美容や健康にもいいことから女性の間で「梅」が大人気。実が青い“青梅”は5〜6月が収穫時期で、“完熟梅”はその後の7月下旬頃まで収穫が続き、今は正に旬の時期。せっかくだから、今年こそ“梅仕事”にチャレンジしてみませんか? 梅の栄養素の基礎知識から、初心者でも簡単に作れる梅シロップや梅干しの漬け方、アレンジレシピまでを大公開。旬の梅の栄養パワーと、フレッシュなおいしさを満喫しちゃいましょう!
- 約1週間で完成! 簡単「梅シロップ」の作り方
- 食品用保存袋を使った、少量から作れる「梅干し」の漬け方
- 夏バテにも! エイジングケアにも! 梅の美容&健康パワー
- 「梅シロップ」のアレンジレシピ
- 「梅干し」のアレンジレシピ
最近、梅干しや梅シロップなどを自分で手作りする“梅仕事”が大人気。そこで、まだ作ったことがないという人のために、その作り方を料理家のワタナベマキさんに教えていただきました!
グラフィックデザイナーを経て料理家の道へ進み、雑誌や書籍、イベント、テレビ番組など幅広く活躍。“日々食べるものを美味しく丁寧に”を心がけ、簡単で作りやすい料理を提案。ナチュラルなライフスタイルとセンスあふれる料理にファンが多い。近著に「お医者さんが教えてくれた 一年中冷え知らずごはん」(KADOKAWA)がある。
約1週間で完成! 簡単「梅シロップ」の作り方
炭酸やお湯で割ったり、シャーベットにしたりと、さまざまな使い方ができる「梅シロップ」の作り方をご紹介。ドリンクなどで梅を手軽に摂れるから、作っておくと夏バテ対策にも!
「梅シロップはまだ青い青梅で作ります。簡単に作れて、りんごの酢漬け、甘露煮といろいろな使い方ができるので、初めての梅仕事におすすめ。青梅は青々として、なるべく傷のない梅を選ぶのがポイントです」(ワタナベさん)
▽材料・必要な道具
・青梅 1kg
・氷砂糖 1kg
・酢 大さじ1
・しょうが(皮付き) 1かけ
・ローズマリー 適量
※しょうが、ローズマリーはお好みで。入れる場合は、よく洗い水気を拭く
・容量3〜4ℓの耐熱ガラス製の保存瓶
・竹串
・冷凍用保存袋
▽「梅シロップ」の作り方
①梅のなり口を竹串で取り除く
梅のなり口(枝とつながっている部分)には、雑菌がたまっているので竹串で取り除く。かぶるくらいの水に6時間つけて水気をしっかりと拭き取って乾かす。
②フォークで表面に穴を開け、冷凍庫で一晩以上おいて凍らせる
梅の表面にフォークを3〜4カ所刺して穴を開けたら、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で一晩以上おいて凍らせる。こうすることで梅の細胞が壊れて果汁が出やすくなる。
③消毒をした保存瓶に梅、氷砂糖を交互に入れ、酢をまわしかける
食品用アルコール、または熱湯や焼酎などで消毒をした保存用の耐熱ガラス瓶に、梅、氷砂糖の順に、3回くらいに分けて交互に入れる。好みでしょうがやローズマリーを入れると爽やかな香りに。最後に酢をまわしかける。
④直射日光のあたらない場所に置き、1日1回ゆすりながら7〜10日間おく
直射日光のあたらない場所に置き、1日に1回瓶をゆすりながら7〜10日間おく。右の写真は1週間ほど置いた状態。氷砂糖が溶けたら濾して梅を取り除き、消毒した保存瓶にシロップを移して冷蔵庫で保存する。
食品用保存袋を使った、少量から作れる「梅干し」の漬け方
完熟梅を使って作るのが梅干し。
「完熟梅は香りがよく、全体が黄色く熟した梅を使います。熟していない梅だと梅酢が上がりにくいので注意」(ワタナベさん)
▽材料・必要な道具
・完熟梅 1kg
・粗塩 140g(梅の重量の14%)
・食品用保存袋
・2kg(梅の倍重量)の重し
・竹串
・塩
・食品用アルコール or 焼酎
▽「梅干し」の作り方
①梅のなり口を取り除き、水に6時間漬けたら水気を拭き取る
梅のなり口を竹串で取り除き、かぶるくらいの水に6時間つけて水気をしっかりと拭いて乾かす。
②梅を手で軽く押してコロコロと転がす
まな板を食品用アルコールか焼酎を染み込ませた布巾で拭き、梅をのせて手で軽く押して、1個につき3回ほどコロコロと転がす。こうすることで梅の繊維が壊れ、梅酢が出やすくなる。
③梅を食品用アルコールなどで消毒
梅をボウルに入れて食品用アルコールまたは焼酎を全体にかけて、なじませて消毒をする。
④塩を入れてなじませる
塩を入れて、梅になじむように混ぜ合わせる。
⑤食品用保存袋に入れる
食品用保存袋に入れ、重ならないように並べる。
⑥重しをして梅酢が上がるまでおく
食品用保存袋に入れた梅をバットなどに入れ、梅の倍の重しをして梅酢が上がるまでおく。常温なら3、4日程、冷蔵庫なら1週間程で塩が溶けて梅酢が上がってくるので、上がってきたら1日1回容器を傾けて回す(カビが生えないように梅酢を全体に行き渡らせる)。塩が全て溶けて、梅酢が十分に出たら重しを外して梅雨が明けるまで冷蔵庫で保存する。
天気の良い日をみて、3日ほど天日干しにする(連続でなくてOK)。梅酢を切り、ざるに間隔をあけて並べ、風通しの良い場所に朝から夕方までおき、梅酢に戻す。この工程を3回行い、3回目は一昼夜干す。梅酢もボウルなどに移し、一昼夜干す。梅を干し終えたら、梅酢に戻し、冷暗所(または冷蔵庫)に3ヶ月から半年置いて熟成させたら食べる。
夏バテにも! エイジングケアにも! 梅の美容&健康パワー
Q.梅の効能って?
