目まぐるしく変化する社会の様相に合わせいろんな“バランス”に翻弄される私たち。メイクも肌も、美容も健康も、今の私にぴったりくるバランス感って? それは他者視線を脱したところにあるかもしれない。
\マスクオフの今こそ見つけよう!/
垢抜けメイクも好調肌も叶えるのは私だけの「最適バランス」
美容エディター
女性誌編集者を経てエディター・ライターに。多くのメディアで連載などの執筆を手がけるほか、美容企画やインタビューの活動も。近著『顔は言葉でできている!』(講談社刊)ほか、著書多数。
唯一無二の自分を見つめて美容する。
黄金バランスはその先に
「見えるか見えないか」が奪った、バランス感覚
コロナ禍になって、思いのほか、ジュエリーが売れたのだと、あるファッションエディターの女性に聞きました。誰とも会わない、どこにも行かない、だからよそ行きの服は要らない、口紅もファンデーションも要らない……、そんなムードが漂っていた最中だったので、正直、驚きました。ジュエリーは、服やメイクより、タイムレスでエターナルなものだから? 自分なりに分析したうえで理由を聞くと……、「ううん、そうじゃないの。オンラインで、顔まわりしか見えないから。画面上の自分を華やかに見せるためなんだって」。へーっ、なるほど! 面白い! 納得しながらも、心のどこかに「ざらつき」を感じた自分がいました。えっ、バランス悪くない?と。
マスクだから、見られる眉や目元のメイクには思い切り力を入れるけれど、見られないベースメイクやリップメイクは要らない。オンラインだから、見られる上半身は華やかにするけれど、見られない下半身は部屋着でいい……。「他人に向けた」「見られる自分」への意識から解放された当初は、楽になった人が多かったのかもしれないけれど、その一方で、静かにバランスが崩れていく自分に気づいていた人もまた、多いのではないでしょうか? メイクのバランス、肌のバランス、体のバランス、ひいては、心のバランス……。私たちのバランス感覚を奪った大きな要因は「見えるか見えないか」というベクトルなのじゃないか。私たちは、美しさの本質を見失いかけていたのかもしれない……。
「見られる自分=なりたい自分」が基点
外に出かける機会や人に会う機会が増えるから、そして、マスクオフで見えるから、顔の下半分のチークやリップにも力を入れる……。そんな「もう一度、見られる自分を作り直す」バランスの整え方では、逆の傾きが生じるだけなのではないか、と思います。マスクであってもオンラインであっても、マスクをオフしても直接会っても、むしろ、そういう表面的なことに翻弄されることなく、「こうありたい」という本質に戻ること、「こうなりたい」という像を定めること。自分軸をぶれないように力強く、でも、ずれないようにしなやかに。その美しさこそが、本物なのだから。
奇しくも、この秋、「自分自身」にフォーカスした美容が目白押しです。持って生まれた肌質や骨格を生かすベースメイク。形や立体感を際立たせるアイカラーにアイケア。肌そのものが持つ力を最大限に引き出すエイジングケア……。さあ、今こそ、あなただけの黄金バランスに出会うべきとき! 垢抜けメイクも好調肌も、個性の先にあります。
MAQUIA9月号
撮影/酒井貴生〈aosora〉 ヘア&メイク/paku☆chan〈Three PEACE〉 スタイリスト/黒崎 彩〈Linx〉 文/松本千登世 構成/山下弓子(MAQUIA)