スキンケア成分や、美容医療の注入剤として超有名なヒアルロン酸。意外と見過ごしてしまいがちな本来の役割から、注入治療の最新事情まで詳しく紹介します!

【ヒアルロン酸の最新事情】本来の役割から進化した注入治療まで、小田ユイコが専門医に取材!

美容ジャーナリスト 小田ユイコの“マニアックビューティREPORT”

小田ユイコ

美容ジャーナリスト

小田ユイコさん

30年以上美容記事に携わり、MAQUIA創刊時からスキンケア企画を担当。コスメの進化をかたときも逃さず、取材し続ける。

今月のキーワード「ヒアルロン酸」

有名な美容成分なのに私たちの肌にもともと存在することや、その役割を意外と知られていないヒアルロン酸。うるおいのあるハリ肌には欠かせないもので、ヒアルロン酸の目減りはエイジングの始まりなんだそう。


一方で、「フィラー(充填剤)」として美容医療の注入治療にも使われてきたヒアルロン酸。最近ではリフトアップのための注入が注目されているらしい。情報をアップデートせねば!ヒアルロン酸注入指導医の慶田朋子先生に、取材してきました。

お話を伺ったのは…
慶田朋子

皮膚科専門医

慶田朋子先生

銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。多くのメディアで美肌の基礎知識や美容医療の最新事情を啓蒙。治療のモットーは「切らないハッピーリバースエイジング」。

肌のみずみずしい質感はヒアルロン酸次第。味方につけた人からキレイに

——ヒアルロン酸は、水分をたっぷり抱えて蓄える、いわば水瓶のような成分ですよね?


「はい。体内でヒアルロン酸がもっとも多く存在するのが肌。特に真皮に多く、線維芽細胞がハリの元であるコラーゲンやエラスチンをしっかり生み出すには、真皮がヒアルロン酸で満ち満ちの状態であることが条件。肌のハリ弾力のためにもヒアルロン酸はなくてはならないんです」(慶田先生、以下同)


ヒアルロン酸は2〜3日で代謝し、紫外線やストレスなどの影響で目減りしやすいのだそう。


——スキンケアコスメの保湿成分で、目減りした肌のヒアルロン酸を補充できる?


「ヒアルロン酸はそもそも分子量、つまりサイズが大きく、角層には浸透しづらい成分なんです。低分子化されたものも登場して、表皮のヒアルロン酸は補充できますが、真皮への補充は難しい。でも、しっかりと肌を乾燥から守り、肌環境をよくしてくれることは確か。みずみずしい質感を保つ、優秀な保湿成分です」



ヒアルロン酸の役割とは?簡単にわかりやすく解説!

もともと肌に存在し、みずみずしいハリ肌をサポートする成分

肌断面図にはあまり描かれていない「自前の」ヒアルロン酸。真皮の線維芽細胞がコラーゲンやエラスチンとともに生み出し、真皮の細胞外マトリックスを形成。表皮の細胞と細胞の間にも存在している。

ヒアルロン酸の役割 肌断面図

役割1:水分キーパー


ヒアルロン酸はムコ多糖類の一種で、ぷにぷにと粘り気のある性質。水分を抱え込む力に優れ、肌を乾燥から防ぐのに必須。

役割2:クッション材


ぷにぷにのヒアルロン酸は、細胞と細胞の間でクッション材の役割を果たす。シワ、たるみ、毛穴のない肌に欠かせない。

役割3:細胞環境コーディネーター


表皮細胞、線維芽細胞を取り巻き、細胞間の情報伝達をスムーズに。また肌に存在する免疫細胞が働きやすい環境をととのえる。



外から与えるヒアルロン酸って何?

ヒトのヒアルロン酸を模倣した合成成分

外から与えるヒアルロン酸は、主に合成成分。「自前の」ヒアルロン酸の目減りを補うなど、さまざまな目的で活用されている。

ヒアルロン酸は外から摂取できるのか

パターン1:スキンケアコスメの成分


肌表面でうるおいをシールドしたり、肌に浸透させて「自前」ヒアルロン酸のサポートに。

パターン2:美容医療の注入剤


肌のボリューム感とハリ感を調整。肌悩みに合わせ、医師がヒアルロン酸の「硬さ」を使い分ける。

パターン3:サプリメントの成分


肌のみならず、関節や眼球で減少したヒアルロン酸を補い、健康的な状態を目指す。



進化したヒアルロン酸の注入法って?

ふくらませる注入は顔が大きく見えがち。「支える」注入で自然にリフトアップ

ヒアルロン酸・レスチレン®を使用した“The True Lift Technique”。自然なリフトアップで肌の下垂により目立つシワ、たるみ、毛穴を効果的にケア。

~皮膚を骨につなぎとめる「杭」、リガメントを支えて補強する~

リガメントがゆるんで、たるんだ肌

最新美容医療 ヒアルロン酸注入 リガメントを支えて補強する ビフォー

顔の骨(図の右側)と肌(図の左側)をつなぐリガメント(靱帯)。リガメントがゆるむと、肌と脂肪の重みを支えられず、ダランとたるむ。

ヒアルロン酸で支え、リフトUP

最新美容医療 ヒアルロン酸注入 リガメントを支えて補強する アフター

リガメントの下側(脂肪層)にヒアルロン酸を注入。下から支えることで肌が引きあがり、自然と頬が高い位置に。毛穴やゴルゴライン、ほうれい線などが目立たなくなる。

最新美容医療 ヒアルロン酸注入 リガメントの位置

美容医療では“ヒアルロン酸製剤のチョイス”と“注入技術”がポイント

——真皮より奥にヒアルロン酸を届かせるには、美容医療が必要?

「そうなんです。スネコス注射やプロファイロといったメニューで、ヒアルロン酸を細かく何カ所も注入し、真皮をヒアルロン酸で満たします。これがブースターとなり、線維芽細胞のコラーゲン、エラスチン産生を促すのです」


このタイプは、施術直後にわかりやすいリフト感はないのですが、徐々に顔立ちが引き締まってきて小田も大好きな注入メニュー。物理的にパンプアップさせるヒアルロン酸注入は、顔が大きくなる感じで苦手意識があります。


「今はヒアルロン製材、注入法が進化していて、顔を大きく見せることなくハリとリフトアップを叶えられますよ。ガルデルマ社のレスチレン®というヒアルロン製材を使用した“The True Lift Technique”という注入法がおすすめ。リガメント(靱帯)を下支えするように打つので、顔がふくらむことがなく自然。また、レスチレン®は架橋率が低く異物反応が起きづらいところも◎。それなのに流動しづらく、入れた位置より下がって大顔に見えることもありません。高いリフト力をキープできます」


ヒアルロン酸注入といえば、顔のしぼんだ部分に入れるものだと思っていたので、目からウロコ。それなら施術を受けてみたい!と思った小田でした。

MAQUIA 12月号
取材・文/小田ユイコ イラスト/きくちりえ〈Softdesign〉 企画/奈良彩花(MAQUIA)

公開日:

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