梅雨の湿気に負けない！ 髪の広がり・うねり・ぺたんこ・頭皮のベタつき対策は？ おすすめヘアケアアイテムも紹介

うねり、広がり、ぺたんこ、頭皮のベタつき……。湿度が高くなるこれからの季節、扱いにくい髪の悩みに頭を抱える方も多いのではないでしょうか？ そのお悩みを解消すべく、原因＆対策方法を専門家がレクチャー。おすすめのヘアケアアイテムや、髪質を根本から改善するサロンメニューについてもプロが解説します！

湿度が高くなる梅雨は、髪がもっとも影響を受けやすい季節。でも、どうして湿気が多いと髪が扱いにくくなるのでしょうか？ まずは、「広がり」「うねり」「ぺたんこ」「頭皮のベタつき」といった、梅雨時期の４大悩みの原因について、髪のプロである伊熊さんが解説します。

Q.なぜ湿気で髪が広がるのでしょう？

A.髪のダメージが原因のひとつ。

「カラーやパーマ、ヘアアイロンの熱などで髪が傷むと、キューティクルが剥がれるとともに、内部の栄養や水分が少なくなりスカスカな状態に。髪は吸水しやすくなるため、空気中の湿気が内部に入り込んで髪が膨張。広がりや膨らみを招きます。また、エイジングでも髪内部の密度は低下し、空洞化が起こりやすくなるので、髪も年齢に応じたケアが必要です」（伊熊奈美さん・以下同）

Q.なぜ湿気で髪がうねるのでしょう？

A.髪の主成分であるケラチンタンパク質には、水分を含むと結合が切れるという性質があるため。

「湿気によって水分を含むと結合が切れ、切れると髪にくせやうねりが出てしまい、この状態で乾燥して再び結合すると、うねったりハネたりした状態で形が固定されてしまうのです。他には、湿気によって髪内部の水分バランスが崩れることも、髪がうねる原因のひとつ」

Q.なぜ湿気でトップがぺたんこに？

A.湿気などによって水分が髪内部に侵入すると、その分髪が重くなってしまうのが原因。

「細い髪やハリ・コシがない髪など、もともとつぶれやすい髪質だと、その重みでいつも以上にトップがぺたんこに。反対に傷みやすい毛先は湿気によって膨らむため、トップペタンコで毛先はボワッと膨らみ、アンバランスなシルエットになることも」

Q.この時期に頭皮がベタつきやすいのはなぜ？

A.頭皮は皮脂腺が多いうえに、気温上昇によって皮脂や汗の分泌が盛んになるため、ベタベタした状態に。

「梅雨の時期は、気温も湿度も上昇。頭皮は他の肌に比べて皮脂腺が多く、また髪がある影響で頭皮に洗い残しなどが発生しやすい。その結果、洗い残した皮脂やスタイリング剤がさらなるベタつきを招き、髪のボリュームダウンや嫌なニオイの原因になることも」

続いて、それぞれの悩みに対する解決方法について紹介します。まずは髪の広がりについて。「髪に何もつけない無防備な状態は避ける」ことが何より重要。とくにダメージが深刻な場合は、髪内部がスカスカになって密度が低下しているため、密度を高めるケアが必須。キューティクルがはがれて湿気が入りやすくなっているため、外側をコーティングするケアも併用するのがおすすめ。

「スカスカになった髪を内側から補修するには、インバスケアを取り入れて。ハイダメージ用や、内部補修の効果があるインバストリートメントやマスクを使って、必要な成分をたっぷりチャージしましょう。アウトバスケアでは、水分と油分がバランスよく含まれたヘアミルクが便利。髪が濡れた状態で傷みがちな中間〜毛先になじませてから乾かして」

「髪の外側をコーティングするには、シリコン系のヘアオイルがうってつけ。ブローの仕上げに中間〜毛先になじませます。髪が柔らかい・細い人は軽め、膨らみやすい人は重めの質感のオイルをセレクト。髪質によって使い分けるのがポイントです。また、紫外線も髪を傷める原因になるため、日差しが強い日は、日傘や帽子も活用。UVスプレーをトップに吹きかけて保護するのもおすすめです」

次は「うねり」悩みの解決策。「広がり」悩みと同様の対策をベースに、注目すべきは「乾かし方」。

つぶれやすい髪は、根元から立ち上げるボリュームアップケアを取り入れましょう。また、重めの質感のヘアオイルやクリームは、その重みで髪がつぶれてしまうため、スタイリング剤は細い髪やハリ・コシがない髪に合わせたものをチョイス。

「ボリュームアップスプレーやミストは、ハリ・コシを高めながらふんわりとした髪に導いてくれる、ぺたんこ髪の救世主。つぶれがちなトップを中心にシュッと吹きかけてからブローすると、根元からふんわり。また、髪が濡れた状態でつけるアウトバストリートメントは、油分と水分の配合バランスのいいヘアミルクがおすすめ。ボリューム感を損なわず、髪に必要な成分はしっかりチャージしましょう」

