なぜ、数あるコスメの中でもリップスティックは特別な存在感を放つのだろう。きっとそれは、単なるメイクアップに留まらず、まとう人々の人生まで彩るから。今日も、私らしさを表現する1本と歩んでいく。

ジェーン・スー リップ 赤 ルージュ N°5 シャネル

それはメイクアップを超えて、人生の一部になる
唇に、「私」を語るリップスティックを

ジェーン・スー特別寄稿
くちびるにモノを言わせて


 自分の顔。口が小さいのが、やや気に入らない。ほかにも気に入らないところがないわけではないけれど、口紅を塗るときはいつも「もう少し塗る場所があったらいいのに」と思う。
 プランパーは何本か使ったことがあるし、SNSで海外のインフルエンサーがオーバーリップのテクニックを披露していれば、とりあえず試す。それでも、唇が満足いくほどふっくら大きくなったことはない。でも、人からは「小さな口が素敵」なんて言われることもある。自分の魅力って、自分ではわからない。
 女性から「舐められることがある」という悩みを打ち明けられることがある。舐めてくるのは会社の同僚、見ず知らずの人、家族など。そういうとき、私はいつも「赤いリップを塗ってみて」と答える。舐めてくる人はたいてい、適当に扱っても反撃してこないとタカを括っている。つまり、反撃してきそうな人には攻撃もしない。
 赤の威力は絶大で、ひと塗りしただけで顔に意思が宿る。ぞんざいな扱いは許さない表情になる。金髪や強めのアイラインやダークなマニキュアにも同様の効果があるが、いちばん手っ取り早いのは赤い口紅。グロスも可愛らしいけれど、強さを表現するならハッキリ色が出るタイプのほうがオススメだ。
 私も赤い口紅にずっと憧れていた。しかし、どれを試してもヘンな顔になってしまう。自意識の問題だということはわかっているのだけれど、小さな口に赤い口紅はどうにもしっくりこなかった。
 そんな私に、誰にでも必ず似合う赤い口紅があると教えてくれたのがアーティストの野宮真貴さんだった。野宮さんと言えば、赤い口紅の女王。彼女がそう言うなら信じてみよう。プレゼントしていただいたのは、テラコッタ寄りの赤とボルドー寄りの赤。どちらも、あまり試したことがない色だった。思い切って塗ってみると、私の顔が一気に華やかでシックになった。我ながら、素敵だと思った。口の小ささも気にならない。それからは赤にどんどんトライしている。慣れれば、なんてことはない。
 誰にでも必ず、似合う赤がある。これ以上心強いことはない。

ジェーン・スー

コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家、プロデューサー

ジェーン・スー

コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家、プロデューサーとして多彩に活躍。近著『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』(文藝春秋)も話題に。

CHANEL シャネル

悲しいときには、
ルージュをまとって挑みなさい。
── ガブリエル シャネル

“ルージュ N°5”の色名を持つシャネルのリップスティックを主役に。ジェーン・スーさん特別寄稿も
_2

1920年代、女性解放のムーブメントに参加していた、ブランド創設者であるガブリエル シャネル。当時、女性の参政権獲得のための闘いのシンボルとなったのがリップスティックだったことから、このメッセージが生まれた。

シャネル
トランテアン ル ルージュ 18

“ルージュ N°5”の色名を持つシャネルのリップスティックを主役に。ジェーン・スーさん特別寄稿も
_3

世紀を超え、女性をエンパワメントするシャネルのリップスティック。サスティナブルなガラス容器には、究極のエレガンスを演出するルミナス マットなルージュが。“ルージュ N°5”の色名を持つ18は、ジャスミンの香りが着想源。¥25300

OTHER ITEMS

“ルージュ N°5”の色名を持つシャネルのリップスティックを主役に。ジェーン・スーさん特別寄稿も
_4

Aソフトで軽やかな粉質ながら、まぶたに溶け込むようにフィットするパウダーアイシャドウ。花びらのように可憐なローズピンクを、二重幅と涙袋の上にふわりと重ねて血色感をプラス。オンブル エサンシエル 228、B次にマットなニュートラルベージュをアイホールに重ね、先にのせたローズカラーとブレンドさせる。同 242 各¥5500、C肌の上でクリームからパウダーへと変化する、ユニークなテクスチャーの新ブラッシュ。ピーチベージュを指に取り、小鼻の脇から放射状に幅広くのせ、夏の残り香を漂わせて。ジュ コントゥラスト アンタンス ベージュ エクラタン ¥7920/シャネル

MAQUIA 11月号
撮影/酒井貴生〈aosora〉(モデル) Kevin Chan(製品) ヘア&メイク/岡田知子〈TRON〉 スタイリスト/平田雅子 モデル/森 絵梨佳 取材・文/森山和子 構成/火箱奈央(MAQUIA)
ニット、イヤカフ/スタイリスト私物
※本記事掲載商品の価格は、税込み価格で表示しております。

最終更新日:

MAQUIA書影

MAQUIA2024年9月21日発売号

集英社の美容雑誌「MAQUIA(マキア)」を無料で試し読みできます。マキア11月号の大特集は「これからも『私が主役』の美容でいく!」。通常版の表紙は鈴木えみさん、小嶋陽菜さん、与田祐希さんです。

ネット書店での購入

share