目には見えないけれど、私たちの体で分泌され美に貢献したりメンタルや健康を左右している存在・ホルモン。美と健康の質がアップする「ホルモン・ファースト」な習慣をはじめてみて。
私の“バランス”のカギを握る!
ホルモンの不思議100問100答
東海大学医学部教授
川田浩志先生
血液内科学を専門とし、エイジングケアや効率のいい運動「HIIT」にも精通し、自ら健康法を実践中。
成城松村クリニック院長。未病の不調治療に積極的で、サプリや漢方を取り入れた診療と親身な診察で人気。
自身の肥満やパニック障害を睡眠改善で克服。新著『ココロとカラダを整えるオトナ女子の休み方』も好評。
均整術師。『K.B.L』主宰。しなやかで美しいボディを育てる独自の理論で女優やモデルにも多くのファンが。
PART3
もっと仲良く♪
ホルモン・ファーストな美習慣
Q 香りでホルモンにアプローチできる?
A ダイレクトに影響
「柚子の精油は副交感神経を優位にし、PMSや月経痛を和らげるというエビデンスが。ゼラニウムやネロリ、サンダルウッドなどもホルモンケアに◎」(森田さん)
リラックス効果抜群。ティッシュに垂らして枕元に置く、バスソルトに加えるなども◎。柚子 5ml ¥2640/モンサンミッシェル
Q 睡眠のリズムと、ホルモンの関係性を教えて
A メラトニンや成長ホルモンなどと密接につながってます
「メラトニン分泌は暗くなったら分泌が始まって午前2時くらいでピークに達し、朝に近づくにつれて減少。成長ホルモンは就寝後の3時間で大量に分泌されます。メラトニンと成長ホルモンの分泌ピークが重なるのが美容にも健康にも理想。逆にメラトニンの分泌が低下すると、入れ替わりでストレスホルモンであるコルチゾール分泌量が増え、活動モードに入ってしまいます」(友野さん)
Q 睡眠ホルモンの分泌のためにいい食材って?
A 朝からしっかりタンパク質を
「材料となるトリプトファンは、肉や卵、魚、乳製品、アボカドやバナナに豊富。朝に摂るとセロトニンが作られて日中頑張れるので、朝食にバナナだけでも食べて」(友野さん)
Q 仕事の関係で、朝暗いうちに起きる必要が。すっきり目覚めるには?
A とにかく光がカギ!
「2000ルクス程度の高照度の照明を15秒浴びるのがおすすめ。難しいなら家の電気をすべてつけて、外が明るくなったらカーテンもしっかりあけて太陽の光を浴びて」(友野さん)
Q 電気をつけて寝ると、ホルモンに悪影響?
A 肥満度やうつ病罹患率がアップ
「まぶたを閉じていても光を感知するので睡眠の質が低下。細いろうそく3本が一晩中ついた状態で眠ると、肥満度が2倍になるとも。うつ病の罹患率も高くなることがわかっているので、就寝中は真っ暗にして」(友野さん)
Q 緊張して眠れない時のホルモン・ファーストな対処法は?
A 朝の太陽光と、“触れる癒やし”を大切に
「寝る前にオキシトシンを分泌させると穏やかな気持ちになるので、家族やペットに触れたり、セルフハグで安心感をもたらして。抱きまくらも◎」(友野さん)
体の曲線に寄り添い、姿勢が安定して安眠に入りやすいユニーク形状。S型ボディピロー(カバー付き) ¥34100/ロフテー
Q 睡眠の質を上げる運動ってある?
A ふくらはぎストレッチ
「背中やももの裏側、ふくらはぎ、足裏などを伸ばすと体が休息モードになり安眠しやすく」(金谷さん)
片膝を立てて座り、立てた側の足裏で逆側の脚のふくらはぎをプッシュ。体重をかけるだけでほぐせて安眠を誘う簡単ストレッチ。
Q「22時〜2時が美肌ホルモンのゴールデンタイム」って本当?
A 嘘です
「美肌に大切な成長ホルモンが分泌されるのは眠り始めの3時間。メラトニンの分泌ピークを考えると、24時までに眠り、7.5時間眠るのがポイント」(友野さん)
Q 腹が立った! 怒りが爆発した時有効なのは?
A 腹筋リリースを
「イライラは腹筋を硬くします。リリースして呼吸が深くなると副交感神経が優位になり、セロトニンも増えてイライラ解消」(金谷さん)
クッションをお尻の下に敷き、足を椅子にのせてお腹を指の腹でほぐす。硬くなった腹筋がゆるみ、セロトニンを分泌しやすい状態に。
Q 幸せホルモンを出す運動って?
A リズミカルなもの
「ランニングやサーキットトレーニングなどリズミカルなものがおすすめ。時間がなければガムを噛む、咀嚼するなどでもOKです。10分程度続ければセロトニンが出ますが、30分〜60分続けると、分泌されたホルモンの効果が1日から数日にわたり持続」(金谷さん)
Q 運動で良いホルモンが出るのはなぜ?
A 原始時代の名残
「達成感を司るホルモンが運動で分泌されるのは、狩りで獲物をしとめたら達成感があった原始時代の名残といわれています」(金谷さん)
Q 運動で“やる気のホルモン”が出るとわかっていても、そもそも運動する気になれません……
A まずは音楽などでテンションを上げて
「たとえば音楽を聴く、瞑想する、あるいは誰かに褒めてもらうなどで1回テンションを上げること。そうすると軽くスイッチが入って、運動する気に」(金谷さん)
Q ランナーズハイってホルモンのしわざなの?
