腸内環境の重要性がますます注目される今、専門家2人の科学的な視点で、心身のバランスを整える腸活の秘訣を伝授。今回は、腸の役割と仕組みについて、専門家が解説します。

“消化だけじゃない”腸のチカラ。腸と脳の関係から腸活の基本まで、専門家がやさしく解説!

千賀健永さん×君島十和子さんも夢中!
腸活最前線

\基本をおさらい!/
なぜ腸内環境を整えるといいの?

健康と美の基盤は腸内環境にあり! と國澤先生も。免疫機能や栄養吸収を支える腸の役割と仕組み、さらに毎日の生活で実践できる効果的な整え方についてレクチャーしていただきました。

教えてくれたのは…
國澤 純

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所 副所長、ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長

國澤 純先生

免疫学と腸内環境の専門家で、豊富な研究経験を持つ第一人者。著書『9000人を調べて分かった 腸のすごい世界』(日経BP)は高く評価されている。

消化管と免疫。腸が果たす驚きのダブル機能

「最近注目されているのが、腸のふたつの働きです。腸は、体外から取り込んだ食べ物を消化・吸収し、不要なものを便として排泄します。これは生命維持のために重要な消化管としての働きです。もうひとつ重要な働きが“免疫”。腸には多くの免疫細胞が存在し、外の世界に存在する多くの異物に接し、何を敵と見なし許容するかを判断する学習の場です。このように、免疫のバランスは腸内環境に左右されるため、肌荒れや不調が気になるときは、腸を整えることが美容や健康への第一歩かもしれません」(國澤先生、以下同)

“消化だけじゃない”腸の真価
今、見直されるその役割

「腸は“小腸”と“大腸”に分かれ、それぞれ大切な役割を担っています。小腸には多くの免疫細胞が集まり、体を守る“免疫の要”として働きます。また、大腸にはさまざまな腸内細菌がすみつき、食物繊維などを発酵・分解し、短鎖脂肪酸など体に嬉しい成分を生み出します。腸内環境が整うことで免疫にも良い影響が。免疫細胞と腸内細菌が協力することで、体調や気分、美容にもつながることが分かってきました。糖尿病や花粉症、疲れやすさ、体型の変化との関係にも注目が集まっています」

“消化だけじゃない”腸のチカラ。腸と脳の関係から腸活の基本まで、専門家がやさしく解説!_2

腸活を意識するなら、リーキーガット(腸漏れ)のケアも大切

「リーキーガットとは、腸の粘膜に隙間ができ、本来通さないものが体内に入りやすくなる状態のこと。これが続くと免疫が過剰に反応し、炎症を起こしやすくなり、肌荒れや不調だけでなく、アレルギーや生活習慣病のリスクが高まることが言われています。ストレスや偏った食事、睡眠不足が大きな要因で、腸内環境の乱れと密接に関わっています。発酵食品や食物繊維を中心にバランスよく食べることが大事。腸の健康は、不調の対策だけでなく、肌や体の美しさに直結するので、ぜひ心がけてみてください」

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考える前に、腸が決めている!? 腸と脳の不思議なつながり

「腸と脳は密接に連携しており、実は脳より腸のほうが先に指令を出すこともあります。腸は“第二の脳”と呼ばれ、多くの神経細胞やホルモン、神経伝達物質を持ち、体の状態を素早く察知し脳に伝えています。腸の状態が良ければ心身の安定につながりますが、乱れるとストレスや体調不良の要因に。腸内環境が整うことで、肌の調子や体調が良好に保たれやすくなるため、日々のケアが重要」

MAQUIA 8月号
撮影/岡部太郎〈SIGNO〉 ヘア&メイク/岡田いずみ〈KiKi inc.〉 イラスト/せかち 取材・文/佐藤 梓 構成/萩原有紀(MAQUIA)

公開日:

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