数々の舞台や映像作品に出演し、進化を続ける生田絵梨花さんが新たに挑むのは、シェイクスピアの名作。まっすぐで、不器用で、愛に正直なコーディリア役と向き合う生田さんの言葉には、素直さと芯の強さがにじみます。

生田絵梨花 乃木坂46 マキア

生田絵梨花

生田絵梨花さん

1997年1月22日生まれ。ドイツ・デュッセルドルフ出身。2011年、乃木坂46の1期生として活動を開始し中心メンバーとして活躍。卒業した現在は女優として多数の映画やドラマ、ミュージカル作品に出演。10月9日から上演される舞台『リア王』にリアの三女コーディリア役で出演する。

大先輩たちと交流を重ねながら役を作り上げていきたい

生田絵梨花 乃木坂46 マキア インタビュー

——ミュージカルの舞台経験が豊富な生田さんですが、ストレートプレイは初挑戦とのこと。どんな気持ちで臨まれていますか?

生田さん:ミュージカルは大好きでこれからもずっと、許される限り舞台には立ちたいとは思っていますが、それと同時に、会話を中心としたストレートプレイにも挑戦したいと思い続けてきました。大竹しのぶさんや宮沢りえさんなど錚々たる先輩と一緒に舞台に立てるのはとても光栄ですし、緊張もしています。

ミュージカルには、音楽が物語を引き立ててくれる力があります。演じている私だけでなく、観客の皆さんも、音楽や歌に心をのせて一緒に感じてくれる。でも今回は歌がないので、純粋に言葉と演技だけで感情を伝えなくてはならないですよね。それが一番の試練かもしれません。

——試練やプレッシャーを感じると燃えるタイプでしょうか?

生田さん:そうですね。目の前の困難には立ち向かいたいタイプではあるんですが、いまは楽しみと不安が入り混じった心境です。稽古を重ねていくなかで、楽しみのほうが増していけばと思っています。

頼もしい先輩方とご一緒するので、“自分一人で何かを背負わなきゃ”とか“新しい自分を見せなきゃ”といった気負いはありません。むしろ共演者の皆さんとのやり取りのなかから生まれる瞬間を、観ていただけたら嬉しいです。

コーディリアと父リアの関係は、この物語の中でも特に重要な要素。だからこそ、大竹しのぶさんとじっくりコミュニケーションを取りながら役を深めていけるのが楽しみです。大竹さんの立ち姿や気配に触れるだけでも、多くを学ばせていただけそうです。

生田絵梨花 乃木坂46 マキア 横顔

気持ちを伝えるのは苦手。相手を驚かせてしまうことも!

——生田さん演じる三女・コーディリアは正直なゆえに、父であるリア王の怒りを買い、悲劇へと巻き込まれていきます。この役にご自身と重なる部分はありますか?

生田さん:リア王は、娘たちを集めて自分に対する愛を述べろと命令します。姉たちは、褒美である土地や権力欲しさに心にもない言葉を並べて父を喜ばせようとしますが、コーディリアは実直ゆえに言葉が出てこない。

でもそれって愛していないわけではなく、本当に大事にしているから。彼女のなかなか思いを言葉にできないところは、自分と似ているかもしれません。相手が喜ぶ言葉を伝えるのは苦手でも、言葉よりも先に行動で示す姿には信念を感じます。

生田絵梨花 乃木坂46 マキア ポートレート

——気持ちを言葉で伝えるのは苦手ですか?

生田さん:そうなんです。節目ではきちんと言葉にしたいという気持ちはあるんですが、コーディリアと同じように私もとても不器用なので、伝えるのに時間がかかってしまったり、伝え方が変になってしまったりもします。

急に感謝を伝え始めることもあるので、相手には「どうした!?」と思われることも(笑)。手紙とかをさらっと書けたらかっこいいんですけどね。要領は悪いのですが、諦めずにやっていきたいです。

——親子の絆や裏切りなど、『リア王』には普遍的なテーマが込められていますが、今を生きる私たちが共感できる部分はどういうところだと思いますか?

生田さん:誤解によって生じてしまうすれ違いに、もどかしさと人間らしさを感じました。現在は情報が溢れているので、様々な意見を調べることもできるし、あらゆる角度からの価値観に触れられますが、昔は違いますよね。なので言い方ひとつで、ひずみが生まれていく。

先入観だけで決めてしまうと真実には辿り着けないことを改めて気づかせてくれる物語でもあります。噂話は正しいかわからないから、やっぱり自分の目で、耳で確かめる必要がある。現代に通じるテーマを400年以上前から描いているシェイクスピアってすごいなと改めて思いました。人間本来の弱さや勝手も描かれているので、この作品に臨む私自身も丸裸にされてしまいそうな気がしています。

Bunkamura Production 2025
DISCOVER WORLD THEATRE vol.15
 『リア王』
NINAGAWA MEMORIAL

舞台 リア王 大竹しのぶ

作:ウィリアム・シェイクスピア
上演台本・演出:フィリップ・ブリーン
出演:大竹しのぶ、宮沢りえ、成田 凌、生田絵梨花、鈴鹿央士、
西尾まり、大場泰正、松田慎也、和田琢磨、井上 尚、吉田久美、比嘉崇貴、青山達三、
横田栄司、安藤玉恵、勝村政信、山崎 一ほか

東京公演:2025年10月9日(木)〜11月3日(月・祝)THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
大阪公演:2025年11月8日(土)~16日(日)SkyシアターMBS

ドレス¥215600/VICTORIA BECKHAM(イーストランド 03-6231-2970) シューズ¥9900/CHARLES & KEITH(チャールズ&キース ジャパン https://charleskeith.jp/) イヤリング¥15400、リング(ミックス)¥22000、リング¥12100/TEN.(092-409-0373)

撮影/佐藤俊斗 ヘア&メイク/富永智子 スタイリスト/有本祐輔 取材・文/高田真莉絵

公開日:

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