化粧品メーカーが自社ブランドの歴史や製品を展示する“コスメミュージアム”。 ポップアップなどの期間限定イベントでは味わえない、そのブランドならではの魅力が詰まった展示内容を美容ジャーナリストの小田ユイコさんが取材!
美容ジャーナリスト 小田ユイコの“マニアックビューティREPORT”
今月のキーワード「コスメミュージアム」
マキアを読んだり、ネットで検索したりすれば、コスメブランドやアイテムの特徴はわかるけれど、そのブランドやコスメがどんな道のりを経て生まれてきたのかまでは、なかなか知る機会がないもの。
そんなコスメの裏側や知識を深掘りできる場所だとわかっていながらも、「ちょっと難しそう?」と、足が向きにくかった化粧品メーカーが運営するコスメミュージアム。企業博物館を専門に研究する古田ゆかりさんに、コスメミュージアムの楽しさをうかがいました。

企業博物館研究家
古田ゆかりさん
北海道大学大学院 博士後期課程修了 博士(文学)。元北海道大学 科学技術コミュニケーション教育研究部門 特任准教授。著書に『企業博物館とは何か』(青弓社)ほか。
もともと社員研修のためにオープン。でも、ファンでなくても前のめりに
——化粧品メーカーが運営するコスメミュージアムがあることを知らない人もいるはず。
「企業ミュージアムと呼ばれるカテゴリーで、なじみがない方もいらっしゃるでしょう。企業ミュージアムは、もともと社員やスタッフ研修のためにつくられ、その企業で働く人の教育や、モチベーションアップのための施設であることも多いんです。それを一般の方にも開放しているので、存在があまり知られていないのかも」と古田さん。
——コスメ大好きなマキア読者にとって、実は穴場!?
「オススメしたいのが、研修施設系ミュージアムのひとつ、神奈川県横浜市にあるファンケル ヒストリーミュージアム。無添加化粧品をこの世に送り出した創業者のスピリットや、ものづくりの正直さに触れることができるミュージアムです。
決して派手な展示ではありませんが、整然としてわかりやすく、まじめさが肌身で感じられて好感度大。愛用者でなくても、ファンケルにがぜん興味が湧きます」
コスメミュージアムってどんなところ?
コスメの歴史や文化、技術が楽しくわかる

脈々と受け継がれてきた化粧文化や、前代未聞の技術革新があったことなどを、遊び感覚で知ることができる。見たあとは、コスメ選びや毎日のビューティライフの意識が自然と変わる。

紅ミュージアム所蔵の浮世絵「今様美人拾二景 てごわそう」。江戸時代に大流行した玉虫色の紅を点(さ)す女性が描かれている。
コスメミュージアムに出かけるメリットは?
大好きなコスメがもっと好きになる!
1 コスメの裏舞台をのぞき見できる
原料、製法、容器など化粧品まわりの文化や技術、コスメ誕生までの知られざるこだわりや努力がわかる!
2 昔々のビューティライフにタイムトリップできる
紅ミュージアムのようなコスメ史を扱う展示にて。昔も今も、可愛くなりたい気持ちは一緒♡と共感。
3 コスメの“隣”にある発見にワクワク
コスメづくりのフィロソフィーや社員の熱量の高さ、コスメまわりの美術や道具などの文化に興味しんしん。
\古田さんイチ推し/ミュージアムへGO! ブランド深掘り型vsビューティトリビア型
ぜひ見ておきたい2タイプのコスメミュージアムをそれぞれひとつずつピックアップ!
ファンケル ヒストリーミュージアム
無添加化粧品への挑戦を深掘り
ファンケル創業の理念『正義感を持って世の中の「不」を解消しよう』を学んだり、創業当時の表示指定成分無添加の化粧品容器や、サプリメント包材の開封体験などができたりする。


DATA
下記URLから要予約。見学ツアー開催日:第一・第三木曜日(それ以外の日程は電話にて相談可。045-890-1598) 入館料:無料 https://www.fancl.jp/factory/history/
紅ミュージアム
メイクの要、「紅」トリビアの宝庫
江戸時代から続く紅屋・伊勢半が運営する資料館。玉虫色の輝きを放つ良質な紅づくりの技とともに、紅と化粧の歴史を伝える。「紅を点(さ)す」無料のお試しコーナーも。


DATA
東京・表参道 骨董通り沿い。休館日:日・月・7月7日・年末年始など 入館料:無料 https://www.isehan-beni.co.jp/museum/
化粧文化や歴史を楽しくインプット。ビューティトリビアの殿堂タイプも
——ファンケル愛用者も来場している?
「そうなんです。親子でファンの人や、肌が弱くてファンケルの無添加コスメに救われた人などがもっとブランドのことを知りたくて訪れるケースも多々」。
——大好きコスメの推し活ですね!
「一方で、自社コスメの展示はほとんどなく、化粧の歴史や文化を普及するタイプのミュージアムも。その代表格が、キスミーなどのブランドで知られる伊勢半が運営する紅ミュージアム。
現在、日本で唯一、国産の紅花からリップなどに使う天然の赤色色素を生産している伊勢半。江戸時代から伝わる紅づくりのノウハウとともに、化粧道具や浮世絵など、当時の化粧習慣やカルチャーを展示しています」。
——小田も紅ミュージアム取材に同行しましたが、展示ひとつひとつがエモーショナルで、時間があっという間。ミュージアム見学って、けっこう疲れるイメージだったんですが(笑)。
「博物館を勉強の場と思うと敷居が高いですよね。自分が面白いと思ったところを熱心に見ればいいんです。それとコスメミュージアムは展示品が化粧品中心なので、大きな展示物を扱うミュージアムにくらべ施設がコンパクト。紅ミュージアムは青山という場所柄、ふらりと訪れることもできます」。
——もっと早く行けばよかった! コスメマニアでなくても、また性別や年齢に関係なく楽しめるコスメミュージアム。みなさんもぜひ足を運んでみて!
MAQUIA 2月号
取材・文/小田ユイコ イラスト/きくちりえ〈Softdesign〉 企画/奈良彩花(MAQUIA)
公開日:




























































