美容成分からコスメを選びたくなったら始めどき。おなじみの成分から話題の新成分まで、正しい知識を#美容成分辞典でディープに楽しく学んでいきましょう。ここでは、「トレチノイン」の特徴や働きについてコンパクトに解説。
医師が回答するMAQUIA公式ブロガー・美容ライターなど美容に関心の高い方からのさらに踏み込んだQ&Aも掲載しているので、美容成分について、もう一歩深く知りたい方にお勧めです。
- 「トレチノイン」を知っていますか?
- どんな肌悩みに効果的? 「トレチノイン」配合のスキンケアコスメ
- 「トレチノイン」を使うことで起こるかもしれない副作用……
- 医師が回答! 美容成分「トレチノインのここが知りたい 」
≫シミ・ニキビに効果テキメン! 「トレチノイン」を詳しく解説
「トレチノイン」を知っていますか?
「トレチノイン」(正式名称はオールトランスレチノイン酸)はビタミンAの誘導体で、ビタミンAの50〜100倍もの活性があると言われるパワフルな美容成分です。アメリカではシワやニキビの治療医薬品としてFDA(アメリカ食品医薬品局のこと。日本の厚生労働省にあたる)に認可されています。
どんな肌悩みに効果的? 「トレチノイン」配合のスキンケアコスメ
肌は基底膜で生まれ、成長しながら上へと押し上げられ、角層細胞となった後、最後は垢となって剥がれ落ちていきます。このメカニズムを肌のターンオーバーと呼びますが、「トレチノイン」には表皮のターンオーバーを促す働きがあります。細胞の分化と成長がスピーディになるため肌に蓄積したメラニンが排出されやすくなり、シミに効果を発揮します。また、角栓を剥がして毛穴詰まりを防ぐため、アメリカではニキビ治療薬としても認可されています。さらに、トレチノインは真皮でコラーゲンの産生を促す作用もあるため、シワ悩みにも効果があります。
※イメージ図
「トレチノイン」を使うことで起こるかもしれない副作用……
「トレチノイン」を塗布すると、その部分に赤みが出たり、肌がポロポロと剥がれてくる副作用が出たりといったことがあります。「トレチノイン」は人間の体内にも少量ですが存在する成分なので、アレルギー反応ではないと考えられています。表皮のターンオーバーを促す作用が強いために生じる副作用で、数日使ううちに落ち着くケースがほとんどですが、使用から6週間ほどで、赤みやかゆみを伴うレチノイド皮膚炎が生じるケースも。
また、「トレチノイン」は内服した場合に催奇形性があるため、外用使用であっても副作用の可能性がゼロではないとして妊娠中や授乳中は避けるのがベターとされています。日本では医療機関でしか手に入らないのもこういったリスクがあるためで、自己判断で個人輸入しての使用は避けましょう。
≫美容成分Q&A
医師が回答! 美容成分「トレチノインのここが知りたい 」
美容に関心の高い方から募った「トレチノイン」についての疑問を、医師・友利新先生に伺いました。
内科・皮膚科医
友利 新先生
医師(内科・皮膚科)、日本内科学会会員、日本糖尿病学会会員、日本皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会会員。東京女子医科大学卒。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。「体で一番大きな臓器である肌を健やかに保つことは、健康を保つことにつながる」をポリシーに、見た目だけでなく心のQOL(生活の質)を上げていく丁寧な診察で人気に。現在都内クリニック勤務のかたわら、美容と健康のための正しい情報を発信する啓蒙活動を、マキアを始めとした雑誌やWEB媒体、テレビなどで多く手がける。2004年第36回準ミス日本。YouTubeやInstagramでの発信も好評。著書多数。最新刊は、YouTubeで紹介したトピックスを中心に美容知識と最新情報を盛り込んだ『女医が教えるキレイのとっておき 読む 友利新チャンネル』(飛鳥新社)。
Q.レチノールとの違いについて教えてください。(MAQUIA公式ブロガー 菜瑠美さん)
A.「レチノールとトレチノインはどちらもビタミンA誘導体なので、広義では同じような成分といえます。ビタミンA誘導体の一種としてレチノールがあり、レチノールよりもっと作用が強く、クリニックで扱う処方薬がトレチノインです。薬理作用が高いので効く実感もありますが、『A反応』と呼ばれる皮剥けや紅斑といったトラブルが生じるリスクもあります。必ず医師の指導を受けて使用するようにしてください」(友利先生)
Q.ハイドロキノンとの併用が効果的と聞きますが、本当ですか? また、併用する際に気を付ける点は何でしょうか?(MAQUIA公式ブロガー Misatoさん)
A.「『トレチノイン=美白剤』というイメージがありますが、実はトレチノイン自体に美白作用はありません。肌のターンオーバーを促すのでメラニンを含んだ角質が排出されやすくなる、キメが整う、ニキビができにくい状態に導く、コラーゲンやエラスチンを増やすといったメリットはトレチノイン単体でもありますが、美白が目的なら同時にハイドロキノンも使用する方が効果的といえます」(友利先生)
取材・文/高見沢里子 イラスト/きくちりえ 構成/木崎ミドリ
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