アニメやゲームを題材にしたステージで存在感を放っている2.5次元俳優の方々にご登場いただく企画がスタート! 2次元さながらの麗しいビジュアルに、3次元ならではの躍動感がある身のこなし。双方の魅力を備えた圧倒的なパフォーマンスで熱狂の渦を生み出す彼らの、輝くばかりの美の秘密に迫ります。
記念すべき初回を飾ってくれたのは、舞台『刀剣乱舞』や『呪術廻戦』など数々の人気作に出演し、2.5次元界を牽引し続けている和田雅成さん。『ヴィンツェンツォ』などのミュージカルやドラマといった幅広いジャンルでも活躍している彼が語る、美容に対するこだわりや芝居にかける想いとは?
- 「この仕事をしていると、美容は欠かせないなと実感します」
- 「がっつり鍛えていた時の腹筋は、ぜひ『刀剣乱舞』のDVDでチェックを(笑)」
- 多忙の日々の肌ケアに欠かせない愛用品
- 「自分たちの存在が、演劇に興味を持ってもらうきっかけになれたら嬉しい」
- 「舞台『エウリディケ』は、あまり難しくとらえずに楽しんでほしい」
大阪府出身。主な出演作は、舞台『刀剣乱舞』、舞台『呪術廻戦』、舞台『おそ松さん on STAGE~SIX MEN'S SHOW TIME~』、ミュージカル『ヴィンチェンツォ』など。また、ドラマでは『テレビ演劇 サクセス荘』や『REAL⇔FAKE』シリーズ、『あいつが上手で下手が僕で』シリーズなどに出演。舞台『PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice 3』が3月15日(金)~24日(日)に東京・THEATER MILANO-Zaにて、3月28日(木)~31日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。
「この仕事をしていると、美容は欠かせないなと実感します」
透明感が溢れるキメ細やかな美肌に、180㎝のしなやかな長身。口元にふと触れた指先まで美しく、まさに“2次元から飛び出したかのような”端正な容姿の持ち主である和田さん。まずは、誰もが気になる肌のケアや体づくりに関するお話を伺いました。
「僕の肌はややこしくて、脂も出るし乾燥もするタイプ。いわゆる混合肌ってやつなので、いろいろと悩みが尽きません。そのうえ、年齢によって肌が変わっていくからその対応も果てしなくて……。皮膚科に通ったりTikTokで美容情報をチェックしたりしているものの、薬も化粧品も合う合わないは自分で試し続けるしかないんですよね。今はとにかくいろんなものを試しながら、自分にとっての正解を探している最中。普段のスキンケアのプロセスは、コスメデコルテの導入美容液を塗った後に、アヌアの化粧水に皮膚科でもらったレチノール系の美容液を2滴垂らしたものを塗布。最後に、これまた皮膚科で処方してもらったセラミドのクリームでフタをする感じかな。以前はパックとかのスペシャルケアも取り入れていたんですけど、アレルギーで赤みが出ちゃうことがあって……。それ以来、できるだけケアを引き算してシンプルなお手入れをするようにしているんです。
ただ、最近はスキンケアをもっとアップデートしていかないといけないな、という思いも。今まで使っていたものより合うものがあるかもしれないので、肌がキレイな役者仲間に『化粧水何使ってるの?』と聞くこともあります。僕が美肌だなと思うのは、立石俊樹。トッシーはものすごく美容に詳しくて、顔も肌もキレイですね。
やっぱりこの仕事をしていると、美容は必要不可欠だなって実感します。特にテレビなんて、すごくクリアに肌状態が映っちゃうじゃないですか。自分でも気になるので、キレイにしておくに越したことはないなって思うんです。とはいえ、あんまり気にしすぎるとストレスになるので程々に。気をつけていてもニキビができちゃう時はできちゃうので、“しょうがない”って思うことにしています」
「舞台や撮影の時はメイクをしますが、普段は全くやらないですね。眉の手入れすらしていなくて。撮影の時にメイクさんがカットしてくれるので、すっかりおまかせしています(笑)。仕事でメイクをしていただく時にこだわるのは、肌のトーン。僕は肌に黄みが出やすくて、くすんで見えがちなんですよ。なので、ファンデーションはわりと明るめにしてもらうことが多いかも。
