柔らかなムードに潜む凛とした意思、つかもうとするとはらりといなくなってしまいそうな儚い雰囲気。そんな唯一無二の魅力に溢れる俳優・有村架純さんが思う、仕事、美容とは? ナチュラルなハッピーオーラあふれる最新メイクのポイントも解説します。


1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。2010年、『ハガネの女』でドラマ初出演。数々の話題作に出演し、2021年公開の映画『花束みたいな恋をした』で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。来年公開予定の映画『ブラック・ショーマン』への出演が決定。
【有村架純さんインタビュー】有村架純を彩るHer Favorites
【仕事】演じることで、人生が豊かになる。だから、俳優のお仕事が好き

「ひとりでは歩むことのできなかった人生が今、すごく楽しい」Kasumi Arimura
「俳優になりたくてオーディションを受けて、兵庫から出てきたのが17歳だった約15年前。デビュー当時は大人たちとどう会話したらいいのかさえわからなくて心が何回も折れましたが、ちゃんとこの仕事を好きになりたかったし、なろうとしました。実際、それで好きになることができたから、今がある。正直、どんな役も最初はできる気がしないと思うくらい苦しんで、悩むんです。それでも楽しみにしてくださるファンの方や、信じてくださる人たちに返していきたいっていう思いを胸に演じ、手応えを感じることができたらすべてがちゃらになるというか……良かったことしか思い出せなくなるんです。そうやって芝居で苦しんで、芝居に救われての繰り返しですが、気持ちを共有できる共演者や監督さんの存在がいつも大きな心の支えですし、役を通していろんな人生を経験させてもらえるのは、有村架純ひとりでは成し得ないことですよね」
【美容】やっぱり睡眠は素晴らしい。今、すこぶる調子がいいんです
「Netflixシリーズ『さよならのつづき』の撮影でニュージーランドロケが約1カ月あったんですが、聞いていた通りの紫外線の強さでびっくり。思い切り肌がくすんだし、揺らいで痒みが出てしまったこともありました。そこで、日本に帰ってきてからハーブピーリングでターンオーバーを促進したりして、リセット。生活習慣も早寝早起きに戻したら、クマも薄くなってすこぶる調子がよくなりました。ゴールデンタイムと言われる時間に深い眠りにつくことは本当に大切なんだと、今すごく実感しています。また、バリア機能を強化して揺らぎに負けない肌になりたくて、保湿もしっかり。インナーケアとしてビタミン類も摂るようにしています。食事もデリバリーが続くと体が重くなってしまうので、家で食べるときはおさぼりする日もありますが、基本は自炊です」
【場所】地元には、好きな場所がたくさん。大きな池のある公園、懐かしいな

「上京する前は、兵庫県の大阪寄りの場所に住んでいたので、遊びに行くのはいつも大阪だったんです。だから今も仕事で大阪の方に行くととても落ち着くし、懐かしい気持ちになります。
地元にはすっごく大きな池がある公園があって、そこで子供の頃はよく蝉取りをしていましたね。自転車通学だった高校生の頃は、帰りにその公園に寄ってピクニックしながらお友達とおしゃべりして。私は高校2年生の時に東京の学校へ編入したんですが、兵庫の高校最後の日に、1年早い卒業式をクラスのみんながやってくれたんです。その時にもらった手作りの卒業証書は大切な宝物。地元の友達とは今も連絡をとっています。握手会にも来てくれるくらい、近しくて大事な存在です。
東京でお気に入りの場所は、一人でも入れる喫茶店。放っておいてくれているかのような雰囲気のそのお店が好きで、コーヒーを楽しんだりぼーっとしたり、ひたすら静かな時間を楽しんでいます」
【言葉】「もっと普通にやって」その言葉が、今の自分に繋がっている
「映画『ストロボ・エッジ』に出演したとき、少女漫画が原作だったので、自分なりにイメージしたちょっとキャラクターっぽい感じで台本読みをしたんです。そうしたら、廣木隆一監督に『余計なことをしなくていいから、もっと普通にやって』と言われてしまって。それまでの私は“外側”を作ることに必死になって、削ぎ落とす作業には目もくれなかった。演じるってそういうことではなくて、もっともっと深いところにあるということに、初めて気が付いたんです。でもそれで普通にやろうとすると、役じゃなく自分自身になってしまったりして、そのあたりのアプローチの仕方には、当時すごく悩みました。どんなにごまかそうとしても、観ている人にはバレてしまう。監督にはたくさん怒られたぶん、役者として何より大切なことを学ばせていただきました。『気持ちがあれば目から伝わるから、余計なことはするな』と言われたことも、今の自分のお芝居の基盤になっています」
大切な人を想いながら、大切な人と観てもらいたい、そんな作品ができました

