肌の最表層にある角層は、肌が健康で美しくあるための最重要エリア。そもそも角層って何? 知っているようで知らない角層の真実を教えます!
年齢ごとに肌は変わっていくから
いざ、角層想いのスキンケア
医学的見地から誤った美容情報を一刀両断。自身の医院では最新美容医療機器と注入を組み合わせた治療が好評。
取材歴25年超え。最新の美容情報にいち早くアクセス。難解なスキンケアをわかりやすく、楽しく読める記事に定評。
そもそも角層って何?
どんな役割があるの?
「皮膚は紫外線やウイルスなどの外的刺激から体を守るバリアそのもの。角層はその最前線です。表皮は基底層→有棘層→顆粒層→角層と変化していき、角層は“死んだ細胞”と言われています。角層には角質細胞が並び、そのすき間を細胞間脂質が埋めていて、これが肌内部からの水分蒸散を防いでいます。役割を終えると、垢となって剥がれ落ちていきますが、角質細胞と細胞間脂質が水分を含むことでバリア機能が高まります」(慶田先生)
\\角層のことがよくわかる実験//
【実験1】そもそも角層を潤すのは難しい
[角層の真実!]
顔の肌の角層は10数層からなり(個人差あり)、化粧水などが浸透するのは上から数層
角層をスポンジで表現。20代の健康な肌では、皮脂により、水分は弾かれがち。なので、洗顔で皮脂を落とした後に化粧水を入れて。30代以降になると少しずつ、また紫外線を浴びた後などは角層が厚くなるので、ノーケアでは水分が浸透しづらくなると心得て。ハンドプレスやイオン導入など、浸透を高める工夫で角層の奥深くまで水分を送りこもう。
年を重ねると肌の乾燥を感じやすくなるのは、角層の下の表皮にある水分を、角層の下部から上部まで汲み上げる力が弱くなるため!
【実験2】角層が潤っていると透明感が増す
保湿ケアで水分をたっぷり含ませた角層と、水分不足の角層を薄い紙に例えた実験。水分を含むと紙の奥が透けて見えるが、乾いていると透けないのがわかる。また角層を構成する角質細胞と細胞間脂質に水があることでキメが整い、光を反射。これも透明感を出すのに保湿が欠かせない理由だ。
【実験3】保湿された角層はシワになりにくい
今度は濡れた紙と乾いた紙でシワの出来やすさを実験。水分のあるなしでシワの目立ち方が変わってくることがよくわかるはず。乾燥小ジワに保湿ケアをするとシワっぽさは和らぐ。シワを定着させないためにも保湿ケアは絶対だ。
【実験4】化粧水だけだとすぐ乾く
化粧水などの水分は角層から出ていきやすい。乳液やクリームの油分で水分を閉じ込めると、全く水分が逃げないわけではないが、ラップをかけた食パンのように乾燥するスピードはスローダウンする。水分を与えたら油分も忘れずに!
【実験5】角層が潤っているとハリが出る
角層を構成する角質細胞を保存袋に例えた実験。角質細胞の中にはNMF=天然保湿因子という水性の保湿因子がある。角質細胞内の水分が十分であればふっくらハリ感が。水分不足だとヘナヘナとしぼんで感じられる。
【実験6】角層へ一気に&大量に水分を与えるのは逆効果
角質細胞を小さなキューブで表現。大量の水分(例えば長時間のシートマスクや化粧水の何十回づけなど)だけを与えると、角質細胞の間を埋める細胞間脂質が溶け出し、キメが乱れ、バリア機能が低下。かえって逆効果に。
【実験7】角層の最表層は簡単に染まる
果物を食べて指の皮膚が染まっても元に戻るのは、垢となって剥がれ落ちるから。しかし刺激により、メラニンが真皮にまで落ち込むと色素沈着が起こる。真皮はターンオーバーしないので色素沈着した肌をスキンケアで元に戻すのは難しい。
【事実!】角層は年齢を重ねるとともに分厚くなる
下は資生堂の化粧水成分の浸透量の可視化解析。ターンオーバーの遅くなった加齢した肌は角層が厚く、化粧水の浸透量が若い肌に比べ、少ないことがわかる。
上のグラフでは20~60代の女性の肌を調査。40代女性の肌は「角層が硬い」という結果に。角層が乱れると敏感肌の一因に。そのため40代は自覚なく「敏感肌状態」に陥っている可能性が高いと考えられる。
※硬さ(ビーナストロンΔf2g):40代は20、30代より有意に硬い。(Turkey-Kramarによる多量比較。P<0.05を有意差とした)
試験方法:20-60代の日本人女性(各年代約20名)の角層の硬さはビーナストロン(2g往路時のΔf値)を用い、季節ごとに1年間(計4回)測定し、平均化。
MAQUIA11月号
撮影/Kevin Chan(物) 藤澤由加(人物) ヘア&メイク/甲斐美穂〈ROI〉 スタイリスト/山本瑶奈 モデル/佐藤さき、中西麻里衣(マキアビューティズ) t.s(MAQUIAインフルエンサー) 構成・文/平 輝乃 企画/萩原有紀(MAQUIA)
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