SixTONESとしての活動はもちろんのこと、ミュージカルの舞台でも大活躍。主演ドラマ『束の間の一花』での繊細な演技も話題に。その歌声と演技力を武器に幅広い場所で注目を集める、京本大我さんの輝きの秘密に迫りました。
気高き美しさ、磨き続ける努力
京本大我 原石が輝きを放つまで
1994年12月3日生まれ。SixTONESのメンバーで、ミュージカル、映画、ドラマと幅広く活躍。その美声で多くのファンを虜に。放送中のドラマ『束の間の一花』で連続ドラマ単独初主演を務めている。
感性が生まれた場所
芸能界で活躍する父を持つ僕は「幼い頃からエンタメに触れて育ってきたんですか?」なんて質問をよくされる。でも、実際はむしろ真逆で。もしかしたら「芸能界は大変な世界だぞ」っていう、父なりの配慮や思いがあったのかな。幼い頃はエンタメにあまり触れなかったんですよ。
父・京本政樹は僕に自分の出演作を見せようとしなかったし、
「この映画を見ろ」「この音楽を聴け」なんて言ってくることもなかった。
我が家はテストで満点を取らなければゲームを買ってもらえないような普通の家庭だったし。僕自身も周りの友達と同じようにアニメやヒーローに夢中になっている普通の少年で。ジャニーズ事務所に入るまでは、音楽にも、芝居にも、芸能界にも、全く興味がなかったんです。
ただ、“ものづくり”は子供の頃から好きだった。
幼い頃から僕は絵を描くのが大好きで。
紙と色鉛筆さえあれば何時間でも楽しむことができた。
自分の好きな作品を作れる自由研究も大好きで。今でも覚えているのが夏休みの宿題で描いた海の絵。大きなキャンバスに海の絵を描くだけでなく、浜辺には家族旅行で拾ってきた本物の貝殻を貼り付けて立体感を出してみたりして。「こうしたら面白いんじゃないか」「ああしたらもっと素敵になるんじゃないか」頭の中で想像を膨らませるのが好きだったし、思い浮かべたものが目の前で形になっていく過程はいつも楽しくて。時間を忘れて夢中になっていたんです。美術系の学校で学んだ経験のある父はよく、幼い僕と絵を描いて遊んでくれた。
絵を好きになったのは間違いなく父の影響だし、
“ものづくり”の楽しさを僕に教えてくれたのもやっぱり父なんだと思う。
小学生の頃、誕生日を目前に控えた僕の目の前に父は真っ白な画用紙を置いた。
「大我にギターを作ってあげるから。ここに自分が作りたいギターを描いてみよう」と。
僕は自分の名前の“大我”にちなみ、ギターのボディに大きな“タイガー”を描き、当時好きだった緑とオレンジで塗りつぶした。それはとても楽しい時間だったし、それが形になって目の前に現れたときは本当に嬉しかったし感動した。父はそんな“ものづくり”のワクワクで幼い僕をいつも楽しませてくれた。もう手が大きくなってしまったので弾くことはできないんだけど、そのギターはずっとお気に入りで、今も自分の部屋に飾っているんです。
純度を高く保つこと
好きなものとそうじゃないものへの温度差が激しくて興味のないファッションに関しては無頓着。穴のあいた靴下を履いていても全然平気だし、パンツもほぼほぼ自分で買ったことがなくて。友達からのプレゼントやお土産にもらった派手なキャラクターのパンツを何も考えずにはいて、メンバーにつっこまれることもしょっちゅう。かと思えば、大好きな『名探偵コナン』の話題になると無駄にこだわりや熱さを発揮してしまう……。余計な混ざり物を自分の中に入れずに自分の思いや好きなものをずっと大切にし続ける、そんな僕を「純度高め」と言ってくださる方もいるけれど
自分では「子供っぽすぎる」と思うこともある。
で、そう思うたびに「大人にならなければ」と
急に車や高級腕時計について勉強し始めたりして。
でも、そんなのはやっぱり長続きしなくて。「高価な時計を買ったところで怖くてつけられないし」「運転も怖いからペーパードライバーのままでいいや」すぐに「だったら『遊戯王カード』を買おう」の気持ちに戻ってしまうんですよ(笑)。自分で好きなものを選べる世界に生まれたんだからやっぱり、僕は自分の好きなものを大切にしたい。周りから「子供っぽい」と言われても、
たとえ好きになった女性に引かれてしまっても、
「それはそれでしょうがない」かな。
そのために、自分の好きなものを捨てる意味が僕にはよくわからないから。
