自分で道を切り拓き、未来に掲げた夢や目標をひとつひとつ叶えながら、ずっと前だけをみて突っ走ってきた。そんな山下さんに訪れた変化とは──。年齢と経験を積み重ねながら、柔らかく、しなやかに、進化していく、その美学に迫る。(インタビュー前編)

歳月が磨く、気高い輝き。山下智久の美しい生き方

山下智久 インタビュー マキア MAQUIA 12月号

山下智久

TOMOHISA YAMASHITA

山下智久

1985年4月9日生まれ、千葉県出身。1996年より芸能活動を開始。アーティストとして、俳優として国内外で幅広く活躍。昨年は配信ドラマ『今際の国のアリス シーズン2』(Netflix)で披露した肉体美が話題に。『神の雫/Drops of God』もシーズン2の配信が決定。2026年には映画『正直不動産』が公開される。配信シングルの配信日が11月21日に決定。

山下智久の「僕が旅をする理由」

山下智久 インタビュー マキア MAQUIA 12月号 趣味は旅行

美しくあるために必要なことは「心身ともに良い状態であること」。


そのために心掛けているのが体と心に“刺激”を与えることで、その“刺激”のひとつが旅。国内外問わず、旅に出ると、新しい何かに必ず出会う。それは景色だったり、食だったり、言葉だったり。違う文化に身を置くことは時に苦痛も伴うけれど、その刺激は自分をめちゃくちゃ活性化させるから成長できるんですよね。


旅先では“冒険”というか、“普段やらないこと”にも挑戦するようにしている。例えば、タイではバイクに乗って、アジアの風を感じながら走ったり。香港ではタクシーの運転手さんがよく行くローカル店に連れて行ってもらったり。フランスではヒッチハイクをしてみたりして。


実は今、そんな旅の動画を撮り溜めているんです。理由は「人生の思い出を残したいから」。高校時代の友達がたまに持っていたりするんですよ、画質が悪い何年も前のビデオを(笑)。それを見返すといろんなことが蘇ってきたりして、「こういうの、マジで大切だな」って思うんだよね。


撮り溜めている動画も、何年か先にはより大切なものになる。だからこそ、今感じている「楽しい」を鮮明に残しておきたい。忙しい毎日を送っていると、日々の記憶はウワッと流れ去っていく。その流れを止めるように、僕は刺激強めの旅をしたり、動画に残したりしているのだと思います。忘れず、とどめて、しっかり自分の一部にするために。

自分の人生の歩み方

山下智久 インタビュー マキア MAQUIA 12月号 横顔

数年前の僕は“前”しか見ていなくて“後ろを振り返ること”にあまり興味がなかった。変えることはできない過去に固執しても意味がない、今から変わる未来に目を向けるほうが合理的だって、もっとロジカルな目線で物事を見ていた気がする。そんな僕が“思い出”を残そうとするなんて、それはここ数年のわりと大きな変化なのかもしれない。


この間、海外から友達が遊びにきてくれて、一緒に都内の百貨店を3軒くらいまわったんですけど。そんなふうに時間をかけて買い物するのは実は初めての経験だったんです。ずっと「仕事、仕事」で買い物する時間すらなかったから。


以前の僕は時間がないからこそとても“シンプル”だった。思考も空間も、無駄な物がひとつ減れば動作も減って、“持たないこと”は時間短縮にもなるから。趣味も物欲もなく、部屋にあるのはソファーとテレビとテーブルくらい、以前は本当に何も持っていなかったんですよ(笑)。


そんな僕が最近は「時計ってカッコイイかも」「そういえば、車を持っていなかったな」って今まで興味のなかったものに目を向けている。それもまた、ここ数年の大きな変化。11歳でこの世界に飛び込んでから、ずっと走り続けてきた僕はその歩みを少し緩め「仕事以外に時間を使ってみてもいいのかもしれない」って自分の人生をちゃんと楽しみはじめている。


仕事に全振りしすぎたせいか、どこか味気なく感じてしまう自分の人生を、人間としての山下智久を、ここでもう一度、育てなおしたいなって。一人の人間として豊かになることは自分の表現もきっと広げてくれると思うから。

狭く深い人間関係

山下智久 インタビュー マキア MAQUIA 12月号 バストアップ

年齢を重ねるたび、人間関係はどんどん狭くなっている気がします。


仕事もそうだけど、若い頃はブワーッとなんでもやってその中でどんどん精査されていくというか。ワインもそうですけど、いっぱい飲まないと何が良いかわからないじゃないですか。


今、僕の周りにいるのは正直に何でも言い合える“嘘”のない友達。それは学生時代からの仲間だったりするんですけど、最近、子供みたいな遊びをよくするんですよ。お菓子についてるアニメのカードを集めたり、それを箱で大人買いして、ワクワクしながら開封したり。子供の頃からずっと仕事をしていたから“やってこなかったこと”を大人になった今、回収しているのかもしれない。


今年の夏は人生初の花火大会も楽しみました。プライベートで経験する初めての大イベントに「うわ、すげー!」「花火でけー!」「人多い!」って、いちいち子供みたいに感動しながら(笑)。

憧れられる存在

山下智久さんインタビュー 人間関係

ありがたいことに、「山下君に憧れています」なんて言ってくれる後輩の子が何人かいます。それはすごく嬉しいことですが「山下君みたいになりたい」と言われたら「それは無理だと思う」と僕は伝えます。人間は “自分以外の誰か”になることはできないから。


ただ、インスピレーションを受けるのは自由なので。その人の全てを真似するのではなく、素敵だなと思うものを「ちょっと拝借」。それを自分なりに噛み砕いてオリジナルを作るのは悪いことじゃないと思う。僕自身もそうやって、先輩達の素敵なところを「ちょっと拝借」してきたしね。


夢を叶えるにはどうしたらいいかと聞かれたら、「現在地はどこなのか」を尋ねるかな。遠くにある目的地を目指すことも大事だけど、まずは自分がどこに立っているのかを確認する。そうすれば、どの道をどう進めばいいのか見えてくるし、チャンスにも気付きやすくなると思うしね。

山下智久 インタビュー マキア MAQUIA 12月号 座りカット

MAQUIA 12月号

撮影/曽根将樹〈PEACE MONKEY〉 ヘア&メイク/大木利保 スタイリスト/井田信之 取材・文/石井美輪 構成/萩原有紀(MAQUIA)

イヤーカフ¥31900/ガルニ東京店(GARNI) その他/スタイリスト私物

公開日:

MAQUIA書影

MAQUIA2025年12月22日発売号

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