キャリアも私生活も悩みは尽きないし、世界情勢だって心配。風の時代を生きる私たちを取り巻く環境は、平穏とは言い難いもの。だからこそ、せめて心の内だけはいつもピースフルに。曇った心を晴らす前向きなヒントを集めました。まずは、各分野の専門家に「メンタル」について聞いてみました。

心 ヒント 専門家 メンタル

日々、モヤモヤはあるけれど…

心を穏やかに保つヒント100Book

[第1章]
各分野の専門家に聞きました!
そもそもメンタルって何ですか?
漠然と心に関連するものとは思っていても、実はその定義は曖昧。問題に向き合う前に、まずはメンタルの実態を掴むところから。

精神医学的には…

福永伴子先生

精神科医

福永伴子先生

ともクリニック浜松町院長。著書は『お医者さんと一緒に解決 わたしのココロにしてあげたいこと。』(朝日新聞出版)など。

01 メンタル=「精神的な」という意味。
日本では「心」のこと
も含めてとらえることが多いです
「フィジカルが“身体面”や“身体的な”という意味に対し、メンタルは“精神面”や“精神的な”を指す言葉。日本では、精神面のことや、心のことまで幅広く使われることが多いですね」(福永先生・以下同)

02 コロナ禍で閉塞感やうつっぽさ、
落ち込みなどを
感じる人が増えています
「コロナ禍で増えたメンタルの不調は、人と会う機会が減ったことからくる閉塞感や、うつっぽさ、落ち込み、不安感などです。そのことを誰に相談していいかわからず、困っている人も多いようです」

03 生活に支障が出る状態が
2週間続いたら心の病気を疑って
「メンタルの不調が病気かどうかを自分で見極めるのは難しいですが、不調が2週間続いたり、生活に支障が出たりするなら迷わず精神科や心療内科へ。病気とわかった場合でも治療が可能です」


女性医学的には…

高尾美穂先生

産婦人科医

高尾美穂先生

イーク表参道副院長。わかりやすい解説で大人気。著書は『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)など。

04 女性ホルモンの観点から生理がある世代、産後、
更年期はメンタルが不調になりやすいです
「女性ホルモンのエストロゲンには抗うつ作用があり、分泌量が減る産後と更年期にはうつになりやすい傾向が。また、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが大きく変動する生理前もメンタルが不安定に。生理がある世代は常にメンタルの不調は出やすいといえます」(高尾先生・以下同)

05 マキア世代に多いメンタルの不調は、
仕事や恋愛、結婚、妊活
などの悩みからくるストレスが原因
「マキア世代に多いメンタルの不調原因は、婦人科的な観点からは生理前のPMS(月経前症候群)。それ以外では、仕事や恋愛、結婚、妊活など悩みが多い世代なので、そうした悩みからくるストレスが多いです」

06 メンタルの状態が悪いと、
生理周期の乱れ、胃腸のトラブル、不眠など体にも不調が
「心身一如(しんしんいちにょ)という言葉があるように、心と体は一体なので、心の不調は体の不調を招きます。メンタルの状態が悪いと生理周期が乱れたり、下痢や便秘などの胃腸のトラブルが起きたり、不眠になることも」


脳科学的には…

加藤俊徳先生

脳内科医

加藤俊徳先生

「脳の学校」代表・加藤プラチナクリニック院長。脳画像の研究の第一人者。脳番地トレーニングメソッドを開発・普及。

07 メンタル=脳の状態のこと。
脳は心よりも自分を知っています
「これまで感情の動きは、心やメンタルの働きとされていました。しかし脳科学の発達により、心やメンタルだと思っていたことが、脳の働きで説明できるように。脳の仕組みを知り、自分を意識することで、心をコントロールできます」(加藤先生・以下同)

08 脳から心を理解するには、
脳の8つの分野の働きを知ることから
「脳は全身に神経線維を張り巡らせ、情報をやり取りしています。そこで、同じような働きをする神経細胞の集まりを“脳番地”とし、機能系統別に8つに分類。たとえば、感情系番地が弱いと、人に会うことが苦手になりますが、自分自身を磨く工夫をすると克服できます。脳を知れば、自分を変えていくことができます」

脳の8つの分野の働き

もっと広い視点からは…

大愚和尚

佛心宗大叢山 福厳寺住職

大愚和尚

慈光マネジメント代表。慈光グループ会長。YouTubeでのお悩み相談番組『大愚和尚の一問一答』は登録者数43.3万人にも上る。

09 周りの目が常に気になってしまう人は、
「自分の意識」にビクビクしているとまずは気付きましょう
「食物連鎖の下にいる草食動物は常に周りを警戒しないと命の危険がありますが、人間の場合はそうではないので、周りの目を気にしてビクビクするのは滑稽なこと。実は自分の意識にビクビクしていることに気づけば改善しやすくなります」(大愚和尚)

中川 愛さん

Blossom the Project代表

中川 愛さん

メンタルヘルスや社会課題をパーソナルな視点から発信するソーシャルメディアを運営。現在、アメリカの大学で政治学を学ぶ22歳。

10 セルフラブ。
自分に感謝をすると自分を受け入れられるように
「心の孤独感を埋めるのにすべてを頑張りすぎて17歳でうつ病に。その経験から、大学ではメンタルヘルスの認知度を高める活動に取り組んだところ、自分への感謝が大切だと気付きました。素の自分を受け入れると自信に繋がります」(中川さん)


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イラスト/maegamimami 取材・文/藤井優美〈dis-moi〉 和田美穂 構成/火箱奈央(MAQUIA)

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