たとえ周囲に理解されなくても、ありのままの自分でいることを選択している人は強い! 今回のテーマはジェンダーフリー。麗しき男性監督の世界!と題して、ゲイの映画監督たちが描いた女性の生き様に迫ります。パート2は巨匠フランソワ・オゾン監督の最新作をご紹介!
女性の喜びを再確認する
まったく新しい
ガールズムービー
★今回のおすすめ新作映画★
『彼は秘密の女ともだち』
監督/フランソワ・オゾン 出演/アナイス・ドゥムースティエ、ロマン・デュリス、ラファエル・ペルソナ、イジルド・ル・ベスコ 公開/8月8日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次公開 配給/キノフィルムズ ©2014 MANDARIN CINEMA - MARS FILM - FRANCE 2 CINEMA - FOZ
〈ストーリー〉
7歳の頃からの親友、ローラ(イジルド・ル・ベスコ)が亡くなり深い喪失感を抱えるクレール(アナイス・ドゥムースティエ)は、遺された彼女の夫ダヴィッド(ロマン・デュリス)と生まれたばかりの娘リュシーの様子を見るために家を訪れる。するとそこには、ローラの服を着て娘をあやすダヴィッドの姿が。彼はクレールに「女性の服を着たい」と打ち明ける。
巨匠がすべての
女性に贈る
美しき人間讃歌♪
【松山 梢の女子ツボPOINT!】
「グザヴィエ・ドランにうつつを抜かしていて、すみませんでした!」。この映画を見終わったとき、思わず私はフランソワ・オゾンに土下座したくなりました。オゾンと言えば、『まぼろし』や『8人の女たち』、『スイミング・プール』や『僕を葬る』などで知られるフランスを代表する映画監督。
この作品でも「女性になりたい男性」のドラマや、「違いや偏見を乗り越えて、それぞれの個性を受け入れていく」というメッセージは、驚くほどドラン監督と共通しています。が、熟練監督ならではの洗練されたユーモアセンスと、軽やかなドラマに見せかけておきながら、ラストでジェンダーにとらわれないアイデンティティを意外な形で力強く提示する手法に、横面をバチーン!と叩かれるような衝撃を覚えました。
ロマン・デュリスが
体当たりで演じる
女装姿に注目!
とはいえ結末には触れられないので、詳しくは劇場で! ここでは女性必見のチャーミングなシーンをご紹介。主人公はロマン・デュリス演じる女装願望のある男性ダヴィッド。彼の人生は妻の死によって劇的に変化していくのですが、正直“誰もが認めるイケメン”とは言いがたい性格俳優のデュリスが化粧をしている姿に、思わず「ギョッ!」としてしまいます。
しかし次第に自分の個性や体型にあったスタイルを確立し、ファッションやメイクが洗練されていく姿は見事。過度に女性らしさを演出する必要がなくなるほど、女性として精神的に成熟していく様子が伝わります。
女性にとっての
日常が
非日常に変化!!
さらにヒロインである地味で平凡な主婦のクレールもまた、美しく華のあった親友の引き立て役に過ぎなかった自分の殻を破り、眠っていた女性性や官能性を解き放つひとり。
特にダヴィットと2人でショッピングするシーンは必見。化粧品を選び、ワンピースを試着し、ヒールの音を響かせながら闊歩する女にとってありきたりの日常が、「女性になりたい」と渇望するダヴィッドの喜びと呼応するように、きらきらと輝く非日常に見えてくるのです。
常にスッピン&地味な服装だったクレールが、真っ赤なルージュをつけ、カラダのラインに添うセクシーなドレスをまとい、めきめきと美しくなる姿は目を見張るほど。コレを見ればきっと、女性であることの喜びを再認識させられるはずです。
〈映画ライター/松山 梢〉
映画のヒロインに感情移入することでかろうじて「女」であることを維持している、三十路まっただ中のライター松山 梢です。自分に足りない女っぷりを向上すべく、そして美意識の高いマキアオンライン読者の女っぷりをさらにアップさせるべく、愛すべき女子向け映画&ドラマを紹介していきます!
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