どれだけ出会いがロマンチックであろうと、結婚して一緒に生活してしまえば永遠に続く日常の連続。犬も食わない熾烈な夫婦ゲンカをどう収めるのか、大人の男の対処法に注目です!巧妙な会話劇がたまらない。夫婦の深い愛情を描いた作品をご紹介します!
女のヒステリーをなだめる
ほとけ系夫の
華麗なケンカ解決術!
★今回のおうちでシネマ★
『ビフォア・ミッドナイト』
監督/リチャード・リンクレイター 出演/イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー ¥1,429/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント ©2015 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
〈ストーリー〉
列車の中での運命の出会いを描いた『恋人までの距離(ディスタンス)』、それから9年後のパリでの再会を描いた『ビフォア・サンセット』に続くシリーズ第3弾。フランス人のセリーヌ(ジュリー・デルピー)とアメリカ人のジェシー(イーサン・ホーク)が出会ってからすでに18年が経ち、結婚(正しくは事実婚)してすっかり中年になった2人がギリシャでひとときのバカンスを過ごす様子を描く。
倦怠期カップルは
パートナーとご一緒に。
愛を続けるトリビアが満載!
【松山 梢の女子ツボPOINT!】
ウィットに富んだ怒濤の会話劇が人気のこのシリーズ。冒頭からお互いの仕事や家族についてのおしゃべりがテンポ良く繰り広げられ、結局は夫婦ゲンカに発展!
彼らがついに結婚したこと、さらに双子の娘までいることの喜びに浸る余韻は、一瞬たりとも私たち観客に与えられません。
映画史に残るロマンチックな出会いをした彼らがすっかり馴れ合いの中年夫婦になったという現実を、淡々とした日常会話によって突きつけるあたり、さすがのひと言です。
ロマンチックな旅先あるある…
ちょっとしたきっかけで
大ゲンカに発展!!
さて、注目はバカンス先のホテルで繰り広げられるケンカシーン。久々にいい雰囲気になった夫婦水入らずの夜なのに、不満が爆発してしまいます。
夫が小説を書いている間、子育てや家事に追われ、夫と前妻との間に生まれた息子とも良好な関係を築こうと努力し、環境問題に取り組むキャリアウーマンとして懸命に働いてきたセリーヌの言い分は痛いほどわかる。
わかるけれど、その出で立ちが何ともマヌケ。あわやベッドインという所でケンカが始まってしまったため、セリーナはたるんだおっぱい丸出しで怒り続けるのです。
さらに本題とは関係ない過去の浮気疑惑まで持ち出して癇癪を起こし、ふてくされて部屋を飛び出してしまう姿を見て「あるわ~」と膝を打つ女子も多いはず。
夫婦円満の秘訣は…
妻を立てる
ほとけ系夫の懐の深さ!
仲直りする手だてを完全に失い引くに引けなくなった女は、もうこの時点で相手が折れてくれることを待つしかありません。そう、劇中でも夫のジェシーが折れます。
ただしその方法がなんともステキ! たとえ土俵際まで追いつめられようと、出会った頃を思い出させるというロマンチックな決まり手で華麗に勝負を決めるのです。
妻の言い分を受け入れ、なだめ、「愛されている」と安心させる。ここまで完璧なほとけ系夫がいるでしょうか!?
いい具合におじさんになったけど、「やっぱイーサン・ホークっていい男!」と好感度が急上昇します。
ただしすべての男性がそうとは限りません。
セリーナのような弁の立つ勝ち気な女性ほど、現実世界では相手を追いつめすぎず逃げ道を残すのが、夫婦円満の最もシンプルで重要な方法なのかもしれません……。
監督/リチャード・リンクレイター 出演/イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー ¥1,429/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント ©2015 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
最高に優しくて最高に包容力のある、まるで悟りを開いた“仏様”のような、
ほとけ系男子と恋に落ちる珠玉のラブストーリーをご紹介!
〈映画ライター・松山 梢〉
映画のヒロインに感情移入することでかろうじて「女」であることを維持している、三十路まっただ中のライター松山 梢です。自分に足りない女っぷりを向上すべく、そして美意識の高いマキアオンライン読者の女っぷりをさらにアップさせるべく、愛すべき女子向け映画&ドラマを紹介していきます!