ヨーグルトなどの製品でよく見かけるようになった「短鎖脂肪酸」。実は研究者の間では25年以上前から注目されていた物質なのだとか! ようやくスポットライトが当たり始めた今、短鎖脂肪酸の働きや増やす方法などについて、専門家にお話を伺いました。

短鎖脂肪酸 ダイエット 腸活 美肌

教えていただいたのは...
福田真嗣

一般社団法人短鎖脂肪酸普及協会 代表理事 株式会社メタジェン 代表取締役社長CEO 慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任教授

福田真嗣先生

理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、現在は慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授、腸内デザイン学会代表理事、順天堂大学大学院医学研究科特任教授を兼任。2015年にアカデミアでの研究と並行してメタジェンを設立。2024年に発足した短鎖脂肪酸普及協会の代表理事も務める。専門は腸内デザイン学。

「短鎖脂肪酸」を腸内環境のプロが簡単解説! 美肌にもいいって本当?

Q1.そもそも短鎖脂肪酸とは? 

A1.腸内細菌が大腸の中でつくりだす代謝物質のこと

「腸内細菌が大腸内で食物繊維やオリゴ糖などをエサにして作り出す代謝物質である酢酸・プロピオン酸・酪酸の総称です。


大腸でつくられた短鎖脂肪酸は、血流にのって全身にいきわたり、さまざまな健康効果を生み出します」(福田先生・以下同)

Q2.短鎖脂肪酸にはどんな働きがあるの?

A2.肥満抑制、血糖値の調節、アレルギー予防など、さまざまな健康効果が

「最新の研究によって報告されている効果や期待できる可能性としては、次のようなものがあります。


①食欲や脂肪蓄積の抑制、脂肪燃焼促進などによる肥満抑制
②血糖値の調節
③免疫システムを増強して感染症を予防
④アレルギー抑制
⑤便通改善
⑥病原物質の侵入を防ぐ「腸管バリア」機能の向上
⑦運動時の持久力向上と疲労感軽減
⑧全身の炎症抑制


これらの効果から“ミラクル物質”として注目されている短鎖脂肪酸は、すべての人が意識するべき健康のベースといえます」

Q3.美容面にもいい影響はありますか?

A3.ケラチノサイトの分化を促して肌荒れを防ぐ可能性も

「短鎖脂肪酸が腸から吸収されて全身にめぐることで、皮膚のバリア機能や保湿などの役割を担うケラチノサイトという細胞の分化を促進し、いわゆる肌荒れを防ぐことが動物実験で実証されています。


肌荒れしやすい人は短鎖脂肪酸を意識することで変化を感じられる可能性はあると思います」

Q4.短鎖脂肪酸を増やすにはどうしたら?

A4.まずは自分の腸内フローラのタイプを知ることから始めましょう

「短鎖脂肪酸を増やすために大事なのは、腸内細菌が好む栄養素(食物繊維やオリゴ糖を含む食材)を届けること。


腸内には種類が異なる腸内細菌がたくさん混在していて、好むエサもさまざまです。しかも腸内フローラのタイプは一人ひとり違うので、Aさんに効果のあったものがBさんにも効果的とは限りません。着実に短鎖脂肪酸を増やすためにも、自分の腸内フローラのタイプを知ることから始めましょう」


※腸内フローラとは:腸内細菌の集まりのこと。フローラはもともと「植物相(植物が群れ集まっている様子)」を意味する言葉で、腸内細菌がお花畑のように腸内にびっしり生息している様子から腸内フローラと呼ばれる。

短鎖脂肪酸 腸内 検査

Q5.自分の腸内フローラのタイプを知る方法は?

A5.腸内フローラ検査がおすすめ。注目のパーソナルサービスも

「腸内フローラ検査によって自分の腸内に多い菌や少ない菌、そのバランスなどを知ることができます。自分の腸内フローラタイプを知っておくことで、腸活の効果を実感するまでの時間短縮やコスト削減などといった効率化にも繋がります」

Body Granola(ボディグラノーラ)

Body Granola 腸内フローラ検査 グラノーラ カルビー

左から:Body Granola定期購入(20食分)¥3780、腸内フローラ検査キット ¥16500

腸内フローラ検査キットを注文し、採便・ポスト投函すると、全57タイプに分類された腸内フローラのタイプから、結果を判定。検査結果を参考にしながら好きな素材を選べるグラノーラの定期購買サービス。

「例えば、『Body Granola』のように腸内フローラ検査キットを使って腸内細菌を分析し、1人ひとりのタイプに合わせた商品を提供するパーソナルサービスもあります」

Q6.腸内環境の変化はどのぐらいで実感できる?

A6.自分に合うものなら、2週間程度で便通に変化が

「自分に合うものなら2週間ぐらいで変化を体感できるものもあります。そこで重要なのが継続性。最初の2〜3日で便が少しゆるくなることもありますが、それは腸内環境が変化しているサインなので、不調と感じていない限りは続けてみてください。


2週間ほど続けるうちに通常の便の硬さに戻り、便通、便のニオイや形、色が変わったと感じたら自分に合っていると考えていいと思います。


また、美容がお好きなマキア読者のみなさんは、続けている間に肌の状態も変化があるかチェックしてみるといいでしょう。取り入れるものに迷ったときは、短鎖脂肪酸普及協会が認定した証である『短鎖マーク』がついた商品を参考にしてみてください」

イラスト/竹井晴日 撮影/原田凌佑 取材・文/国分美由紀 構成/織田真由(MAQUIA ONLINE)

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