休んでもすっきりしない、疲労感が抜けない……。そんな慢性疲れの原因は「休み方の勘違い」にあるかも。動いて元気になる逆転の発想を学びます。隙間時間にできる、「アクティブレスト」ストレッチにも注目!
疲れたら休むより動く!
「アクティブレスト」で心も体もすっきり
疲れている時は積極的に
動くほうが回復が早い!
アクティブレストとは、疲れた時にじっとするよりも、体を軽めに動かして老廃物を排出し、疲労回復させるという“積極的休養法”のこと。
「座りっぱなしで下半身がうっ血したり、PC作業で背中や首が凝ったり。そんな毎日に軽い運動やストレッチを取り入れると、血流や代謝がアップするのでただ寝て休んでいるよりも元気に。さらに睡眠の質が改善されたり、運動したくなったり、肌がキレイになったりと生活の質全般が上がります。見た目や仕事のパフォーマンスにも関わってきますよ」(山本先生、以下同)
より戦略的に休養することで、健康やキレイを育むというアクティブレスト、今すぐ始めてみて。
アクティブレストの4大効果
代謝が上がる
「軽い有酸素運動を取り入れることで疲労物質の代謝が促進され疲労回復に。軽めのジョギングや散歩、デスクワークの合間に足踏みするなどもおすすめ」
血流が促される
「毛細血管は、筋肉の収縮と弛緩によって循環が促されます。また、重力に逆らって下半身の血液を上げるためにも筋肉の動きは大切。同じ姿勢が続くのはNG」
筋肉が柔軟になる
試合翌日のアスリートに①完全オフ②軽い運動をする、の2つを試した研究では②の選手のほうが筋肉が柔らかく、次の試合でパフォーマンスがUPしたそう。
疲労物質が排出される
普通に生活をしていても、体内ではさまざまな疲労物質が生まれるもの。ストレッチや軽い有酸素運動はそれらの排出に役立つから、心身ともにすっきり!
軽い運動を毎日続けるのが
アクティブレスト
歩く
ちょっと散歩するのも立派なアクティブレスト。可能なら荷物はもたず、大股で速歩きを意識すると効果UP。
階段を上る
駅などで、エスカレーターではなく階段を上るのもいいアクティブレストに。習慣にすれば、疲れにくい体へ。
入浴
「水圧で血流が促され、温熱効果で血管が拡張するので疲労回復に効果的。入浴後のストレッチと組み合わせて」
ストレッチ
「軽く筋肉や関節を伸ばすストレッチは効果絶大。PCをよく使う方なら、緊張しがちな首周辺や前腕を念入りに」
アクティブレストをすると、
こんなにいい変化が起きる!
体と心が元気になる
「アクティブレストを続けると疲れにくくなるだけでなく、快適だから体を動かしたくなるという声が。運動に対するモチベーションが上がったり、体が元気になることで気持ちも明るくなったり。単にマイナスをゼロにするのではなく、心身がもっといい状態へと変化していきますよ」
疲れにくくなる
もともと、アスリートの疲労回復と成績UPの研究から生まれたアクティブレスト理論ですが、「一般の方の慢性的なストレスや立ちっぱなし、座りっぱなしによる疲労回復にも応用されるように。疲れがとれるだけでなく、より疲れにくい体になり、アクティブになれると好評なんです」。
肩や首・腰のコリが軽減する
PCやスマホをよく使う現代人は、どうしても首が前に出て頭を支える首や肩に大きな負担が。「1〜2時間に1回くらい、軽く首を回す、肩を動かすといったアクティブレストを取り入れてみて。他人の手によるマッサージもいいけれど、こまめなセルフケアのほうが結果が早く出ます」
睡眠の質がよくなる
寝ても疲れが抜けない人は、睡眠の“質”に問題がある可能性が。アクティブレストで筋肉の緊張がほぐれると、深くて質のいい眠りに入れ、すっきり目覚められるように。
美肌になる
どんなにスキンケアをしても、巡りが悪ければそれがきちんと肌に届きにくいもの。アクティブレストを取り入れることで、コスメが効果を発揮しやすい土台が整います。また、血流が促され、酸素がきちんと届けば細胞が活性化され、くすみや色ムラといった悩みも内から軽減!
体が引き締まる
座りっぱなし、立ちっぱなしでは血流が悪くなり、疲労物質が溜まったりむくみが生じることに。血液循環や代謝が促されると、本来の美しいラインが出てきてボディが引き締まった印象に。
隙間時間のアクティブレストで、let’s 疲れにくい体!
固まって筋肉が動かなくなったら、疲れは蓄積する一方。小さなストレッチを重ねるアクティブレストでしなやかさを取り戻して。トレーナーのKAORUさんが、日常でできる簡単なストレッチ方法を教えてくれました。
“休む=じっとしていること”と思われがちですが体を動かさないと筋肉が固まり、疲れも溜まります。ぜひアクティブレストを習慣づけましょう。ポイントは“頑張りすぎず、自分のできる範囲で動かす”こと。特に、“私は体が硬い”と思っている人は“体が硬い”という思い込みを外すこと。硬いと思うとつい頑張って無理やり伸ばそうとし、反動で筋肉が縮みます。また、一度にたくさん動いたりストレッチするのではなく、朝・昼・晩など時間を分けてちょっとずつ行うほうが効果的です。(KAORUさん、以下同)
パソコン・スマホ漬けの合間に
自覚なくとも前腕はコリコリ!