言葉を紡ぐ
僕は心が揺れたとき、その思いを言葉にします。
ブログに書くこともあれば、歌詞にすることもとても多い。言葉にするのはその思いをみんなと共有したいから。どこかで同じ思いを抱えている誰かに「あなただけじゃないよ」と伝え寄り添いたいから。
そして、それは受け止めてくれる人がいるからこそ、反響するように僕自身に戻ってくる。
「僕は一人ではないんだ」と思える。僕はいつも言葉に救われ浄化されているんです。
役を生きる
ここ数年はミュージカルの舞台に立つことが多かったので、ドラマ出演は約6年ぶり。なのに、いきなりの主演で。日々、厳しくもどこか心地よい不安と緊張感を抱きながらカメラの前に立っています。ドラマ『束の間の一花』で僕が演じるのは余命宣告を受けた哲学講師・萬木昭史(ゆるぎあきふみ)。今作は、役を纏おうとか、役に入ろうとか考えなくてもすんっと萬木になることができた。
もしも、彼がこの世に実在するのならば、彼の心と僕の心はとても近い気がする。
彼を通して触れることができた哲学の世界も面白くて。萬木と共に心を揺らしながら彼の余命を精一杯、一緒に生きたいと思っています。
音を楽しむ
初めて作詞作曲をしたのは18歳の頃。
頭の中にあるメロディや心の中にある思いを“楽曲”という形にする。幼い頃に夢中になった“ものづくり”の延長線上に楽曲制作も存在しているんだと思う。映画を見ているときにふと頭に浮かんだ言葉からイメージが膨らむこともあれば、
楽屋でシャワーを浴びているときに何気なく奏でた鼻歌がピンときて、
ずぶ濡れのまま裸で飛び出しスマホのボイスレコーダーに録音したこともある。
僕のスマホにはいつか楽曲になる日を待っているえぐい量の“言葉”や“メロディ”が記録されている。
譲れない美学
僕の中には“譲れないこと”が沢山ある。
貫きたい美学やルールが多く
自分でも「頑固で面倒臭いやつだな」とたまに思う。
悩んだり迷ったとき、僕はあまり周りに相談しない。相談したところで結局は自分の答えはすでに決まっていて、周りが「こっちだよ」と言っても動かない自分を知っているから。僕は自分の直感を信じて踏み込むことを大切にしている。たとえ、それが大失敗だったとしても悩みまくって出した結果ならきっと納得できると思うから。
品性
もしも、僕から“品”を感じると思ってくださるのなら、それは一人っ子で育ったのがとても大きいんだと思う。
テレビ番組のチャンネル権を奪い合ったこともなければ、食卓でオカズを取り合ったこともない、
一人っ子として育った僕は どこかのんびりしていて。
ゆえに、ジャニーズJr.として活動するようになってからまず驚いたのが、
差し入れやお弁当の争奪戦(笑)。
目の前にあるものはちゃんと食べられるのが当たり前、そう思って生きてきた僕はいつも出遅れて惨敗。取ろうと思ったときにはもうそこには何もない、みたいな。そういう、他の人よりちょっとのんびりしているところが周りの方々の目には“品”に映るんじゃないのかなって自分では勝手にそう分析しております(笑)。
ライバル
ライバルは誰かと聞かれたら、僕は「いない」と答える。
僕自身の中には“誰かと競う”感覚があまりない。
それはきっと「この年齢までにこれを成し遂げたい」、「次はこういうことができるようになりたい」と、自分の外側ではなく内側しか見ていないからなんだと思う。何をやっても上手くいかないと感じていた時期、先輩方が僕に届けてくれたのが「それぞれのタイミングがある」という言葉でした。それが早く訪れる人もいれば、遅れてやってくる人もいる。だからこそ、腐ったり、諦める前に、自分の実力を磨いて、僕はいつか自分のもとにも訪れるであろうタイミングをちゃんと自分のものにできる人になりたいと思った。
大事なのは他人と自分を比べることじゃない。
チャンスを掴む握力を鍛え続けること。
よそ見をせずに自分自身と向き合うこと。
天才と努力家
ジャニーズ事務所に入ったとき、僕は何も持っていませんでした。音楽の授業中に「もう少し、小さな声で歌おうか」と先生に注意されるほど歌もヘタクソだったし、運動神経が悪くてダンスも上手に踊ることができなかった。だからこそ、僕は家の鏡の前でカーペットが擦り切れるほど踊り続けたし、放課後は一人カラオケに行って自分の歌声を録音しながら練習を続けた。