リップは、後輩から教えてもらったディオールの無色のバーム『ルージュ ディオール 000 ディオールナチュラル サテン バーム』がお気に入り。唇をしっかり保湿してくれるのに、ベタつかないところがすごく良くて。いろいろなリップクリームを試したけれど、これが一番好きですね。あまりにも気に入ってリピート買いしたんですが、6000円くらいして結構高いんですよ。それなのに、1回使った段階でズボンのポケットの中に入れたまま洗濯してしまって……。キャップは閉まってたけれど使っていいのかわからなくて、とりあえず保管してあります(笑)」
「がっつり鍛えていた時の腹筋は、ぜひ『刀剣乱舞』のDVDでチェックを(笑)」
「美顔器も興味はあるんですが、結局一番大切なのは睡眠な気が。舞台のトレーナーさんからも『睡眠の質を変えた方がいい』と言われたので、枕やマットレスといったベッド周りは西川さんのオーダーメイドで揃えたんです。自分にぴったりなものに変えたら、やっぱり違いますね。使い始めた頃は、”えっ、たっぷり寝た感じがするけど、これしか時間が経ってないの!?”となりましたもん。今でこそ当たり前になっちゃっているけれど、オーダーしてよかった。さすがに地方公演の時に持って行ったりはしないですけどね(笑)。以前は持って行ったこともあるんですが、全部が全部持ち込めるわけではないので、最近はその土地でちゃんと眠れるようにしようと思っているんです。その代わり……というわけではないですが、シャンプー類は地方公演の時に普段使っているものを持っていきます。ホテルのアメニティのものって乾燥することがあるんですよ。なので、5〜6年ほど愛用しているボタニストのちっちゃいやつを持参するようにしています。
そういえば、少し前からキックボクシングに通い始めたんですよ。最近は舞台の稽古があって行けていないのですが、時間があった時は週3くらいで通ってました。以前は筋トレも毎日40〜45分ほどみっちりやっていたんですが、ガリガリにならなきゃいけない役が続いたのでセーブ中。今はインナーマッスルを鍛えることぐらいしかやっていないですね。ガッツリ鍛えていた頃の自慢のパーツは……腹筋かなあ。どんな状態だったかは、『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士−大阪夏の陣−のDVDか、『おそ松さん on STAGE~SIX MEN'S SHOW TIME~』をチェックしてみてください(笑)」
昨年は4本の舞台のほか、ドラマや映画にも出演。多忙な日々が続く中、どうやって健やかなマインドを維持しているのか尋ねてみました。
「僕にとって最大のリラックスタイムは、家に帰って猫と過ごす時間。猫がグルグル喉を鳴らす音って、ヒーリング効果があることが科学的に証明されているらしいんですよ。本当かどうかはわからないけど、そう思うことが大事だなって(笑)。あとはやっぱり、トレーディングカード! 最近はちょっとバタバタしていてできていないんですが、役者仲間の間でワンピースカードがめっちゃ流行っているんです。荒牧慶彦っていう俳優がいるんですが、ドラマの撮影中に彼としょっちゅう対戦していました。
そして、僕自身がマインドを健やかに保つために普段から心がけているのが、全てを受け入れること。もちろん今だって引っかかったり腹が立ったりすることがないわけではないけれど、人それぞれに事情があるんだと思うことにしているんです。人の人生なんて、全部が全部はわからないじゃないですか。例えば、街を歩いていて誰かにぶつかられたとします。もしかしたらその人は、子供が産まれそうで急いで病院に向かっているのかもしれない。そう考えると、“じゃ、しょうがないか”って思えるんですよね。イラッとするよりも、その瞬間に別のマインドに置き換えた方が人生が豊かになる気がして。役者にとって、そうやって感情がフラットになることがいいことなのかどうかはわからないんですけどね」
