コスメにとって処方とは、優れた成分の効果を引き出し、確実に届け、心地よい質感を叶えるために欠かせない技術。知れば知るほど奥が深い自慢の処方技術を、各ブランドの開発者&研究員に徹底取材。
効かせ方・届け方がコスメの肝!
うちの“ご自慢処方”超解説
POLA(ポーラ)
B.A
グランラグゼ O
細胞が分裂を盛んにする「活動期」と分裂を休止する「休止期」に着目。肌にハリ感を与えつつ引き締める処方で、生き生きとした顔立ち印象へ。50g ¥132000
ふっくら感と引き締めを
両立する逆転マスク処方
ポーラが誇る最高峰ラインの新作B.A グランラグゼ Oは、肌になじんだ後、引き締まるように変化する感覚が特徴的。「その感覚は、“引き締めバウンスマスク処方”のたまもの。マスクのように肌を引き締めるベールを形成する処方で、ベールをつくる成分と角層を柔らかくふっくらさせる成分が、それぞれ肌に広がる順番に工夫を凝らしています。ベール成分と角層柔軟成分は、ともにエマルションという袋のようなものに包まれてクリーム内に存在します。角層柔軟成分は小さな袋、ベール成分は大きな袋に包まれ、普通は大→小の順に袋が崩壊。先に広がったベールが、あとから広がる角層柔軟成分の浸透を妨げてしまいます。そこで大きな袋を丈夫にして、破ける順番を逆転することに。まず小さな袋が破れて角層柔軟成分が肌にハリ感を与え、次に大きな袋のベール成分が肌をコーティングする。結果、肌をふっくらさせつつ引き締めることが可能になりました」
処方を“例え”で超解説!
ベール成分を包む袋は二重構造=多相エマルションといって、本来は脆い特性を持つ。そこで多相エマルションを硬くして、角層柔軟成分を包む袋=単相エマルションが先に破れるように工夫した。
SUQQU(スック)
アクフォンス ウォーター
チューニング ジェル
夜はもちろん、メイクしている日中も、肌のうるおいを守るためのアイテム。濃密なジェルが肌の上に水膜をつくり、ベースメイクのツヤ感も高める。70g ¥8250
グリセリンベースなのに
ベタつかない秘密とは
“澄み透る艶肌”を目指すエイジングケアライン「アクフォンス」からデビューしたマスクは、粘度の高いグリセリンが主成分。なのにベタつかず、メイク前に使えば美しいツヤで映え肌を叶えてくれるから驚き。「グリセリンは、高保湿かつ保湿力が長もちする優秀な成分。アクフォンスが目指す美しいツヤとその持続力を叶えるのに最適だと考え、問題であるベタつきを抑えて保湿力を維持する処方を目指しました。試行錯誤の結果、グリセリンジェルの中に様々なオイルの入った乳化粒子を忍ばせる“新グリセリンジェル処方”が完成。肌にのばすとオイルがジェルと混ざり合い、みずみずしい質感に変化。ベタつかないのに長時間保湿できて、美しいツヤが叶うイイトコ取りアイテムが実現しました!」
処方を“例え”で超解説!
乳化粒子から出たオイルが、ジェルと混ざって肌表面に水膜を形成。乳化させたオイルドレッシングが野菜を美味しく見せるように、肌のツヤ感をキープする。
DEW(デュウ)
グラマスト
ミルクドロップ
肌表面に膜を形成し、水分が逃げるのをブロック。ヒアルロン酸などの保湿成分が角層に浸透し、ハリ感を与える。80ml ¥4180(編集部調べ)/カネボウ化粧品
肌のしぼみ感を払拭する
半透明のカプセルを開発
DEWの新しい乳液は、スキンケアからのアプローチだけでなくビジュアル的な作用でふっくらハリ肌をもたらす摩訶不思議アイテム。「ハリ感のある肌に見せるには、ツヤとマットから成る立体感が不可欠。ところが、スキンケア製剤だとツヤを出すのが簡単な一方、マットな質感をつくるのがとても難しいんです。そこで開発したのが“ラメラ構造のカプセル化”技術。幾重にもなったカプセルの殻と殻の間に保湿成分を入れて、半透明にする技術です。このカプセルが肌の上でツヤを引き出すとともに、マットな質感を実現。壊れにくいので、肌の立体感が長もちします」うるおいを与えて根本ケアをしながら、瞬時にふっくら感を取り戻す。まさに乾いてしぼんだ肌の、救世主!
処方を“例え”で超解説!
ラメラ構造のカプセルも、茹でた白玉と同じくうるおいを含んでふっくら半透明。そのカプセルが肌の上に並ぶと、光と影の効果で立体感がアップする仕組み。
MAQUIA 12月号
撮影/藤本憲一郎〈A.K.A.〉 イラスト/栗生ゑゐこ 取材・文/風間裕美子 構成/山下弓子(MAQUIA)
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