「はっきりとした意思を持っている方に出会うと、カッコいいといつも思ってしまう。言葉に嘘がなくて深い愛をくれるような気がして、近づいてみたくなるし、好きだなと思うんです。『さよならのつづき』の登場人物は、まさにそんな設定の役柄が多かったように思います。私が演じたさえ子は、私と同じようにいわゆる“中堅”の立場で、そこに至るまでの経緯や将来への心構えなど共感できるところが多くありました。このドラマは、観てくださる方によって感じ方がすごく違うと思います。でも愛されたことや愛したことはずっと記憶に残り続けていく、そんなストーリーなので、きっとすべての皆さんがご自身の人生と重ねて観ていただけるはず。それぞれが過去にあった出来事や過去に想った人たちを思い直せる、そんな作品になっていればいいなと思います」
Netflixシリーズ 『さよならのつづき』公開中

Netflixシリーズ 『さよならのつづき』(Netflixにて独占配信中)。有村さんは、プロポーズされたその日に恋人を交通事故で亡くし、悲しみに打ちひしがれながらも、前を向いて歩きだす女性・さえ子役を熱演。
【有村架純さんインタビュー】たおやかな美の理由
「たおやか」
2010年に17歳でデビュー。現在30歳。佇まいも透明感も以前とまるで変わらないように思えるけれど、「みなさんと同じように、ふつうに歳を重ねていますよ」と笑う。

「しみもできるし、目尻のしわも増えましたよ。10代や20代の頃の肌質が懐かしいなと思うこともあります。でも人間って、そうやって歳を重ねていくものだから、そこに抗おうとすると違和感が出ちゃうかなと思うんです。なるべくゆるやかにエイジングしていくにはどうしたらいいのかということを、40代に向けて考えていこうと思いつつも、経験や人生観が深まるので、歳を重ねていけるのがすごく楽しい。学びも多いし、色んな人とこれまで話したことのないことを話せるようになったり。自然の流れの中で、ちゃんと学びをもらっているなという実感があります」
「心地よさ」
話題のドラマや映画にコンスタントに出演し続けている有村さん。忙しい日々を駆け抜けるためにも必要なことは、「食生活の見直し」に尽きるという。「息を抜ける時間を持って生活するということをきちんとしていかないと、と気づいたのは、実は1~2年前のこと。仕事を始めて10年以上、ただひたすらそのことだけ考えて、自分自身について気にかけたり、心の声を聞くことが疎かになっていました。仕事が少し落ち着いたタイミングで自分に向き合って、今何がしたいのかと問いかけた結果、日に一度はキッチンに立つようにしようと決めて、2021年の秋くらいからほぼ毎日自炊するように。30歳を迎えて疲れや不調、免疫の低下など今まで気づかなかったことをひしひしと感じるようになりました。これを食べると体がむくむとか、ビタミンを摂りたいときはこの食材とか、そういう豆知識的なものを取り入れつつ、ちょっといい調味料に頼ってみたり。食を通して興味の幅がものすごく広がったことも嬉しい発見でした」
「心=からだ」
「健康第一だなと思って始めた自炊ですが、不思議と心も整っていって。体と心は繋がっていると改めて実感することができました。どうしてここまで大きな心の変化があったかというと、20代後半までの私はむくみがひどく、食べたいものをずっと我慢していたんです。それを食べるとよけいむくみがひどくなると思うと、止めておこう、といつも思っていたし、タンパク質だけは食べてもいいよね? という感じの生活でした。今思えばですけど、演技のお仕事は、朝現場に入って泣いたと思ったら、夜は怒って、その後は笑っている、という感じで、感情が入り乱れすぎている(笑)。気づかないうちに自分自身のバランスも崩れてしまって、体全体、筋肉も血管もキュッと締まって滞りを感じていたんだろうなと思うんです。今は食べたいもの、例えば、本当は大好きなお米なんかもちゃんと取り入れながら、タンパク質も野菜も、発酵食品も。

