絶賛公開中の映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の主人公・竈門炭治郎役を演じる声優の花江夏樹さんが、MAQUIAオンラインに撮りおろし初登場。シリーズを重ねるごとに進化を遂げる炭治郎や映画の魅力とは? 声優として第一線で活躍し続ける花江さんが、炭治郎と歩んだ10年間の深化、そして作品への向き合い方を深く掘り下げます。サイン入りチェキのプレゼントも!(応募締切:2025年10月17日)

花江夏樹が魅せる、炭治郎の境地と成長

——初期は呼吸を使いこなすのに必死だった炭治郎。今回の戦いでは水の呼吸とヒノカミ神楽を使いこなし、強敵に挑む。長年演じてきたからこそ感じる、炭治郎の「深化」についてお聞かせください。
花江さん:そうですね、炭治郎は心も体も成長しているなと感じます。
初期の頃は、鬼と戦うのも必死で、感情的な叫びも多かったり、ヒノカミ神楽を使うだけで呼吸が乱れたりしていました。でも、今はもう使いこなせるようになっていて。呼吸も、前までは“全力の叫び”に近いような技だったのが、今回はすっと技を出せるように。
彼の基礎的な練習や努力が積み重なっているのを感じたので、僕も演じる上で、感情に任せるのではなく、静かに、でも強い意志を込めるということを意識しました。
仲間との絆も深まり、周りとのやり取りで、年相応の顔が垣間見えるのも彼の魅力です。戦いを通して「覚悟」がどんどん強くなっているのがわかるので、その精神的な変化が自然と声にも表れているのかな?と思っています。
——今作を、実際に劇場でご覧になったそうですね。完成した作品をご覧になった感想、劇場ならではの熱気や空気感はどのように感じられたかを教えてください。
花江さん:いや、もう、「劇場で観てよかったな」って心から思いました。より大きいスクリーンで観たくて、IMAXの大きなスクリーンに足を運びました。ちょうど真ん中の席が取れて、いい席で観ることができたのもよかったですね。
完成する前の映像も観ましたが、その時もすでにすごかったんですが、今回完成版を観たら、いやもう、なんていうか、言葉にできないくらいすごかったですね。
特に、キャラクターたちのシーンとか、冨岡義勇と猗窩座の戦いとか、まだ色が付いていない部分もあったので、「すごいことになるんだろうな」と思っていたら、想像をはるかに超えていました。
炭治郎の成長は、声にも出ていると思います

——炭治郎は猗窩座との戦いの中でこれまでよりレベルアップした姿が見受けられましたが、演じられるにあたり表現を変えたことなどはありますか?
花江さん:今回の『無限城編』の戦いでの炭治郎を表現するために、演じ方も変えたんです。以前は感情的な叫びや勢いを重視していましたが、入った後は心と体を研ぎ澄まし、冷静になることを意識しました。
声のトーンを抑えめに、内なる決意を込めてセリフを発するように。この変化で、炭治郎が力任せではなく、相手の動きを見れるようになったことが伝わったら嬉しいですね。
——今回の映画では猗窩座のこれまでが描かれています。物語をどのように受け止められましたか?
花江さん:猗窩座の過去を知ってから、炭治郎としても、演じる僕としても、猗窩座に対する感情は大きく変わりました。
演者としては、ただ「悪」として戦うのではなく、彼の背景にある人間性を意識しました。
——義勇と炭治郎の戦闘シーンは、二人の絆を感じさせる名場面です。このシーンを演じるにあたり、特に意識したことはありますか?
花江さん:冨岡さんとのシーンは、やはり特別でしたね。最初に会った鬼殺隊士が冨岡さんで、そこからいろんなことがありましたから。
戦闘シーンでは、炭治郎が冨岡さんにただ追いつくのではなく、対等な立場でぶつかっていく気持ちを意識しました。
冨岡さんは多くを語らない方なので、炭治郎のセリフも、ただ感情的にぶつけるのではなく、「俺はもうこんなに成長しましたよ」というのを見せるように、セリフの裏に強い意志を込めていました。
冨岡さん役の櫻井孝宏さんとの掛け合いも、本当に楽しかったです。櫻井さんが冷静で力強いお芝居をしてくださるので、僕も思いっきりぶつかっていけました。二人の絆が、言葉ではなく、剣と剣のぶつかり合いで表現できたのではないかなと思います。
——猗窩座との壮絶なバトルシーンを演じるにあたり、猗窩座役の石田彰さんとの掛け合いで、特に印象的だったことがあれば教えてください。
花江さん:猗窩座との戦いでは、石田さんの演技が圧倒的で、僕も炭治郎として負けられないっていう気持ちで、全力でぶつかっていきました。互いの熱量をぶつけ合うことで、よりリアルで迫力のある死闘になったんじゃないかなと思います。
実は、石田さんはアフレコの時に、マイクの前で実際に体を動かしながら演じていらっしゃったんです。「凄いなあ」と思うと同時に、そのおかげで僕も炭治郎として、全身全霊で立ち向かうことができました。石田さんのことは声優として本当に尊敬していますし、一緒にあのシーンを作れたことは、僕にとって大きな財産になったと思います。
炭治郎は、僕の心を支えてくれる存在

