今の僕の一部になっているし。父は家族のために休日も返上して働き続ける人だったので。そんな父の背中もまた僕に“続けること”のカッコよさを教えてくれたような気がします。諦めずに続けていると、それはいつかきっと結果に繋がる。でも、本当に大事なものは結果云々の先にあるような気がします。「続けることができた」という、その小さな達成感は自分に小さな自信を届けてくれると思うし。成長できたり、実力が身についたときに感じる喜びは自己肯定感も高めてくれると思うんです。中途半端に向き合っては、途中で投げ出してしまう、そんなことを繰り返していると「自分なんて」が増していく気がする。そうではなく、ちゃんと向き合い続けることで「よくやったな」「頑張ったな」と自分を認めることができるようになる気がする……。“続けること”の本当の大切さはきっと、そこにあるんじゃないかな。
丸山隆平
目に見えなくても、ちゃんと積み重なっている
以前、朝の情報番組で自分と同年代の職人さんにインタビューするコーナーを担当していたことがある。今でも印象に残っているのが明珍風鈴の職人さん。甲冑の鍛錬技術から始まり、その技術を受け継ぎ守りながら、火箸や風鈴へと時代に合わせて作品の形を変えてきた……。それがとても素敵やなって。僕自身、土台を大事に築きながらも、ちゃんと進化していきたいと思っている。同じ場所にとどまり続けていたら次第に周りから求められなくなるだろうし、何より、自分が自分に飽きてしまうのが怖いから。僕は新しい自分との出会いにワクワクしながら生きていきたい。でも、上手に前進できないときだってもちろんあって。ネガティブな気持ちに襲われるときは静かに待つことにしている。待っていればいつか過ぎ去ることを、今の僕は知っているから。変化や進化が目に見えないときは不安になるけど、続けていればその経験は確実に積み重なり、いつか必ず実感できるときが来る。不安なときは後ろを振り返ったっていいんだよね。あの頃とは違う自分を見つけることができれば、それはきっと小さな自信を届けてくれると思うから。
SUPER EIGHT Information
7月31日(水)に、SUPER EIGHTの最新アルバム『SUPER EIGHT』 が発売!「SUPER EIGHT=SUPER HERO」をテーマに、物語を紡ぐように構成されたバラエティに富んだ楽曲群が収録。お見逃しなく!
MAQUIA 9月号
撮影/神戸健太郎 ヘア&メイク/山﨑陽子 スタイリスト/袴田能生〈juice&juicy〉 取材・文/石井美輪 構成/萩原有紀(MAQUIA)