A その通り
「マラソンなど高強度の運動をすると分泌されるβ-エンドルフィンは、“脳内麻薬”とも呼ばれます。疲労感を麻痺させ気持ちよさや多幸感をもたらすホルモンですが、普段の生活には必要ないもの。一般の方が行うレベルの運動ではまず分泌されません」(金谷さん)
Q ネガティブ思考です。幸せホルモンを出しやすくする食事や栄養素はありますか?
A トリプトファン、タンパク質、
チロシンを含む食品を取り入れて
「セロトニンのもととなるトリプトファンは肉や魚、バナナ、キウイなどに豊富。オキシトシンはタンパク質を多く含む肉類や豆類、卵、魚介類。ドーパミンはチロシンを多く含む肉類や豆類、ナッツ、シード、卵など。運動や睡眠、ストレス軽減など生活改善も同時に行って」(川田先生)
Q 女性ホルモンを活性化させるエクササイズってありますか?
A 骨盤を左右に動かす!
「子宮を包み込む骨盤周りの血行を促してお腹の柔軟性を上げる、そけい部を刺激する動きがおすすめ」(金谷さん)
四つんばいの状態になり、膝と手を軸にして体をゆっくり右側に倒し、また元に戻す。同様に左側も。お尻が床につかない程度に、左右にゆっくりゆらゆらさせて。
Q 泣くとスッキリするのって、ホルモンのしわざ?
A 可能性はあり
「涙を流して気持ちが変化することで、副交感神経が優位になってストレスホルモンが軽減される可能性はあるかもしれません」(森田さん)
Q ホルモンバランスにとってマイナスの習慣って?
A 過剰なダイエットや夜のスマホ!
「体に備わったリズムを大切にするのが先決! まずは過剰なダイエットや夜更かし、睡眠に響く夜の携帯使用をやめる“引き算”の勇気が必要。当たり前のことを見直して、それでも調子が悪ければサプリや漢方、アロマテラピーなどを少しずつ“足し算”してみるのがおすすめ」(森田さん)
Q スキンケアでホルモンにアプローチできる?
A 触れることに絶大な効果が
「人から触れてもらうのはもちろん、自分でのタッチにも愛情ホルモン・オキシトシンの分泌を促す効果が。自分をいたわるケアやマッサージは、ストレッサーに反応していた脳をなだめてくれます。香りもいい刺激なので、心地よさに浸ってセルフケアを」(森田さん)
ベルガモットやオレンジなど、気持ちのバランス調整に働きかける精油たっぷり。ボディオイル バランス 100ml ¥4400/Waphyto
Q ホルモンケアにいいツボを教えて
A 三陰交
「女性のホルモンケアにいいのは三陰交などのツボ刺激。温めや巡りを良くする鍼灸も役立つのでぜひ取り入れて」(森田さん)
内側のくるぶしから指4本分ほど上が三陰交。生理痛や更年期症状、冷えのケアにぴったり。指の腹で心地よい圧でプッシュ。
Q ホルモンに働きかけて、自信を出したい!
A パワーポーズをとってみて
「ボディビルダーのようなパワーポーズをとると、テストステロンが増加し、コルチゾールは減るという論文が」(金谷さん)
Q ホルモンバランスを整えるサプリはOK?
A 頼りすぎないこと
「特定のホルモンの分泌を促すサプリもありますが、効果には個人差があるため安易に用いないこと。また、過剰摂取は悪影響になるので注意が必要」(川田先生)
Q ホルモンケアに、東洋医学って役立つ?
A 有効です
「冷えや頭痛、不定愁訴などの未病ケアは東洋医学が得意な部分」(松村先生)「生理不順によく使われる加味逍遙散、冷えやむくみを軽減する当帰芍薬散などの漢方はホルモンケアによく使われます」(森田さん)
(右)更年期の疲れに。クラシエ 漢方加味逍遙散料エキス錠(第2類医薬品) 96錠 ¥2640、 (左)貧血や生理不順に。クラシエ 当帰芍薬散錠(第2類医薬品) 96錠 ¥1969/クラシエ薬品
Q 牛乳に含まれるホルモンは乳がんリスクになる?
A 関係ありません
「牛乳にはエストロゲンがごく微量含まれていますが、乳がんリスクを上げるなど体に影響を与えるほどではなく『女性ホルモン作用がある』とは言えません」(松村先生)
Q 女性ホルモンなら婦人科ですが、ほかのホルモンバランスを整えたい時はどこに行くべき?
A 内分泌科のある医療機関へ
「内分泌科では、甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンなど、体内のさまざまなホルモンのバランスを調べ、総合的に判断して治療を行っています」(川田先生)
Q ホルモンケアって、仕事の効率アップにもなる?
A なります!
「激しい運動には成長ホルモン分泌を促す作用があります。睡眠深度が良くなるので、メラトニンやドーパミン、エンドルフィンなど他のホルモンの分泌にも効果があるのでは。実際に、午前中に運動すると、日中の作業効率がぐんとアップしますよ」(川田先生)
MAQUIA 9月号
撮影/榊原裕一(モデル) ヘア&メイク/甲斐美穂〈ROI〉 スタイリスト/福永いずみ モデル/新田さちか イラスト/沼田光太郎 構成・文/高見沢里子 企画/吉田百合(MAQUIA)