12月19日より配信開始のドラマ『人間標本』で、はじめて現代劇ドラマに出演する市川染五郎さん。父役を演じた西島秀俊さんのひと言に背中を押され、これまでに演じたことのない現代を舞台にしたお芝居に挑んだそう。撮影の裏側や、昔からずっと好きなものまで、等身大の言葉で語ってくれました。

市川染五郎 インタビュー ポートレート ドラマ 人間標本

市川染五郎

市川染五郎さん

歌舞伎俳優。2005年生まれ。十代目松本幸四郎の長男として東京に生まれる。2007年、歌舞伎座『侠客春雨傘』で初お目見え。2018年1月・2月歌舞伎座『勧進帳』にて八代目市川染五郎を襲名。

歌舞伎や時代劇と違う、“生活感”の表現が難しかった

市川染五郎 インタビュー ドラマ 人間標本

——この度の『人間標本』で初めての現代劇でのドラマ出演。どんな点にいちばん新鮮さを感じましたか?

染五郎さん:本当にすべてが新鮮でした。なかでも大きかったのは、カツラをつけないことです。歌舞伎や時代劇では、当時の人々の暮らしを想像しながら役に入っていきます。それはそれで難しさがありますが、今回は現代劇なので、日常の延長線にある“生活感”をそのまま表現しなければいけない。普段なら無意識にしている動きや何気ない言葉を、芝居として自然に置き換えるのが意外と難しかったです。

——普段の暮らしを演技として落とし込むために、ご準備などはされましたか?

染五郎さん:とくに準備はしていないのですが、「行ってきます」みたいなセリフは、学生時代の頃を思い出して演技しました。

——本作では西島秀俊さんの息子、榊至(さかき・いたる)役を演じていらっしゃいます。西島さんとの印象的なやりとりなどをぜひ教えてください。

染五郎さん:西島さんからは「違和感があったら、遠慮なく言っていいからね」と言っていただいて。それは本当にありがたかったです。その言葉のおかげで、現代劇ドラマははじめての出演でしたが、リラックスして臨めたと思います。

市川染五郎 インタビュー 人間標本

——同世代のキャストも多く出演されていますが、彼らとの時間で、楽しかったことはありましたか?

染五郎さん:撮影の空き時間、自分はわりとぼーっとしているタイプなのですが、お昼休憩ではみんな楽しそうにケータリングに直行したりするときもありました。「今日のメニューは何かな?」って楽しみにしていて。それこそ歌舞伎では、同世代とご一緒することが少ないので、そのわちゃわちゃした雰囲気は新鮮で楽しかったです。

——染五郎さんはご自身を人見知りだと話されていますが、みなさんとは打ち解けられましたか?

染五郎さん:打ち解けられたのではないかな、自分自身はそう思っています(笑)。現場での距離は撮影を進めるにつれてどんどん縮まっていった気がします。でも、役柄上どこまで距離を縮めていいのか、悩みながらではありました。

ザ・ドリフターズの臨場感が伝わる雰囲気が好き

市川染五郎 全身 インタビュー ドラマ 人間標本

——西島さん演じる榊史朗は、小さな頃に美しい蝶に心を奪われたことがきっかけで、標本作りをするようになり、研究者になります。染五郎さん自身は、小さな頃からずっと変わらずに好きなものはありますか?

染五郎さん:歌舞伎はもちろんずっと変わらずに好きで、夢中になっていますが、それ以外でいうとドリフですね。ザ・ドリフターズ。

——ドリフがお好きなんですね! 意外です。

染五郎さん:自分の中では、ドリフはもう体の一部だと思っているんで。体を形成している要素のひとつです。

——何度も繰り返し見ていらっしゃるんですね。

染五郎さん:もう何回どころではないですね(笑)。父が見せてくれていたのがきっかけで好きになり、それから繰り返し見続けています。吉本新喜劇も好きです。そのふたつは体に染み込んでいますね。ザ・ドリフターズの『8時だョ!全員集合』がとくにお気に入り。臨場感が伝わる生の雰囲気がたまりません。

『人間標本』

人間標本 Prime Video 西島秀俊 市川染五郎

2025年12月19日(金)よりPrime Videoにて世界配信開始

盛夏の山中で発見された六人の美少年の遺体——自首したのは有名大学教授で蝶研究の権威・榊史朗だった。幼少期から蝶の標本作りを通し、「美を永遠に留める」執念に取り憑かれた男は、最愛の息子までも標本に変えてしまう。蝶に魅せられた史朗は、なぜ事件を起こしたのか。その狂気の犯行の真相は、複数の視点によって新たな真実へと姿を変えていく……。

出演:西島秀俊 市川染五郎 伊東蒼
   荒木飛羽 山中柔太朗 黒崎煌代 松本怜生 秋谷郁甫
   宮沢りえ 
原作:湊かなえ 『人間標本』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督:廣木隆一
美術監修・アートディレクター:清川あさみ

撮影/小川健太郎 ヘア&メイク/桂川あずさ スタイリスト/中西ナオ 取材・文/高田真莉絵

公開日:

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