症状のグラデーションはあれど、日本のおよそ2人に1人が発症しているといわれる「花粉症」。適切な治療はもちろん必要だけれど、日々のインナーケアにも効果はあるの?
花粉症にまつわる素朴な疑問について、花粉症治療のパイオニアである大久保公裕先生に教えていただきました!

- Q1.花粉は年中飛んでいると聞きますが、2月から春にかけてはどんな花粉がどの地域に多い?
- Q2.都市部は木が少ないのに、花粉症の人が多いのはなぜ?
- Q3.「根治治療」や「対症療法」という言葉をよく聞きますが、最新の治療法にはどんなものがありますか?
- Q4.花粉症になりやすい人の傾向は?
- Q5.花粉症対策にインナーケアは有効?
- Q6.すでに花粉症の症状がひどいときに食べるといいものは?
- Q7.花粉症の人が注意したほうがいい食品は?
- Q8.食事でカバーできない分はサプリで補ってもいい?

日本医科大学花粉症学講座教授、日本医科大学名誉教授、日本アレルギー協会理事関東支部長。免疫アレルギー性疾患を専門に研究し、花粉症治療の第一人者。スギ花粉症の舌下免疫療法の確立に貢献し、国や企業と共同でアレルギー性鼻炎の新しい免疫療法の開発を積極的に進めている。
Q1.花粉は年中飛んでいると聞きますが、2月から春にかけてはどんな花粉がどの地域に多い?
A1.北海道&沖縄以外はスギ花粉が飛び始めます
「実は花粉症の約70%はスギ花粉と考えられています。なぜなら、全国の森林の18%、国土の12%をスギが占めているからです。特に2月から4月にかけては、スギが少ない北海道と杉が生息しない沖縄を除く全国各地でピークを迎えます。
ちなみに、スギ花粉自体は年明けから少しずつ飛散しているので、敏感な方は症状が出るかもしれません」(以下、大久保先生)
Q2.都市部は木が少ないのに、花粉症の人が多いのはなぜ?
A2.細分化された花粉が何度も広範囲に飛散するから
「スギ花粉は、山間部から風に乗って都市部に運ばれます。土の上に落ちた花粉は地面の水分を吸ってその場に定着しますが、都市部のコンクリートの上に落ちた花粉は表面に留まるだけで、風によって再び飛散します。
しかも車などにすり潰され、さらに細かくなって広範囲に飛散するため、症状の出る人が多くなりやすいのです」
Q3.「根治治療」や「対症療法」という言葉をよく聞きますが、最新の治療法にはどんなものがありますか?
A3.新たな治療法が6〜7年後には実用化されそう
「『対症療法』は点眼薬や点鼻薬、内服薬など薬の作用によって症状やQOL低下を和らげるもので、花粉が多い年でも5〜6割の人は症状がほとんど出現せずに過ごせることがわかっています。
『根治治療』は文字通り花粉症の根治を目指すもので、スギ花粉エキスを舌下に毎日投与する舌下免疫療法が代表的です。さらに新しい治療法も研究が進んでいて臨床試験に入るものもありますが、実用化までは6〜7年ほどかかると思います」
Q4.花粉症になりやすい人の傾向は?
A4.免疫バランスがカギ。背景には除菌・殺菌の影響も
「睡眠不足や痩せすぎ、疲労などによって免疫のバランスが低下している人は花粉症になりやすいといえます。また、肌を軽くひっかいたときに赤くなるタイプの人は粘膜も弱い可能性が高いので、発症したり症状が悪化したりしやすい傾向にあります。
そもそもの話として、除菌や殺菌が一般化して菌と共生する機会が減るほど、アレルギー反応が出やすくなる人は増えます。しかし時代を巻き戻すことはできないので、必要な治療と並行して、食事などで免疫バランスをサポートすることが大切なのです」
Q5.花粉症対策にインナーケアは有効?
A5.腸内環境とアレルギーは大いに関係しています

