ジメジメした雨が続くこの季節には、笑える映画でスカッと気分転換するのがオススメ。まずはフランス映画らしいエロスとコメディセンスが光る、大人向けの傑作コメディを紹介します。
同情しつつもなぜか笑える!?
ツイてないヒロインの
ピリッと辛口な痛快コメディ
★今回のオススメ新作映画★
『ボヴァリー夫人とパン屋』
監督/アンヌ・フォンテーヌ 出演/ファブリス・ルキーニ、ジェマ・アータートン、ジェイソン・フレミング、ニールス・シュナイダー 公開/7月11日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー ©2014 - Albertine Productions - Ciné - @ - Gaumont - Cinéfrance 1888 - France 2 Cinéma - British Film Institute
〈ストーリー〉
パリの出版社を退職し、ノルマンディー地方にある故郷の小さな村で家業のパン屋を継いだマルタン(ファブリス・ルキーニ)は、同じくノルマンディー地方を舞台にしたフローベールの小説「ボヴァリー夫人」をこよなく愛する文学好き。ある日向かいに越してきたイギリス人夫婦の姓がボヴァリーと知り大興奮! 小説さながらに奔放な妻のジェマ(ジェマ・アータートン)から目が離せなくなる……。
炸裂するパン屋の
妄想はツッコミ
どころ満載!
【松山 梢の女子ツボPOINT!】
人妻が若く美しい青年と不倫をするお話。
こんなありふれたテーマなのに、「家政婦は見た」ばりにヒロインの日常を覗き見するパン屋のおじさんの視点を加えることで、最高にチャーミングで笑えるコメディに仕上げたフランス映画です。
ただし隣の奥さんと小説の主人公を重ね合わせて壮大な妄想を繰り広げ、ねっちょりとした視線を送るおじさんには何度キツめのツッコミを入れたくなることか……。
演じるファブリス・ルキーニの名演は見事ですが、不倫に走るヒロインを止めようと真顔でテレパシーを送る姿は、ぎりぎりアウトです。
ヒロインの
高度なモテテクを
見逃すな!
さて、そんなおじさんの妄想を暴走させてしまうヒロインのジェマですが、パン屋や夫はもちろん、不倫相手となる美しい年下の青年や元カレに至るまで、とにかく男にモテまくります。
その理由は“隙”。
着古したなんでもないカットソーからのぞく下着の肩紐や、豊満なボディを想起させる肉を拾う薄手のワンピース。
さらにふとした瞬間に見せる呆けた顔や、もっちりと発酵したパンをこねる様子がなんともエロい!
「媚び」や「計算」と捉えかねられない行動をナチュラルに見せられるのは、女性監督ならでは。
「取り立てて美人でもない平凡でつまらない女」とパン屋の妻から評されるようなフツーっぽさが、男たちを何よりも安心させて惹き付けるのだということを教えてくれます。
ひねりの効いた
ラストシーンが
最高におしゃれ!
ヒロインのハラハラする不倫や後半に向かって加速するサスペンス的展開、パン屋の呆れる妄想など見どころはたくさんありますが、最大の注目ポイントはラストシーン。
思わぬ悲劇に見舞われるヒロインの運命に唖然とし、同情する観客の重い心をスッと晴らす、ちょっと不謹慎で毒っ気のある結末が最高におしゃれ!
一筋縄ではいかない、フランス映画らしいひねりの利いた辛口な展開に、きっとエンドクレジットでニヤニヤが止まらなくなるはずです。
★次回は…
〈映画ライター/松山 梢〉
映画のヒロインに感情移入することでかろうじて「女」であることを維持している、三十路まっただ中のライター松山 梢です。自分に足りない女っぷりを向上すべく、そして美意識の高いマキアオンライン読者の女っぷりをさらにアップさせるべく、愛すべき女子向け映画&ドラマを紹介していきます!
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