そういったものをいただくだけで、ギスギスしなくなり、余計なストレスもなくなりました。食生活がいかに大切かを実感できたし、いい感じなんです。忙しさにかまけて自分を疎かにしていた20代を、やっと卒業できた気がするので。心地いいし楽しいです」
「メイクとわたし」

作品に出演するときは、さほどメイクをしないことが多い、という有村さん。「メイクを濃くしないのは役の幅のことを考えると、困るなと思うこともあるんです。映画『3月のライオン』で気性の激しい女性の役を演じたときは、監督さんから“目尻に濃くアイラインを入れてほしい”という要望があったんですけど、私は濃すぎる目元は自分に似合わないなと思ってしまう。そんなもどかしさが作品ではわりとよくあって。そういう意味で言うと、私の外見的な要素で役を選んでしまう場合もあるのかもと思っているし、いろんなメイクが似合う方っていいなーと思っています。変えられない自分。変える勇気がない自分。外見にあまり変化がないからこそ、芝居で見せなきゃいけないっていうプレッシャーはいつもあるし、むしろそう自分に課しているのかもしれません。目の表情で、“伝われー”と思いながらやっています」
「フラットでいる」

静かながら芯が強い。目が離せなくなるような吸引力を持つ有村さんですが、その理由は?
「そう言っていただくこともすごく多いのですが、自分的には“フラットでいたい”という思いが強いかも。昔は、流れに身を任せて生きてきました。学生の頃は特に。何を言われても“いいよー”っていう感じで、“自分の意思、ないのかよ!”って言われる人だった。そんな私が変われたのは、この仕事をするようになってから。事務所の社長に言われたんです。“いつもそんな感じだとなにも残らないよ”、“自分という人がどうあるべきか。それが、全部仕事に繋がるんだよ。自分自身のことを知らなければお芝居はできないよ”と。それからというもの、役者という仕事や演じる役柄とじっくり向き合って、冷静に自己分析することを大切にしてきて、それが今に繋がったんだと思います。でも、自分でちょっとダメだなと思うこともあるんです。例えば、人から嬉しい言葉をいただいたときとか、本心では思い切り、“わ~!”っと喜びたいのに、それがうまくできなくていつもおとなしい(笑)。高校時代から感情をスムーズに表に出すのは恥ずかしくて苦手だったので、今もその名残があるのかも?」
「まろやか」

浮き沈みの激しい芸能界にいながら、媚びずにまろやかな姿を見せ続けているところも有村さんの唯一無二の魅力。
「何に関しても適度な距離感って大事なのかも。と思ってるんです。映画『ちひろさん』に出演して思ったんですけど、私もちひろみたいなところがあって、どれだけ仲がいい友達でも自然と適度に距離感をとってしまうタイプ。でもそれは、入り込みたくないっていうことではなくて、たぶんそのほうが相手にとって心地いいだろうな、と思うんです。そこが意外とさっぱりしてるって言われる所以なのかも。媚びないっていうのも、無理にあちこちにいい顔をしても意味ないなって、20歳くらいの頃思ったんです。もちろん愛想がいいほうがいいに決まっているけど、上辺だけ取り繕う感じがすごく嫌で。だったら、自分が大事にしたい人たちにたくさんの愛情を注いだほうが、身になることが多いはず。もしかしたらそれが、冷たく見えてしまうことがあるかもしれない。でも、伝えたい人、届けたい人に感じてもらえたらそれで十分という気持ちなんです」
最新! 有村架純さんのメイクを徹底解剖
【有村架純さんの最新メイク】内側からじんわり湧き出るナチュラルなハッピーオーラ
ニュートラルでいて、ハッと目を引くハッピーなオーラを作るのは透明感のある肌と、ふんわり柔らかで幸せそうな血色感。肌になじむ色こそ丁寧に重ねることで、洗練された幸福感faceに。

