自分で道を切り拓き、未来に掲げた夢や目標をひとつひとつ叶えながら、ずっと前だけをみて突っ走ってきた。そんな山下さんに訪れた変化とは──。年齢と経験を積み重ねながら、柔らかく、しなやかに、進化していく、その美学に迫る。(インタビュー後編)

心を燃やしながら生きること

心が燃えると自分も周りもあったかくなるし、エネルギーのあるところに人は集まってくるから。
心を燃やしながら生きるのはとても大切なことだと思う。ただ、それは結構大変なこともあって。若い頃は何をしないでもどんどん湧き出ていた好奇心が、意識しないと作り出せなくなってしまったり、自分の中の火種が消えそうになることもあるんですよね。
そんなとき、僕は体を動かします。とにかく走るとか、体に負荷を与えないと、エネルギーがどんどん弱まっていってしまう気がするので。「運動と好奇心って関係なくない?」って思うかもしれないけどこれがね、心と体ってちゃんと繋がっていて、体が燃えると、心も燃え始めるんですよ。体が健康になると、心も健康になり、そこに好奇心は宿る。その好奇心は薪となり心の炎を燃え上がらせてくれる。
マキア読者さんの中に「今、停滞している」と感じている人がいるのなら、本当に騙されたと思ってジム通いを始めてみてほしい‼ 結構、人生変わると思うから‼(笑)
山下智久が「今、見ている未来」
僕がこの仕事を続けることができているのは“世のため人のため精神”でやっているからなのかもしれない。ドラマや映画で演じた職業が誰かの夢になったり、音楽を通じて勇気や元気を届けることができたり、僕の仕事はポジティブなきっかけを伝えることのできる仕事でもあると思うんですよ。だからこそ、できるだけ多くのきっかけを作りたいなって、僕はいろんなことに挑戦したりもするんです。
昨年はずっと、フランスで撮影をしていました。食も言葉も文化もまるで違う、海外での撮影はいつも「修行だな」と思う。ただ、大変なこともあるけれど、やり遂げるとまた新しい景色が見えてくるわけで。それが見たくて“山”を登り続けている自分もいるんですよ。とはいえ、やたらめったらに登ったら遭難しちゃうから。現時点の目標は一個一個にこだわりながら、今できることを丁寧に積み重ねていくことなのかな。
「大きな山を登頂したい」という思いもありますが、登頂するためには、まずは自分の脚を鍛えて、装備を整えてから登らないと、飛ばされてしまうから。ちゃんと生きて帰れるように、まずは自分自身を鍛えないとね。
美しい年齢の重ね方

年齢を重ねることに対してはネガティブな部分とポジティブな部分、両方あると思うのですが、僕はポジティブな部分にフォーカスを当てるようにしています。それって、年齢に限らず全てにおいて大切な気がして。
心と体をリセットするような感覚で毎日、僕はサウナに通っているのですが、そこでも、よく言葉に出すんですよ。「やばい、今日も最高だな」「今日はめちゃくちゃいい日になりそう」って。物事には良いところと悪いところが必ずあってどちらを拾い上げるかで人生の彩りは変わる気がします。
だからこそ、年齢に関しても「衰えたな」じゃなくて「経験を積んだな」「豊かになったな」「人間としての厚みが増したな」と褒めてあげたい。そのほうが、なんか人生楽しそうじゃないですか(笑)。
山下智久が思う「美しい人」
海の近くに行ったとき、夕陽がとても綺麗で、思わずその美しさを写真におさめたんです。でも、よくよく考えたら、夕陽の写真なんて今まで何回も撮っているんだよね。それでもまた何度でも撮りたくなってしまう、それは空とか星とかも同じで、自然って不思議と「もういいや」にはならない。変わりゆく姿も全て含めて、いつ何時も美しいと思えるんですよね。
ありのままの自然な姿が美しい、それは人も同じだと思います。表面を取り繕って、完璧な自分を装っても魅力的ではないというか。欠けているところや足りないところもある、いろんな一面があってこその人間なわけで。多面であり、どこに光が当たるかで、輝き方も変わる。そのリアルな“人間臭さ”こそが美しいんじゃないかなって。
だからこそ、自分も余計な鎧を身につけたりせずに、できるだけ“ありのまま”でいたいと思うんです。
MAQUIA 12月号
撮影/曽根将樹〈PEACE MONKEY〉 ヘア&メイク/大木利保 スタイリスト/井田信之 取材・文/石井美輪 構成/萩原有紀(MAQUIA)
(写真1枚目)ニット¥198000、パンツ 参考商品/グッチ ジャパン
(写真3枚目)イヤーカフ¥31900/ガルニ東京店(GARNI) その他/スタイリスト私物
公開日:
























































