「カーラーは慣れが必要ですが、一度マスターすると手放せなくなる便利なボリュームアップアイテム。トップは太めのもので根元を巻き込み、そのまま数分放置するか、ドライヤーで温めて冷めるまでキープ。ボリュームアップスプレーを併用すれば、ふんわり感を保てます」

余分な皮脂や汚れの洗い残しがベタつきの原因に。とはいえ、無数にある毛穴の汚れを指だけで落とし切るのは至難の業。泡パックやクレンジングといった、シャンプーする際のちょっとした工夫をご紹介。

「シャンプーした後はすぐに流さず、モコモコの泡をつけたまま1分間放置。きめ細かい泡が毛穴の汚れを浮き上がらせ、指だけでは落とし切れない皮脂やスタイリング剤もすっきり。また、シャンプーやトリートメントのすすぎ残しも、ベタつきや嫌なニオイの原因になるため、すすぎは念入りに行うことも大切です」

「ベタつきが気になるときは、週に1〜2回、専用アイテムで毛穴汚れをオフ。専用のクレンジングアイテムは、泡タイプ、スクラブタイプ、クレイタイプなど、バリエーションが豊富。肌に合う、使いやすいものをセレクトしましょう」

気になる髪悩みを解説するには、日々のホームケアも大切ですが、プロの手を借りるという選択も。美容室では「髪質改善メニュー」が多数用意され、それを利用する人も年々増えている模様。人気サロン「Laf from GARDEN」の田中双葉さんが、“髪質改善”の基本について解説します。

A.縮毛矯正、酸性ストレート、酸熱トリートメントなど、サロンによって扱うメニューが異なることも。
そもそも髪質改善とは、うねりやごわつき、パサつきといった髪の質感を改善して、扱いやすい髪に導くケアのことを指します。代表的なものとしてはこの4つ。薬剤と熱を用いて髪を強いくせ毛をストレートにする『縮毛矯正』、髪にやさしい弱酸性の薬剤でストレートにする『酸性ストレート』、髪の歪みを整える薬剤を塗布して熱を加えて髪内部を修復する『酸熱トリートメント』、ケラチンやコラーゲンを熱によって浸透させる『髪質改善トリートメント』。GARDENでは酸熱トリートメントをヘアエステというメニューで提供しているので、同じような施術でも、サロンによってメニュー名は異なることがあります。

A.悩みや髪の状態に合わせて、以下のようなメニューをおすすめします。

【強いくせによる広がり】
縮れ毛や頑固なうねりがある場合は「縮毛矯正」が向いています。ただし、縮毛矯正は強い薬剤を使用するため、パーマやブリーチカラーとの併用ができず、髪に深刻なダメージがある方にも向きません。そういった方には「酸性ストレート」をおすすめしています。

【うねり】
ケラチンの密度が低下したエイジング毛には、歪みを整えながら髪内部も修復するヘアエステ（酸熱トリートメント）の施術を行うと、うねりが整うとともにツヤが出て髪が扱いやすくなります。

【トップのぺたんこ】
こちらもヘアエステ（酸熱トリートメント）をおすすめしていますが、ハリ・コシを高める成分が補えるように薬剤を調整します。

【頭皮のベタつき】
マイクロバブルでの洗浄やスカルプシャンプーで、毛穴汚れをしっかり落とします。ベタつきを軽減するには保湿も大切なので、頭皮の化粧水を使ったお手入れの仕方や、頭皮の状態に合わせたシャンプーの選び方など、自宅でのケアの方法もお伝えします。

こちらは、あくまでも提案の一部になります。髪質やパーマやカラーの施術歴など、髪の状態によって提案するメニューは異なりますので、行きつけのサロンで相談してみましょう。

A.最近おすすめの成分はこれ！

【くせによる広がり・うねり】
くせ毛やうねる毛は髪内部のタンパク質の分布が不均一。それを均一にするためには「ケラチン」を補うケアが有効。また、柔らかな手触りを求めるなら、髪内部の水分量をキープしてくれる「コラーゲン」をプラス。湿度が高くなるこれからの季節は、髪内部の水分量を均一に保ちながらキューティクルのケアもしてくれる「セラミド」を使ったケアもおすすめです。

【うねり】
うねる髪質のうち、エイジングによるうねりは髪内部の密度が低下しているうえに、カラーやパーマでのダメージも蓄積しているので、髪の主成分である「ケラチン」を補ってハリ・コシをアップ。

【トップのぺたんこ】
ケラチンタンパク質の不足がぺたんこ髪の原因のひとつ。「ケラチン」を補ってハリ・コシを高めつつ、ケラチンと結びやすい性質を持ち髪の強度を高めてくれる「ヘマチン」を補います。

【頭皮のベタつき】
古い角質や余分な皮脂を取り除いてくれる「サリチル酸」は、毛穴汚れを解消して健やかな頭皮をキープしてくれる成分。スカルプケア系のシャンプーに配合されていることがあります。

取材・文／桶川雅代　イラスト／Ikumi Oouchi　企画・構成／加賀恭子（MAQUIA ONLINE）

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