「MAQUIA」12月号から、メイクアップアーティスト・吉川康雄さんと、美容ライター・長田杏奈さんの対談をお届け。大人にとっての効くメイクについて、語り合いました。
メイクアップアーティスト 吉川康雄さん
NYをベースに活躍。広告、コレクション、セレブリティのメイクなどを手がける。自ら撮影・取材を手がけるサイト『unmixlove』(https://unmixlove.com)も話題
美容ライター 長田杏奈さん
著書『美容は自尊心の筋トレ』が、新しい美容本として話題。「全員美人原理主義」を合言葉に、モテるためでも若返るためでもない、自分を大切にするための美容を説くエッセイ。(Pヴァイン)
大人とメイクの理想の距離感とは?
「素肌に勝るファンデーションはない
メイクで遊ぶならまずは肌のツヤで」
吉川 スキンケアで素肌が綺麗になったら、それを隠さないようなメイクがしたくなるでしょ。
長田 「効く」スキンケアのゴールを、「ファンデーションがいらなくなること」と考える読者も多いです。
吉川 その感覚って、すごく大事。例えば、ちゃんとした場所にドレスアップして行くとき、TPPOを考えて厚塗りする人いるでしょ。
長田 つい気合が入っちゃうんですよね。服や場と格を合わせた方がいい気がして。
吉川 僕はね、肌が綺麗ならドレスはもちろん、白無垢を着るときだって素肌っぽくていいと思うんだよね。だって、美しい素肌に勝るファンデーションはないんだから。
長田 メイク好きは、服を着替えるみたいにあれこれ肌の仕上がりも変えたくなっちゃう習性があります。
吉川 肌で遊ぶっていうとき、実際にはありえない質感をのっけると、生きている肌の魅力が隠れてしまう。肌で遊ぶなら、お粉で厚塗りして遊ぶのではなく、ツヤの差で遊んでみてほしいんだ。
長田 「効く」ツヤ!
吉川 誤解されがちだけど、ツヤ感ゼロ=マットのことじゃないんだよね。例えば、腕の裏側ってツヤツヤじゃないでしょ。この静かな肌がニュートラルな状態として、体温高そうなツヤ、いきいきとしたツヤ、しとやかなツヤなど、人間の生理的な表現を真似てツヤの表情を変える。僕が思う、肌で遊ぶって、そういうことなんだ。
長田 エモーションを感じさせる肌って、魅力的ですよね。
吉川 「効く」美容のために、何も秘境で採取した特別な成分を持ってこなくても良くて。極端な例でいうと、10日間お風呂に入ってないときに出てくる潤いやツヤが、酸化したり腐ったりしてなくて匂いもなければ、最高のオーガニック成分だと思うんだよね。
長田 ある意味、究極のオーガニックかもしれません(笑)。
吉川 不純物がなくて肌に刺激のない、感覚としては白湯みたいな成分のほうがいいんだよね。ワセリンみたいな純化されたものとか。
長田 最近では、医療用の保湿剤にヒントを得たスキンケアも出てきているのですが、確かに効くけど、あんまりときめかないから続かないんです。私たちが求める「効く」は、単純に結果を出してくれればいいという単純なものではなくて、心がリラックスしたり浮き立ったりもしたい。
吉川 そういう意味では、香りやテクスチャー、パッケージも大事!
長田 今の自分をMAX肯定して、明日が待ち遠しくなる美容がいいな。
吉川 これからも、肌にも心にも「効く」美容を提案していきましょう。
MAQUIA 12月号
撮影/三宮幹史〈TRIVAL〉 メイク/吉川康雄 ヘア/shuco〈3rd〉 スタイリスト/小川夢乃 モデル/森 絵梨佳 取材・文/長田杏奈 企画/火箱奈央(MAQUIA)
【MAQUIA12月号☆好評発売中】