「そう考えるようになったのは、“2.5次元”と言われるものが注目され始めた時期にSNSで批判や誹謗中傷をバーッと浴びた経験が大きかったと思います。ちょうど、ネット上でそういったことを書き込む流れが生まれ始めた時期だったんですよ。舞台やキャラクターに対する愛ゆえだとは思うけれど、自分だけでなく家族のことまで言われるようになって……。家族が書き込みを目にしてしまうのが嫌で、一時期は役者を辞めようとしたことも。
そんな時に、漫画の『ONE PIECE』のルフィが言っていた『この海で一番自由な奴が海賊王だ』っていう言葉に出会って感銘を受けたんです。そこで気づかされたのが、自分はお客さまが求めることに応えようとしすぎていたということ。大切なことではあるけれど、そればかりを優先していると自分っていうものがわからなくなってしまう。ならば、もっと自由に、自分ファーストで生きてみよう。たとえ嫌われたとしても、自分が好きなことをやって真っ直ぐ生きていればブレないし、応援してくれる人も中にはいるんじゃないか……と思うように。同じ頃に演出家の宮本亜門さんとお仕事をご一緒する機会があり、亜門さんの考え方に触れることができたことも自分の中ですごく大きくて。その2つの出会いをきっかけに少しずつ考え方に余裕が生まれてきて、マインドもだいぶ安定した気がします。
きっとブレない芯をひとつ持つことで、他のことに対して柔軟でいられるんですよね。そのせいか、最近よく『丸くなったな』って言われます。昔は舞台の期間は誰ともご飯に行かないとか、お酒は飲まないっていう自分の中で決めたルールにガチガチに縛られていたんです。今は、“次の日のパフォーマンスに影響しない程度であればいい”と考え方をシフト。前の日にお酒を飲んだからって舞台に向き合う姿勢が変わるわけじゃないし、そこにかける思いは変わらないと100%断言できる。だったら、それでもいいじゃないかって。実は、とある方から『和田さんは真面目すぎるから、もっと気楽に考えていいんです。人生7割で生きてください』と言われたことがあるんです。僕はもともと神経質なところがあるので、その言葉もめっちゃ響きましたね」
多忙の日々の肌ケアに欠かせない愛用品
「表に出る仕事を始めた頃からずっと愛用しているニベアのクリーム。手の乾燥が気になる時は、ハンドクリーム代わりにこれを塗っています。しっかり保湿されている感覚があって、安心感が違うんですよね。わりと手をホメていただくことが多いので、ちゃんとケアしないとなって思っています」
「実は、紫外線対策を始めたのは最近なんです。TikTokで『外出するなら日焼け止めはマスト!』という投稿を見てから塗るようになりました。アネッサをチョイスしたのもTikTok情報で、結局これが一番良いとのこと。そう考えると、僕の美容は全部TikTokからきてますね(笑)」
「コスメデコルテのリポソーム アドバンスト リペアセラムを使い始めたのは、友人の椎名鯛造から誕生日プレゼントにもらったことがきっかけ。最初は『導入美容液ってなんだ?』と思っていたんですが、これまたTikTokで導入の大切さが語られていたので試してみたんです。実際に使ってみると、後につける化粧水の浸透が早くなってビックリ。効果が実感しやすいので、1本使い切った後に自分でも買いました」
「“枇杷膏”って書いてあるので薬のように見えるけれど、これはハチミツ。喉の炎症を抑える働きがあるので、舞台界隈の人はほぼ全員が知っているんじゃないかな? 僕自身もマヌカハニーとかいろいろ試したけれど、味や飲みやすさを含めてこれが一番好き。舞台の時期は必ず持ち歩いて、喉の調子が悪い時に直接流し込んでいます。いつもAmazonで20箱くらいまとめ買いしていて、喉が辛そうな共演者の方に『一回試してみて』と渡すことも」
「自分たちの存在が、演劇に興味を持ってもらうきっかけになれたら嬉しい」
現在は2.5次元俳優の枠を超え、さまざまなジャンルの作品に出演している和田さん。32歳を迎えた今、自身の役者としての立ち位置をどう考えている?