「梅干しには食欲を増進させるクエン酸をはじめとする有機酸が含まれています。クエン酸の働きのひとつが唾液の分泌を促すこと。唾液には、成長ホルモンのひとつであるパロチンが含まれ、唾液の分泌が促されると筋肉、骨、内臓の成長を促し、若さの維持につながります。クエン酸には食欲増進や疲労回復効果もあるので、夏バテをしたときにもぴったり。またむくみを改善するカリウムも多く含まれるほか、少量ですが100g中に鉄2.9g、カルシウム47mgも含まれています。菌を抑える制菌効果もあるので、梅雨時のお弁当などに入れるのもおすすめです。
ちなみに、梅の実は生では食べることができません。梅の種や果肉には、種を守るため“青酸配糖体(アミグダリン)”という糖と青酸が結合した物質が含まれます。青酸は、大量に摂取すると悪心や嘔吐、頭痛、呼吸困難や目まいなどを引き起こします。1個食べた程度では大きな影響はありませんが、若い青梅の種には青酸配糖体が果肉の10〜20倍含まれているので注意が必要。ですから生のまま食べるのは避け、梅干しなどにして食べましょう」(浅野先生)
Q.梅を摂るタイミングはいつがいい?
「1日のうちいつ摂っても構いません。梅のクエン酸には、唾液の分泌を促す働きや、血糖値上昇を抑える働き、カルシウムなどミネラルの吸収を助ける働きがあるので、これらの効果を求めるなら食事と一緒に摂るとよいと思います。また、疲労回復目的の場合は、活発に動くタイミングの朝に摂るのもいいですし、1日の終わりの夜に摂るのもいいですね」(浅野先生)
Q.梅干しは1日何個まで?
「特にありませんが、梅干しは1個(5gとして)に塩分が0.9g含まれているので、たくさん食べると塩分のとりすぎにつながり、むくみの要因にもなるので食べ過ぎないようにしましょう」(浅野先生)
Q.夏バテに特に効果的な摂り方は?
「梅干しを食べたり、梅を氷砂糖で漬けて梅シロップを作って摂るのがおすすめです」(浅野先生)
「梅シロップ」のアレンジレシピ
紅茶にスパイスと梅シロップを加えるだけで簡単にできるのが梅スパイスティー。香りがよくスッキリとした味わいで、夏バテした体とのどの渇きを癒してくれる最高のドリンクです。
疲れた体を癒す「梅スパイスティー」
材料
梅シロップ 大さじ4
シナモン 1本
カルダモン 3、4粒
クローブ 1個
紅茶 400ml
作り方
①スパイスをいれた紅茶を煮出して冷ます。
②グラスに梅シロップと氷を入れ、①を注ぐ。
さっぱり&爽やかな「梅のグラニテ」
梅シロップとしょうがで作るシンプルなグラニテ。梅としょうがの爽やかな香りと冷んやり感が口の中いっぱいに広がる、暑い日のクールダウンにぴったりデザートです。
材料
梅シロップ 100ml
しょうがすりおろし 1かけ分
水 150ml
作り方
①材料を合わせ冷凍庫にいれる。
②1時間ほど凍らせて、フォークでかき混ぜ、さらに1時間凍らせてフォークでかき混ぜる。
「梅干し」のアレンジレシピ
マヨネーズを使わない、さっぱり味の「梅ポテサラ」
ポテトサラダに梅干しをミックスした一皿。実は意外と好相性のじゃがいもと梅に、大葉が爽やかさをプラス。梅干しやごま油の風味によって、マヨネーズを使わなくても満足度の高い味わいに。
材料
じゃがいも(メークイン) 3個(450g)
紫玉ねぎ 1/2個(70g)
梅干し 2個(20g)
大葉 5枚
塩 小さじ1/2
ごま油 大さじ1
作り方
①じゃがいもは皮付きのまま蒸気の立った蒸し器に入れて20~25分蒸し、温かいうちに皮をむいてつぶす。
②紫玉ねぎは縦薄切りにし、水にさらし水気を切る。
③①に②と種を除いてたたいた梅干し、塩、ごま油を加えてあえ、手でちぎった大葉を加えさっと混ぜる。
梅風味の甘辛タレがやみつきになる「鶏の照り焼き」
たれに梅干しを加えた鶏の照り焼き。梅干しの酸味が加わり、いつもの照り焼きが上品な味わいに。夏バテして疲れた日にぴったりのメニューです。
材料
鶏もも肉 2枚(300g)
玉ねぎ 1/2個
さやいんげん 8本
梅干し
ごま油 小さじ2
A
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
作り方
①鶏肉は余分な脂を除き常温に戻し、繊維を断つように切れ目を数カ所入れる。
②玉ねぎは縦薄切りにする。さやいんげんは端を切り縦に2等分に切る。
③梅干しは種をのぞいて包丁でたたき、Aに加える。
④フライパンにごま油を入れ、①を皮目を下にして入れる。
⑤上から押さえながら焼き目が付くまで焼き、油を拭き取り裏返して②を加えさっと炒める。
⑥玉ねぎが軽く透き通ったら弱めの中火にし8分焼く。
⑦③を加え煮立たせながらからめる。
撮影/佐々木美果 スタイリスト/竹中紘子 取材・文/和田美穂 構成/福島美歩(MAQUIA ONLINE)
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