「天才か努力家か」と聞かれたら、僕はきっと後者だと思う。
でも、自分では「努力している」という感覚はなくて。全ては「好きだから」やっていることなんです。今振り返ると、歌の練習も一人カラオケを繰り返すより、プロの先生に教わった方が早いのになって思うんだけど。先生に指導されると歌を嫌いになってしまいそうで。あの頃の僕はきっと、それが怖かったんだと思う。
「好き」だから没頭できるけれど、
「好き」だから遠回りもしてしまうこともある。
周りからすると不器用に見えるかもしれないけど、僕のこの歩み方はこれからも変わらないんじゃないかな。
美しさは“心”に宿るもの
美しくあるために意識していることがあるとしたら、それは外見ではなく中身。 “心”の大切さです。地位や名声のためでなく“心”で仕事をすること、周りにいる人達に真心を持って接すること。邪(よこしま)な心を持たずに自分の信念に沿って生きること。
人を惹きつけるのは上っ面の美しさではなく
その人が持つ心の美しさであることを
僕は父の背中から学びました。
美しいと思う女性もまた心を大切にしている人。その心もやっぱり「どれだけ自分の好きなものを大事にしているか」「どれだけ周りの人を大切にしているか」に表れる気がする。例えば、大勢で食事をするとき、僕は好きな女性が自分の友達とどう接するのかをつい見てしまう。惹かれあっている相手ならば良いところを見せようと思うのはお互い様。だからこそ、そうじゃない相手にちゃんと思いやりを持てるのか、そこがとても大事な気がして。美しくメイクし装うことはとても素敵なことだと思う。
でも、その下に隠れている本当の美しさに
ちゃんと気づける自分でありたいよね。
【マキア2023年1月号】
京本大我さんの撮影エピソード
反響を呼んだ〝純白の王子様〟がテーマの衣装はこちら! 撮影は、肌の白さが際立つ黒髪に染めてすぐのタイミング。オールホワイトの衣装で現れると、全ての調和っぷりに感嘆の声が上がりました(誌面には映っていないのですが、靴も真っ白なスニーカーだったのです)。
撮影前は気さくにスタッフと談笑していた京本さん。カメラの前に立つと、すんっと入り込む姿が印象的で、写真を見て上がるスタッフの歓声に気を取られたり、照れることもなく、カメラマン荒木さんとのセッションに集中している様子。「手もいいね!」という声に手を顔の近くに置いたり、滑らかに上空へ持ち上げたりと呼吸もぴったり。
この衣装では、朝、黄昏時、夜をイメージさせる3パターンの照明での撮影だったのですが、それぞれのムードに応じて表情もガラリと変化。天から啓示を受けている天使!?と見紛うような透明感を見せたかと思えば、悪戯っぽく笑う王子のような貫禄を見せたり、、後で確認してみると1枚として同じ写真がなく、目線の方向や力の入れ方、手先まで、それぞれ微妙に違い、表現の豊富さに驚きました。
この映画のようなシチュエーションに佇み、柄シャツ×カラージャケットに、そしてミステリアスな魅力を増幅させる寒色のメイクを施した京本さんは、気品あふれる王者のような風格! 同じ角度から撮影した写真でも、〝純白の王子様〟のパターンと比べると「同じ人!?」と思うくらい、色気と憂いを帯びた勝ち気なムード。撮影中、〝純白の王子様〟パターンと同様、スイッチが入ったようにダークな世界観に没入していた京本さん。そんな中スタッフたちの「悪役っぽい!」「見下ろされたい」という声を聞き、流石におもしろかったのか、ふふっと笑う場面もありました。
MAQUIAでも大切なテーマとしている、外見だけでなく、内面の美しさを大切に保ち、磨き続けることをまさに体現された方で、しみじみと心を打たれ、浄化された取材でした。 初めて京本さんを知る人はもちろん、ファンの方でも今まであまり見たことのない京本さんの表情や、人間性の魅力がたっぷり味わえる特集になったと思います。
京本大我さん主演ドラマ
『束の間の一花』
余命宣告を受けている「哲学講師(京本さん)」と「生徒(藤原さくら)」。いつ終わりを迎えるかわからない日々を過ごすふたりの儚くも温かい恋の物語。何気ない日常を愛しく思える。(毎週月曜深夜24:59~/日本テレビ系)
編集部
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