「免疫細胞の6〜7割は腸に集まっているので、腸内環境は免疫機能の状態に直結します。腸内環境を整えるためには善玉菌を増やす発酵食品や、善玉菌のエサとなる食物繊維、抗酸化作用のある緑黄色野菜などを積極的に摂りましょう。ネバネバした食材に含まれるムチンも免疫産生につながるのでおすすめです。
ただし、日本は症状の重い人が多いので、インナーケアだけに頼るのは現実的ではありません。病院での治療と並行して取り入れましょう」
基本は薄味&多種品目をバランスよく

「食事で意識すべきは多種品目をバランスよく摂ること。例えば、炎症で傷んだ粘膜細胞を回復する材料となるタンパク質は、肉類・魚介類・卵・大豆食品・乳製品など種類によって豊富な栄養素が異なるので、まんべんなく摂ることが重要です。
私たちの免疫バランスは、体内にさまざまな種類の菌や栄養素を取り入れることによって保たれるので、『花粉症にいいから』という理由で特定の食品だけを摂るのはむしろ逆効果です。
また、塩分の摂りすぎは花粉症の症状を悪化させる可能性があるので減塩の工夫を」
機能性表示食品は軽症の人なら効果が期待できる可能性あり

「機能性表示食品は、従来品に比べると花粉症の症状に対する健康効果が認められています。ただ、その効果には個人差があります。それほど症状が重くない人であれば、摂り続けることで変化を実感したり、悪化させないことを期待できたりするかもしれません」
Q6.すでに花粉症の症状がひどいときに食べるといいものは?
A6.副腎を強化して“抗アレルギーホルモン”を出す

「副腎から分泌されるコルチゾールは、血液や糖代謝、抗炎症、抗ストレスなどに加えて免疫抑制の働きもあることから『抗アレルギーホルモン』とも呼ばれています。
その生産に欠かせないのがビタミンB群、そしてストレスに弱い副腎をストレスから守るビタミンCです。また、副腎とホルモンの材料となるタンパク質もしっかり補いましょう」
ビタミンCを多く含む食材
アセロラ、キウイフルーツ、赤ピーマン、ブロッコリー、ゆず、柿、いちご、キャベツなど
ビタミンB群を多く含む食材
豚肉、レバー、ピスタチオ、マグロ(赤身)、鶏肉、にんにく、カツオ、アーモンドなど
鼻水の症状がひどい場合はドクダミ茶やれんこんなどもおすすめ

「鼻の症状に効く代表的なお茶といえばドクダミ茶。臭気成分デカノイルアセトアルデヒドには殺菌作用や抗炎症作用があり、鼻炎症状の緩和が期待できます。
ただし、下痢を起こしやすい体質の人や、肝臓・腎臓の機能が低下している人は注意が必要です。また、野菜ではアレルギー症状を抑える成分を含むれんこんやシソ、抗炎症作用のあるクレソンなどがおすすめです」
Q7.花粉症の人が注意したほうがいい食品は?
A7.トマトやメロン、リノール酸の摂りすぎには注意
「脂身の多い肉や加工食品などに多いリノール酸(オメガ6)を摂りすぎると、アレルギー反応を引き起こす炎症性物質の原料である『アラキドン酸』が過剰に分泌されることがわかっています。
また、トマトにはスギ花粉と似た構造のタンパク質が、メロンやスイカなどのウリ科もイネ科に花粉に似た構造のタンパク質がそれぞれ含まれているので、その成分に反応して症状が現れる可能性があります」
Q8.食事でカバーできない分はサプリで補ってもいい?
A8.サプリはあくまで“補助”。それだけに頼るのはNG

「バランスのいい食事で栄養素を摂ることが基本でありベストなので、サプリはあくまで補助的なものと考えましょう。それだけで花粉症がよくなるというわけではないし、高額だから効くというものでもありません。
服用してみて体調や症状が楽になったと感じるなら続けて構いませんが、栄養の偏りや異変を感じたら無理に続けないほうがいいでしょう」
監修/大久保公裕 イラスト/二階堂ちはる 取材・文/国分美由紀 構成/佐藤 陽(MAQUIA)
公開日:

































































