「MAQUIA」9月号では、今話題の美女たちを齋藤 薫さんが分析。彼女たちの時流の捉え方、変化することを恐れない生き様を深掘りします。今回はオファーが絶えない実力派女優、中村ゆりさんにフォーカス!
齋藤薫が、しなやかに生きる4人の女性たちを紐解く
「変化を恐れない女(ひと)は、美しい。」という真実
変化が著しい芸能界を見渡すと、時流や環境の移り変わりに負けることなく、しなやかに生き抜く女性が活躍していた! そんな1本筋が通った女性たちの輝く強さと魅力を、美容ジャーナリスト齋藤薫さんが分析する。
日々、変化する時流を乗りこなせる理由は?
話題の美女たちを齋藤 薫が分析
実力もさることながら圧倒的な存在感を放つ3人の女性。それぞれがしなやかな強さをもちつつ、その表現方法は様々。そんな彼女たちなりの時流の捉え方、変化することを恐れない生き様を深掘りする。
役柄に一途に邁進する実力派女優
中村ゆり
Yuri Nakamura
かくも嫋(たお)やかにしなやかに変化に
寄り添う、決して折れない柳の人!
中村ゆりさん……かつて、この人を検索したことを思い出した。10年ほど前、ちふれ化粧品のCMを見て、一体誰?と激しく気になったから。ちふれのモデル起用にはいつもハッとさせられるが、検索までしてみたのは初めて。やっぱり特別な何かを発していた人なのだ。透明感に加えて“何か”がある人。じつはそういう女性こそ、存在の引力が一番強い人と言っていい。今改めてプロフィールを見てみると、女優としては遅咲きながら、出演ドラマは膨大な数に上る。なるほど特別な“何か”で存在感を放ちながら、どんな役も自在に演じ分ける才能の人なのだ。
それにしてもすごい数、NHKの朝ドラでは何作も連続して起用され、教師役から悲劇の妻役まで、ドラマの品質を決める重要な役をこなしてきた。どの作品にもこの人がいるというほど、オファーが集中しているのに、そこに違和感を感じさせないのも演技力。女性では珍しいが、まさにその境地に達した人なのだ。
最近は映画の主演もこなすが、そこでも気負った印象は全くなく、物静かな演技派という希少価値。しかもインタビューを見て度肝を抜かれた。理路整然、ボキャブラリーも表現力も豊か、物事の本質をしっかりとつかんだその話しっぷりはしばし聞き惚れたほど。物腰も柔らかく、周囲への配慮も行き届いている。まさに洗練された知性の持ち主で、大人の女性としてなんと素敵なのだろうと、いきなりファンになったもの。
変化に強い女は、ぐいぐい前に進んでいく力も強いだけに、押しの強い個性派のイメージがあるが、この人は逆に嫋やかでしなやか。柳のように柔軟に自分を変えることができるからこそ時代に寄り添っていけるのだろう。しかし柳は折れない。物事にぶつかる強さではなく、受け止めて寄り添う強さ、そういう強さなら自分にも持てるという人は多いはずだ。いずれにせよ、今後も次々訪れるはずの変化にどう対応するのか。自分に合った無理のない変化の仕方、一刻も早く見極めておくべきである。
Profile:
1982年、大阪府出身。2003年から本格的に女優業をスタート。映画やテレビドラマなどで活躍ののち、37歳で連ドラ初主演。現在は毎週土曜22時〜『未満警察 ミッドナイトランナー』(NTV)に出演のほか、今夏スタート『私たちはどうかしている』(NTV)での好演が期待されている。
MAQUIA 9月号
撮影/橋口恵佑(背景) 構成・文/若菜遊子(MAQUIA)