美容界を賑わすクリエイションで、常に第一線を走り続けるふたりのメイクには、巧みに余白コントロールが施されているという共通点があった!「余白コントロール」って一体どんなテク? 真剣トークからその秘密を紐解きます。
トップアーティスト
中野明海さん&イガリシノブさん初共演
春新色×余白コントロールで新しい私
卓越したセンスとその人の魅力を最大限に引き出すメイクで、絶大な支持を受ける美容界のレジェンド。余白コントロールの先駆者。
MAQUIAでも数々の余白コントロールメイクを披露!
小顔に見せたいけれど、さりげなく仕上げたいし、好感度もアップさせたい!という欲張りな願いに回答。撮影/菊地泰久〈vale.〉
丸顔や面長、ベース顔など、顔のカタチに合わせて、イガリ流・余白をうまく操るメイクを披露。撮影/ISAC〈SIGNO〉
余白コントロールでなりたい自分に近づける
どんな顔立ちでも、らしさを活かしつつ魅力的なフェイスに魔法のように変えるふたり。その秘密は、アジア人目線ならではの余白コントロール術にある。
中野 今回、余白コントロールがテーマだけど、イガリさんはいつ頃から意識してメイクしてました?
イガリ 学生の頃かな〜。メイクをするとすぐトゥーマッチになる自分の顔をなんとかしたい、というコンプレックスが原点。どうやったらベストな頃合いの顔になるのかなって。そこから、欧米の人みたいな顔になるにはどうしたらいいのかとか、唇を分厚く見せるにはどうすべきかとか、顔のプロポーションを考える研究が始まったんです。
「3Dでメイクを考える“造形フェチ”なんです~」―― IGARI
中野 一緒! 小さい頃からメイクが好きすぎて、いろんな顔をお手本に自分にメイク。でも真似したい顔にはならず、突き詰めたところ「骨格が違うんだ」って。以来、人それぞれの顔立ちに合わせたメイクをひたすらマニアックに研究(笑)。その中で、パーツ以外の余白部分に色や影を仕込んでコントロールするように。反対に余白をあえて生み出して抜け感を出したり、好きなバランスに整えることも。
「余白コントロールで好きな顔を作ればいい」―― NAKANO
イガリ パーツを強調するメイクには限界がありますもんね。あと余白を敵視しないことも大事。
1「眉の長さや太さを自然に変えられる、繊細な描き心地」。アイブロウリキッド マイクロ 002¥2750/アディクション ビューティ 2「自分にももうずっと愛用。人中を短くするべく上唇をかなりオーバーめに描いてもバレず、1日中落ちない」。 SPステイ マットインク 70 ¥1749(一部店舗限定)/メイベリン ニューヨーク 3「髪の生え際やもみあげに自然な影を作れます」。フーミー ちっちゃ顔シャドウ ¥1980/Nuzzle
「余白こそ、メイクの仕込み甲斐がある♡」―― NAKANO
余白コントロールは自分のパーツ無視でOK
中野 パーツを強調するだけだとなりたい顔には近づけないから、私は無視。頬をリフトアップして見せたいからチークを高めに入れようとか、目を大きく見せたいからアイホールは無視してアイシャドウを目尻よりオーバーめに入れようとか、目と眉の幅を狭めたいから眉を下寄りに太く描こうとか。余白部分で調整して、好きな顔を描くようにメイクしてるの。
イガリ リスペクトしてる中野メイクの秘密が知れて楽しい~。
中野 エヘヘ(笑)。余白コントロール重視の考え方は一緒だけど、私たち、アプローチの仕方は違うものね。
イガリ 確かに、私は中野さんより立体を意識してるかも。ハイライトやシェーディングを駆使して、パーツを〝ぶんっ!〟て大きく立体的に見せたり、顔の中心を際立たせることで大顔の要因となる側面の余白から視線をずらしたり。実際のパーツや骨格は無視したコントゥアで、なりたい顔立ちや印象にカモフラすることが多いですね。
中野 イガリさんは視線を集めたい箇所を明確にするメイク、逆に私は気になる箇所に目をいかせないメイク。どちらにせよ、一度顔の中で自分がどこを活かしたいのか、目立たせたくないのかを知ることが大切だと思う。
春新色も余白を考えつつ使うとより素敵に
イガリ あと、私たち小さめの筆でメイクしてるなって(笑)。
中野 確かに! ピンポイントで調整するメイクをしたいから、大きいブラシでざっくりするメイクはNGよね。
イガリ いつだって「こう見せたいから、こう効かせる」っていう戦略的なメイクじゃないと!
中野 今季の春新色にトライする時も、余白コントロールを意識しながらメイクすれば、今っぽさもなりたい印象も叶うはず。
4「入れました感がないのが好き」。CLIO プリズム エアー ハイライター 1号 ゴールド シアー ¥2750/クリオ 5「ツヤゼロで、3色を混ぜて使うと立体的に仕上がるのが魅力」。peripera インク ブイ シェーディング 3 ¥1320/ペリペラ 6「細筆の影色リキッドライナーを眉下やアイホール、鼻、唇に仕込んで際立たせて。細部の立体感はコレ」。キャンメイク 3wayスリムシェードライナー 02¥770/井田ラボラトリーズ
「コントゥアで余白を調整するのにハマリ中!」―― IGARI
NAKANO&IGARI
いつものメイクでこっそりやってる 余白コントロール術
「最近夢中になっている余白コントロール術は、眉頭、まぶたのアイホール、涙袋、頬、鼻筋、唇などに影色をさりげなく仕込んで、パーツを〝ぶんっ!〟て目立たせていくテクニック。その際、パーツの輪郭通りに入れるというより、骨格の凹みを意識して入れるのがセオリー。とっても自然なのに、キュンとした立体小顔が完成するよ~」
「メイクをする時は実際のパーツは無視して、入れたい箇所に色をのせて余白埋め。目のサイズを広げたいからアイシャドウは目尻を超えてこめかみ側まで入れたり、唇もかなりオーバーめに。また、チークの残りを鼻下やサイドの輪郭にのせたりフェイスラインにシェーディングを。印象を和らげながら余白がぐっとミニマムに」
MAQUIA 4月号
撮影/菊地泰久〈vale.〉(モデル) Kevin Chan(物) 取材・文/中島 彩(MAQUIA) 構成/萩原有紀(MAQUIA)
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