美容成分からコスメを選びたくなったら始めどき。おなじみの成分から話題の新成分まで、正しい知識を#美容成分辞典でディープに楽しく学んでいきましょう。ここでは、「アルギニン」の特徴や働きについてコンパクトに解説。


医師が回答するMAQUIA公式ブロガー・美容ライターなど美容に関心の高い方からのさらに踏み込んだQ&Aも掲載しているので、美容成分について、もう一歩深く知りたい方にお勧めです。

≫肌&髪の保湿効果が期待できる「アルギニン」

「アルギニン」って、どういうもの?

アミノ酸の一種で、化粧品はもちろんのこと、点滴や経口の栄養剤としても用いられるポピュラーな成分です。かつては浸透力が弱いとされてあまり注目されていませんでしたが、90年代の研究でアミノ酸の種類によって浸透力にタイムラグがあること、アルギニンは少しずつ経皮吸収されるため持続力のある保湿剤として有効なことが判明してきました。そのため現在は肌の保湿剤としても用いられています。また、ダメージが多くてパサついている髪はL-アルギニンが流出しやすいという報告もあり、ヘアトリートメントなどヘアケア製品にもよく配合されています。

【医師が監修】アルギニンとは? 美容に役立つ成分の特徴について-美容成分事典-_1

美容成分「アルギニン」の肌に嬉しい働きとは?

肌の最外層に位置する角質層は、レンガのような角質細胞と、その隙間をモルタルのように埋める細胞間脂質からなっています。そして、角質細胞の中でうるおいを抱え込む成分がNMF(天然保湿因子)なのですが、そのうちおよそ4割はアミノ酸です。そして、NMFの主要な成分の一つが、アミノ酸の一種であるアルギニンなのです。しかもアレルギーなどのリスクがほとんどないので、水分を吸着して肌に留めたい乾燥肌・敏感肌のケアに使いやすいというメリットがあります。

「アルギニン」のパワーを最大限に活かすポイント!

保湿力のあるアミノ酸の一種の「アルギニン」。ですが、アルギニン単体では肌への浸透力が高いとはいえません。スキンケアに使用する際は、その他の有効成分と組み合わせたものを使うのが一般的です。

サプリメントやスポーツ飲料による「アルギニン」の経口摂取は必要?

アルギニンは生体内にも存在し、体内で合成することができる非必須アミノ酸です。ただし、乳幼児や成長期の子供、怪我をしたり体力を消耗した大人には不足するという説があり、配合されたサプリメントやスポーツ飲料が注目を集めてきました。内服すると血管が拡張する、血流が促されるという作用があります。スキンケアのために、あるいは健康維持のために経口摂取する必要があるかは、現状では意見が分かれています

≫美容成分Q&A

医師が回答! 美容成分「アルギニンのここが知りたい 」

美容に関心の高い方から募った「アルギニン」についての疑問を、医師・友利新先生に伺いました。

友利 新先生

内科・皮膚科医

友利 新先生

医師(内科・皮膚科)、日本内科学会会員、日本糖尿病学会会員、日本皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員。東京女子医科大学卒。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。「体で一番大きな臓器である肌を健やかに保つことは、健康を保つことにつながる」をポリシーに、見た目だけでなく心のQOL(生活の質)を上げていく丁寧な診察で人気に。現在都内クリニック勤務のかたわら、美容と健康のための正しい情報を発信する啓蒙活動を、マキアを始めとした雑誌やWEB媒体、テレビなどで多く手がける。2004年第36回準ミス日本。YouTubeやInstagramでの発信も好評。著書多数。最新刊は、YouTubeで紹介したトピックスを中心に美容知識と最新情報を盛り込んだ『女医が教えるキレイのとっておき 読む 友利新チャンネル』(飛鳥新社)。 

Q.副作用の心配はありますか? 男性機能の向上が望めると聞いたのですが、女性が使用しても問題ないのでしょうか?(MAQUIA公式ブロガー 麻衣子さん)



A.アルギニンはアミノ酸の一種なので、経皮吸収やサプリ服用程度で男性ホルモンが増えるということはありません。血流を促す作用があるので男性機能向上につながるという発想かもしれませんが、“男性機能の向上”はどちらかといえばイメージ戦略に寄った表現であるため、女性の使用も全く問題ありません。ただし、経口で過剰摂取をすると胃腸障害や肝機能への影響がありえます。肌への塗布は、保湿因子なので特に副作用の報告はありません(友利先生)

Q.化粧品として塗布した場合、どのくらいの保湿効果が期待できますか?また、体内でも生成されるのでしょうか?(MAQUIA公式ブロガー asamiさん)



A.アルギニンは天然保湿成分のひとつで保湿効果がありますが、濃度や基剤によって効果は変わってくるので、ヒアルロン酸より高いか、ヘパリン類似物質より高いかといった判断はできません。ただ、生体内のNMF(天然保湿因子)のおよそ4割はアミノ酸ですし、敏感肌にも安心して使える成分ですので、敏感肌の方の保湿剤としてはとてもいいと思います。生体内でも生成されますが、加齢に伴って生成量は減少すると言われています。(友利先生) 

取材・文/高見沢里子 イラスト/きくちりえ 構成/有住美慧

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最終更新日:

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