——これまで炭治郎を演じてきて、もっとも印象に残っているバトルシーンは?
花江さん:強く心に残っているシーンの一つは、遊郭編での堕姫との戦いです。あの時、炭治郎は追い詰められながらも、煉獄さんの“心を燃やせ”という言葉を思い出して、前に進む力を振り絞るんですよね。読んでいても胸を打たれる場面でしたし、演じるうえでもその覚悟や必死さをどう声に乗せるか、すごく大事にしたシーンでした。
炭治郎って、ただ技を繰り出して戦うだけではなく、家族や仲間、亡くなった人たちの想いを背負って戦うキャラクターなので、その心の叫びをどう表現するかが常に課題でもあり、やりがいでもあります。
あの戦いではまさにそうした“炭治郎の根っこ”の部分が描かれていたので、強く印象に残っています。同時に、戦いを通じて彼が大きく成長していく瞬間を演じられたことが、自分にとっても大きな経験でしたし、観てくださる方にも炭治郎の覚悟が伝わればいいなと思いながら収録に臨みました。
——日常の生活で“今の自分、炭治郎っぽいかも?”と感じる瞬間はありますか?
花江さん:炭治郎は僕の心を支える大切な存在です。演じているからというのももちろんあるんですけど、彼の頑張っている姿やセリフから、すごいパワーをもらっていて。自分が大変なときや辛いときに、心の支えになってくれるキャラクターなので、「出会わせてもらえてよかったな」と心の底から思います。
日常生活で「自分、炭治郎っぽいな」と感じることはあまりないんですけど、例えば仕事でめちゃくちゃ疲れたり、「あー、また大変だな」と思ったりした時に、炭治郎が鬼を倒すために修業を頑張っているのを思い出すと、「自分ももっと頑張れるんじゃないかな」と思えるんですよね。
実際に似ている部分はそんなにないかもしれないですけど、そういうメンタル的な部分ですごく支えられています。
——無限城編は三部作と発表されましたが、演者としてどのような心境で臨まれていますか?
花江さん:最初に三部作になると聞いた時は、正直「あのボリュームを三部で収められるのかな?」というのがいちばんの疑問でした。
『鬼滅の刃』は、どの場面もとても重要だし、吾峠呼世晴先生のセリフ回しも綺麗なうえ独特です。だからこそ、今回映画という形でしっかりと描いてもらえることに嬉しくなりましたね。

1991年6月26日生まれ。神奈川県出身。類稀な表現力と、少年から青年、穏やかなキャラクターから狂気をはらむ役柄まで幅広く演じ分ける実力派声優。代表作は、アニメ『鬼滅の刃』竈門炭治郎役、『ダンダダン』オカルン<高倉健>役、『東京喰種トーキョーグール』金木 研役、『四月は君の嘘』有馬公生役などがある。第14回声優アワード主演男優賞を受賞。
INFORMATION

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』公開中
鬼殺隊、無限城へ。決戦が今、始まる
炭治郎と柱たちは、鬼舞辻無惨の策略によって無限城へと落とされた。突如として現れた上弦の鬼・猗窩座との再会は、炭治郎に新たな死闘を強いる。
本作では、壮絶なアクションシーンはもちろん、、様々なキャラクターの過去も描かれることで、物語はさらに深いテーマへと進んでいく。キャラクターたちの成長と、悲劇が交錯する、『鬼滅の刃』の物語の核心に迫る。
鬼殺隊の命運を賭けた、壮大な最終決戦の幕開けで、三部作のうち第一部の今作。炭治郎と上弦の参・猗窩座の戦いの行方とは。
撮影/nara〈vale.〉 スタイリスト/村田友哉(SMB International.) ヘア&メイク/加藤 ゆい(Hair&Make-up fringe) モデル/花江夏樹 取材・文/佐藤 梓 構成/奈良彩花(MAQUIA)
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