PCやスマホの使用で大きな負担がかかるのが前腕。肩コリや疲労感が溜まるモトなので、1時間に1回は動かして。
1 立った状態で、ひじを自分側に向けて机や椅子に手のひらをつく。腕に体重をかけすぎず、軽く置けばOK。
2 左右交互にひじを曲げる。この時も力をかけず、リズミカルに前後させること。30秒を目安に、1日2〜3回。
前に落ちた肩の位置をリセット
キーボードやスマホを触っているとどうしても前のめりな姿勢に。落ちた肩を戻す動きは、胸も開いて気持ちいい!
1 両足を肩幅程度に開き、壁から一歩離れて立つ。壁側の手のひらを肩より少し上の高さで壁につける。
2 手を壁につけたまま、体の軸を逆側に回転させる。強くねじるのではなく、軽く10秒キープ。逆側も同様に行う。
寝る前・起床後に
Morning
「朝は、実は体がいちばん硬い時間。起き上がる時にこんな動きを取り入れると、気持ちよく目覚めもすっきり」
1 目覚めたらうつぶせになって腕を伸ばし、膝を折って座位になる。顔は伏せたままで、背中が伸びるのを意識。
2 深く呼吸をしながら、背骨を下からゆっくり起こしていく。1つ1つの骨を重ねていくイメージで起き上がる。
Night
眠る前にベッドで行うと、下半身の血流もよくなり眠りが深くなる効果が。大きく、ゆっくり行うのがポイント。
1 あおむけに横たわり、片膝を曲げる。曲げた脚を付け根からゆっくり回す。内回り5回、外回り5回が目安。
2 回した側の脚を、膝は曲げたまま反対側の床につける。お尻や太ももの外側の筋肉が伸びるのを感じながら行うこと。
3 体を横向きにして上側の脚の膝を曲げ、足首を手でつかむ。太もも前側を伸ばして5秒キープ。逆側も同様に行う。
オンライン&仕事中も
こまめに動く
「友人たちにも、ちょこちょこ動くから“落ち着きがない”って言われるのよ」と笑うKAORUさん。仕事中やオンライン中なども差しさわりのない範囲で動くのは、ほどよいアクティブレストに。
猫背で潰れる大胸筋を柔らかく
こぶしを作り、第2関節で鎖骨下の大胸筋をほぐす。ここがしなやかだと猫背になりにくく呼吸も深く。
ゆる首回しで頭への血流UP
背中側で両手を組み、肩甲骨を寄せ頭をゆっくり回す。無理に首を倒したり反らしたりせず、ゆっくり小さく動かすこと。
NG
首には多くの神経が通っているので、軽く倒す程度に留めること。写真のようにがくっと倒すのはやりすぎなので注意。
座りっぱなしの合間に
頑張りすぎの背中が
ゆるむ簡単ストレッチ
デスクワークで集中していると、肩甲骨は動かないまま。腕を後ろに動かして、おさぼり肩甲骨周りを刺激して。
1 胸が開くよう意識しながら手を背中側で組んで肩甲骨を寄せる。背もたれのない椅子なら座ったままでも○。
2 無理のない範囲で手を10回ほど上下させる。背中が動いて胸が開くだけでなく縮んだ腹筋も伸びる効果が。
自律神経も刺激できる
背骨アクティブレスト
デスクワークで眠気が生じた時などにおすすめなのがこちら。背骨がしなやかになり、自律神経にもいい刺激が。
1 両足を肩幅より少し広めに開き、壁から3歩ほど下がって立つ。肩くらいの高さで両方の手のひらを壁につく。
2 壁についた手はそのままで、体を床方向に落とす。お尻を突き出すイメージで行うこと。5秒×2回が目安。
首も肩も背中もゆるむ
座ったままねじり
「背中の筋肉は頭を通って眉上までつながっています。背中を動かすと呼吸が深くなり、頭がクリアになりますよ」
1 脚を組み、逆側の手を太ももの外側に沿わせる。反対の腕を伸ばし、真上を経由してぐるりと後ろに回す。
2 首だけでなく、背中全体をねじるようにして後ろを見る。呼吸をしながら5秒キープ×2回。逆側も同様に行う。
歩きやすい脚になる
ぶらぶらストレッチ
「歩く時間が減ったことで、股関節が使われず太ももの筋肉が衰えることに。年齢を重ねると萎縮するので動かして」
1 壁に対して横向きに、片方の手をついて立ち、壁側と反対の脚を前に出す。力を入れて頑張るのではなく、ポンと投げ出すような感覚で軽く。
2 投げた勢いで今度は後ろへ。軽く前後させるうちに、お尻の筋肉も動くように。10往復が目安。逆側も同様に。
MAQUIA 3月号
撮影/彦坂栄治〈まきうらオフィス〉(モデル) ヘア&メイク/榛沢麻衣 スタイリスト/立石和代 モデル/林 ゆめ イラスト/長谷川まき 構成・文/高見沢里子 企画/髙橋美智子(MAQUIA)