「”2.5次元”というカテゴライズに関しては、自分たちというより周りの人たちが捉えるものだと思うんです。自分はそこに対して肯定も否定もなくて、フラットな気持ちでいます。ただ、そのカテゴリーの中にもいろんな人がいるので、それぞれの個性や特技に着目してもらえたら嬉しいなとは思いますね。よく『もう2.5次元はやらないんですか?』と聞かれるんですが、全然そんなことはなくて。その時々にやりたいと思う作品に取り組んでいるだけであって、今年も2.5次元の舞台をやる予定はありますよ。ジャンルにこだわらず、ご一緒したい共演者やスタッフさんがいればそこにベットするっていう感じですね。その一方で、次の世代の子たちに譲るフェーズがあってもいいのかもしれない、と考える部分も正直あります。2.5次元というジャンルの勢いに波がある中で、僕たちとは違う波を若い子たちが作ってくれることでまた盛り上がるんじゃないかなっていう気持ちがあるんですよね。
それと同時に、自分がいろんなジャンルの舞台に出演することで、演劇というもの自体を活性化できたら……という思いも。今は配信もありますが、劇場に足を運んで生の空気感というものを感じていただきたいという思いはずっとあって。やっぱり2.5次元に比べると、ストレートの舞台はちょっとハードルが高いじゃないですか。僕らのような存在によって風通しが良くなって、今まで演劇を見たことがない人たちに少しでも興味を持ってくれたらすごく嬉しいなって。そのためにはもっと自分が売れて集客力をつけないといけないので、映像や舞台などいろんなジャンルの作品をいいバランスでやっていけたらと思っています」
「舞台『エウリディケ』は、あまり難しくとらえずに楽しんでほしい」
出演 水嶋凜、和田雅成、櫻井章喜、有川マコト、斉藤悠、崎山つばさ、栗原英雄 / 作 サラ・ルール / 演出 白井晃 / 翻訳 小宮山智津子 / 音楽 林正樹
現在は、2024年2月4日(日)から公演が始まる舞台『エウリディケ』に向けて全力投球中。
「ギリシャ神話をベースにした作品で、ストーリーだけでいうと実はすごくシンプル。高い階段から落ちた女性が死者の国で父親に再会し、女性を愛する男がそこへ迎えに行くっていう話なんです。最初に台本を読んだ時は“これをどう見せていくんだろう?”と思ったのですが、演出の白井(晃)さんとセッションしながら読み解く中、“こう思いながら伝えると、こんな風に見えるんだ”という感じで徐々にシーンが出来上がってきている感覚が。『美しいものを見たなと思ってもらいたい』と白井さんがおっしゃっていたので、あまり難しいことは考えずに景色を眺めるように楽しんでいただけたら嬉しいですね。
まだ絶賛稽古中ではあるのですが、白井さんがかけてくださった言葉で印象的だったのが『役になろうとせず、和田くんの内側から出てくるものでやってくれたらそれでいいよ』というもの。僕は舞台上でわりと“自分”が出ちゃうタイプなんですよ。それを否定的に捉える方もいる中で、白井さんがそこを肯定する言葉をくださったことにすごく救われて。だからこそ普段から役を意識しないとできないことがたくさんある気がして、自分なりにいろいろと試している最中なんです。そのひとつが、音楽。僕は今まであまり音楽に触れてこなかった人生だったのですが、今回の役柄が音楽家ということもあって、日常の中で積極的に音楽に接することを心がけています。そうやって役のことを考えながら生きることで、本番中は何も考えなくても役として存在できているんじゃないかなって思っています」
冷たい風が吹き抜ける屋外での撮影も、終始にこやかに臨んでいた和田さん。インタビューではユーモアを交えながら快活にお話して下さり、爽やかな外見だけでなく中身も好青年そのもの!
「家族の存在が、仕事のモチベーション。それは変わることはないですね。昔から“芸能人になりたい”“売れたい”ってずっと思い続けてきたんですが、じゃあなんで売れたいのかっていうと、母親や祖母にテレビに出ている自分の姿を見てもらいたいから。結局はそこなんですよね」という言葉や、2.5次元界の未来を見据えた眼差しからも、暖かく真っ直ぐな人柄が伝わってきました。
撮影/神戸健太郎 ヘア&メイク/今津那保 スタイリスト/高山良昭 取材・文/真島絵麻里 企画・構成/有住美慧(MAQUIA)
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