『ぐるりのこと。』から7年ぶり。橋口亮輔監督が現代に生きるすべての人たちへ贈る愛すべきヒューマンドラマがついに完成! 人を愛し、傷ついたことのある人は必見です。


どんなに辛い目に遭っても

きっと大丈夫!

愛にあふれた極上ドラマ

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★今回のおすすめ新作映画★

『恋人たち』

監督/橋口亮輔 出演/篠原篤、成嶋瞳子、池田良、安藤玉恵、黒田大輔、山中聡、リリー・フランキー、木野花、光石研 公開/11月14日(土)よりテアトル新宿他、全国ロードショー ©松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ 公式サイト koibitotachi.com

<ストーリー>

橋梁点検の仕事をしているアツシ(篠原篤)は、3年前に愛する妻を通り魔殺人事件で亡くした過去があり、まだその悲しみから立ち直れずにいる。自分に関心のない夫とそりの合わない姑と暮らす瞳子(成嶋瞳子)はある日、魅力的な中年男と知り合い、退屈だった日常が華やいでいく。同性愛者のエリート弁護士・四ノ宮(池田良)は一緒に暮らす恋人がいるものの、学生時代からの男友達を思い続けていた。不器用ながらもひたむきに生きる3人の男女を描いた絶望と再生のドラマ。


無名の俳優3人が

リアルに体現する

現代の生きづらさ

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【松山 梢の女子ツボPOINT!】

正直言って、目を背けたくなるほど辛く、息をすることも忘れてしまうほど絶望的な物語です。それでもぜひ劇場に足を運び、なんとか最後まで見てほしい。そう切に願わずにはいられない傑作です。まずは通り魔殺人事件で妻を亡くし、必死に働きながら裁判に備える主人公のアツシから。彼の深い悲しみは想像を絶しますが、弁護士からは「ひどい世の中だからしょうがない」と突き放され、滞納している国民健康保険の支払いをするためにやってきた区役所では、職員に情け容赦ない対応をされてしまいます。


平凡な主婦、ゲイのエリート弁護士…

誰もが普段はひた隠しにしている憤りや悲しみ>>

自分の中にある

怒りや悲しみが

さらけ出される!

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一方エリート弁護士の四ノ宮は、誰に対しても高慢でいけ好かないクズ男ですが、理不尽な同性愛者差別という特大のパンチを受けて絶望します。極めつけは平凡な日常をやり過ごす主婦・瞳子。頭のはげ上がった夫から肩をトントンされ「今夜しよう」のサインが出ると、いそいそと避妊具を買いに行き、服も脱がずに無表情で義務的に腰を動かす日々。皇室の追っかけをしていた若かりし頃のビデオを見ることと、少女マンガを書くことだけが楽しみの彼女が、ある男と出会い生まれて初めて憧れのヒロインになった気になりますが、その幻想もあっという間に打ち砕かれます。もう、書いてるだけでげんなりしてくるほど、主人公の3人が直面する現実があまりにも過酷すぎます…。ただし、彼らは果たしてフィクションの中の登場人物にすぎないのか。ドラマが展開していくうちに、3人が抱く行き場のない悲しみや憤りのカケラが、自分の中にも確かに存在することに気づかされます。


一筋の希望、ささやかな喜びがあれば
人生なんとかやっていける!>>

人間や人生を

ささやかに肯定する

ラストシーンは爽快!

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面白味のない日常に麻痺し、どんな理不尽な目に遭いながらも「しょうがない」と折り合いを付けて生きる瞳子の生気を失った目に私はドキッとし、見ないふりをしていた様々な心の澱をさらけ出されたような気持ちになりました。いかにも映画的でドラマティックな救いがあるわけでも、問題が見事に解決するわけでもありませんが、ラストに描かれる人間や人生を肯定する監督の愛ある演出は必見。理不尽な目に遭っても絶望に打ちひしがれても、きっとこの映画があれば大丈夫。現代を生きていくための、ささやかだけど温かい大切なお守りを手にしたような気持ちになるはずです。


〈映画ライター/松山 梢〉

映画のヒロインに感情移入することでかろうじて「女」であることを維持している、三十路まっただ中のライター松山 梢です。自分に足りない女っぷりを向上すべく、そして美意識の高いマキアオンライン読者の女っぷりをさらにアップさせるべく、愛すべき女子向け映画&ドラマを紹介していきます!


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