ヘア&メイクアップアーティスト
尾曲いずみさん
その人らしい美しさを引き出すメイクで、俳優たちからの信頼も厚い。

「有村架純さんが持つ圧倒的な透明感、そして内側から渗み出るハッピー感がテーマです」と語る、ヘア&メイクの尾曲さん。ポイントは? 「土台となるのは肌作り。特にパウダーは顔全体にまぶさず、皮脂が出やすい額と小鼻周りのみ、軽く押さえるようにのせます。ポイントメイクは全パーツ、ニュートラルな中にどこか“赤み”を潜ませたようなカラーをセレクト。アイシャドウは赤みのある色をまぶた全体ではなく目尻から黒目にかけて、じんわりと渗ませるように。自然な血色感を醸しつつ、腫れぼったくなりません」。なじみ色を組み合わせたメイクこそ丁寧に作り込むことで、オーラを感じさせる上品な仕上がりに。

Base makeup
1のファンデを、顔の内から外へなじませる。2のパウダーをパフに取り、Tゾーンとフェイスラインに。自然なツヤは残しつつ、清潔感アップ。1プリマヴィスタ ステイグロウ リキッド SPF22・PA+++ 全5色 30g 各¥3520、2同 シルキーラスティング プレスト ルーセントホワイト ¥3080・同 コンパクトケース フェースパウダー〈プレスト〉用 ¥1100/花王(編集部調べ)

Eye makeup
3のAをアイホールに。Bを上まぶた目尻側〜黒目上の二重幅に重ねたら、Cを黒目上にのせる。AとBを混ぜ取り、下まぶたの目尻側〜黒目下まで細めにオン。アイラインは4のグレーを黒目上に、5の赤みブラウンを上まぶた目尻側に入れて。3ケイト ポッピングシルエットシャドウ EX-2 ¥1540(限定色)、4同 レアフィットジェルペンシルN GY-3、5同 BR-5 各¥1210/カネボウ化粧品(編集部調べ)

Lip
ブラシにたっぷり取り、唇全体に丁寧にオン。上唇のみほんの少しオーバー気味にのせて、ふっくらとボリュームアップ。カネボウ ルージュスターヴァイブラント V11 ¥4620/カネボウインターナショナルDiv.

Cheek
パレット左を頬の高い位置を中心に。パレット中央を顔側面から内側に向かって軽くのせ、柔らかく引き締める。エスト トランスフィア ブラッシュ 02¥5940
【有村架純さんの最新メイク】たおやかで、かつヘルシーな笑顔をメイクで引き出して

優しく、柔らかな女性像をイメージしたメイクのポイントは、締め色も淡い色にした目元に加え、フェミニンになりすぎないようオレンジ系のチーク&リップでヘルシーさを演出した点。その人の持つ色々な面をメイクでアシスト!

ヘア&メイクアップアーティスト
尾曲いずみさん
「今回の衣装が白レースだったので、頬と口元にピンクなどを合わせると甘めに転びすぎる可能性が。大人っぽさもあるくすみ寄りのオレンジを選んで、柔らかな目元と程よいバランスを目指しました」
使用コスメ&メイクHOW TO

アイブロウ
地の眉が抜けているところのみ、パウダーで軽く埋めてさらにペンシルで毛を描き足す。オーブ クチュール デザイニングアイブロウ BR801 ¥3300(セット価格)/花王
マスカラ
上下にサラッと付けるだけで、瞳の輝きをアシストする。オーブ クチュール デザイニングマスカラ BK611 ¥2420/花王

アイシャドウ
Aをベース、Bを専用ブラシ、Cを目のキワというメーカー推奨のやり方で上まぶたにグラデを作ったら、Bの上段を目の下、Bの真ん中を目の上下キワ細めに足していく。オーブ ブラシひと塗りシャドウN 11 ¥4070/花王
チーク
下から2番目のオレンジを、頬の内側にポイント使いで丸めにトン、と置く。オーブ ブラシひと塗りチーク 02 ¥4290/花王

リップ
一度直塗りした後ティッシュオフしてなじませて、小さめのブラシで輪郭を優しくぼかす。オーブ タイムレスカラーリップ 08 ¥3520/花王
ネイル
コフレドール カラーエナメルネイル SV-18 ¥990(編集部調べ)/カネボウ化粧品
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